ナタリー PowerPush - Aimer

“夜の始まり”に見た、彼女の軌跡

阿部真央は何を思い「words」を作ったのか

──ここからは少し趣向を変えた質問というか、実はAimerさんに内緒で阿部さんからコメントをいただいてるんですよ。

そうなんですか!?

──ええ(笑)。まず「words」のコンセプトについて。

まず最初に思い浮かんだフレーズが冒頭の「愛してるとは なんて無力な言葉だろう」という歌詞でした。

そこから曲のストーリーを構築する中で、愛とか永遠みたいなものに対する虚無や執着を表すために、今回は最初に出てきた「言葉」と言うフレーズに着目してみようと思いました。

思い出や感情を呼び起こすきっかけになりうる、それでいてさまざまな意味合いを持った「言葉」を切り口に、曲の中で歌われている悲しみや憎悪、切なさ、孤独を表現できたらと思って書きました。

──阿部さんは、まさに先ほどAimerさんが言っていたことをコンセプトに「words」を作ったそうなんです。

よかったです(笑)。真央さんが「愛とか永遠みたいなものに対する虚無や執着を表すため」っておっしゃる通り「words」を初めて聴いたとき、本当に「言葉って永遠の約束じゃないんだ」って感じたんです。私は「永遠」というものは世の中には存在しないものだと思っていて。でもないとわかっているからこそ、それを追い求めてしまったり、いつまでもそれを忘れられずにいてしまったりすることもあるんだろうな、と思ってもいるんです。この歌詞をいただいたとき、そういう自分の考え方に近いものは感じました。

阿部真央が「words」で目指したもの

とにかく「Aimerさんが歌うからこそ素晴らしい曲」にしようと考えていました。

そもそも、冒頭の「愛してるとは~」の歌詞とメロディは、自分の曲のストックの一部としてではなく、「Aimerさんに歌ってもらったらきっと素敵になる!」と勝手に妄想するほど、私の中に生まれた“like Aimer”なインパクトが生み出した言葉だったので。

しかしAimerさんのためだからと、例えば選ぶ言葉を自分の曲とはあえて変えてみるだとか、メロディを慎重に作るだとか、そういったことは特にはしませんでした。ただただ「Aimerさんが歌ってこそ至高であり、Aimerさんが歌ってこそ初めて完成する楽曲にしたい」ということだけを考えていました。

私のAimerさんへの勝手なイメージを思うと「神聖」「孤独」「繊細」と言う言葉が浮かびますが、まさにそんなAimerさんの歌声が、この曲を昇華してくれているように強く感じています。

ふふふふふ(笑)。光栄です。

──阿部さんはAimerさんの曲だからといって、あえて言葉やメロディを変えるようなことはしなかったと言っていて、先ほどAimerさんも「『words』は素晴らしい“真央さん節”」と言っています。

そうですね。

──さっきの「言葉は永遠じゃない」っていう見解についてもしかりなんですけど、なぜAimerさんと阿部さんはここまで通じ合えるんですか?

2013年4月11日に東京の某教会で開催されたAimerのワンマンライブの様子。

実際の交流自体は手紙のやり取りだけであっても、歌をいつも聴いているので。歌声やメロディには歌っている人の考え方やキャラクターが絶対ににじみ出てきてしまいますから。言葉は永遠じゃないとわかっていながらも執着してしまいそうになることを歌った「words」だけじゃなく、真央さんの歌を聴いていると相反するもの両方を大事にしていることをすごく感じるんです。私の中にもある、そういう思いが歌声から計れるんです。真央さんが私のことを「神聖」「孤独」って言っているのも、きっと私の歌声にそういう要素を見てくださったからなんでしょうし。歌をお互い聴き合っているからわかるんだと思います。

阿部真央が語るAimerの歌う「words」

「words」の音源を聴かせていただいて思ったのは「やっぱりAimerさんは天才だ」ということです。

曲を正式にお届けしたあとに(まだAimerさんによって歌われた本楽曲を聴く以前)、お手紙で直接Aimerさんご本人にもお伝えしたのですが、改めて。

Aimerさん、貴女は本当に天才です。神様に愛されています。そしてその歌声は、これから多くの人に愛され続けるのだと思います。

そんなAimerさんの作品・活動に、このような形で携われたこと、本当に光栄で、幸せに思います。

これからもずっとずっと応援しています。大好きです。本当にありがとうございました。

もう恐れ多いですね(笑)。しかもすごいなと思うのが、真央さんの人柄が文章にも表れているというか。特に「天才です」っていう、そういう言葉ってなかなか……。

──褒め殺しになりかねないフレーズをさらっと嫌味なく書ける方ですよね。

そうなんですよ。私は「こうおっしゃってくださる真央さんこそが天才だろう」って思ってます(笑)。あとこのコメントにあるように「words」を作っていただいたあと、真央さんからお手紙をもらったんですけど、その文章もやっぱり素晴らしくて。何度も読み返して、今では宝物にしてます(笑)。

Aimer ニューアルバム「After Dark」/ 2013年11月20日発売 / 2200円 / DFCL-2046
「After Dark」ジャケット
収録曲
  1. After Dark –prologue-
  2. ポラリス
  3. words
  4. AM02:00(haruka nakamura La Nuit remix)
  5. After Rain
  6. Amazing Grace(Live in church ver.)
  7. あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~(Live in church ver.)
  8. 今日から思い出(Live in church ver.)
  9. 星屑ビーナス(Live in church ver.)
  10. 寂しくて眠れない夜は(Live in church ver.)
  11. RE:I AM(Live in church ver.)
  12. 六等星の夜(from Live at anywhere)
阿部真央 アルバム「貴方を好きな私」/ 2013年8月28日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤[CD+DVD] 3400円 / PCCA-03888
通常盤[CD] 2900円 / PCCA-03889
阿部真央ライブ情報

全国ホールツアー「阿部真央らいぶNo.5」

  • 2013年11月23日(土・祝)
    広島県 上野学園ホール
  • 2013年11月24日(日)
    岡山県 倉敷市民会館
  • 2013年11月29日(金)
    石川県 金沢市文化ホール
  • 2013年12月6日(金)
    新潟県 新潟県民会館
  • 2013年12月8日(日)
    長野県 松本キッセイ文化ホール中ホール(SOLD OUT)
  • 2013年12月12日(木)
    北海道 札幌市教育文化会館大ホール
  • 2013年12月16日(月)
    東京都 東京国際フォーラムホールA(SOLD OUT)

全席指定チケット料金:5250円(税込)
詳細は阿部真央オフィシャルサイトまで。

Aimer(えめ)
Aimer

女性シンガーソングライター。幼少期より両親の影響で音楽に親しみ、ピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始める。15歳のときに声が一切出なくなるアクシデントに見舞われるが、回復とともに独特の甘い歌声を得る。2011年から本格的に音楽活動を開始。幅広いジャンルのクリエイターとコラボレーションし、楽曲提供やゲストボーカリストとしての活動を通じてその才能が知られるようになる。同年5月にはヒット曲をジャズアレンジでカバーしたコンセプトアルバム「Your favorite things」にボーカリストとして参加し、収録曲であるLADY GAGA「Poker Face」のカバーがiTunes Storeの国内ジャズチャートで初登場1位を記録した。9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビュー。2012年8月発売のシングル曲「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」はテレビアニメ「夏雪ランデブー」のエンディングテーマに採用され、大きな注目を集めた。その後10月に初のフルアルバム「Sleepless Nights」、12月にカバーアルバム「Bitter & Sweet」と精力的なリリースを展開。2013年8月には「眠りの森」を配信限定シングルとして発表。11月には新曲とライブ音源を収録したアルバム「After Dark」をリリースする。

阿部真央(あべまお)
阿部真央

1990年1月24日生まれ。大分県出身のシンガーソングライター。2009年1月にアルバム「ふりぃ」でポニーキャニオンからメジャーデビュー。等身大の歌詞とポップなメロディ、表現力豊かなボーカルが、同世代を中心に支持を集める。「ROCK IN’JAPAN FES.2009」「MEET THE WORLD BEAT 2009」などデビュー年より大型フェスに出演し、翌2010年1月に2ndアルバム「ポっぷ」、2011年6月に3rdアルバム「素。」をリリース。全国ツアーやアヴリル・ラヴィーンのサポートアクト起用など精力的なライブ活動を展開する。2012年6月に4thアルバム「戦いは終わらない」を発表し、自身初の全国ホールツアー「阿部真央らいぶNo.4」を開催。2013年には「最後の私」「貴方が好きな私 / boyfriend」という2枚のシングルと、5thアルバム「貴方を好きな私」をリリースした。