ナタリー PowerPush - ユニコーン×宇宙兄弟
「宇宙兄弟」と完全コラボ!シングル「Feel So Moon」に込められた奇跡と愛情
MVはマンガを使った何かであるべき
──そして「Feel So Moon」のMVはどんなものになるんですか?
清水 このMVは、制作の始まり方からしてすごく特殊なんですよ。そもそも声をかけてくれたのが講談社さんで、さらにマンガ「宇宙兄弟」を大きくフィーチャーし、かつユニコーンのMVにもなるもの、という条件が重なっていて。
川村 マンガとユニコーンの新曲の世界を伝えなきゃいかんと。
清水 「Feel So Moon」はアニメ「宇宙兄弟」のオープニングテーマだけど、このMVではアニメで「宇宙兄弟」を知った人に原作について伝えたい、という考え方だったんですよね。で、レーベル、出版社、僕らといるこの環境で、何ができるだろうと。歌詞や曲をヒントにしようかとも思ったんだけど、そうじゃなくて今ここじゃないとできないことはなんだろうって考えたときに、各々のメディアをストレートに合体させてビデオクリップが作れたら、それはここでしかできないものだなと思いついて。さらに、川村と「MVは、マンガを使った何かであるべきだよね」って話をしてたことから、MVは「宇宙兄弟」18巻と、ムック「We are 宇宙兄弟」と、「Feel So Moon」のパッケージを駆使して作り上げるものにしようと。
──なるほど。
清水 MVの構成について初めの段階で持っていたアイデアは、マンガ「サルでも描けるまんが教室」にインスパイアされています。マンガの枠線にすごく下品な言葉が視認できないぐらい細かい文字で書いてある一種のサブリミナル手法、っていうネタがあったのを思い出したんですよね。そういった、マンガの紙面に存在する要素だけで構成されたMVを作ったら……という発想が出発点になりました。
川村 マンガを読んだときには気付かなかったんだけどMVを観るとその種明かしがされてると。例えば、マンガの網点が星とか月になってるのがMVを観て初めてわかるとか。そこからコミックスを再読すると「うわ—ホントだー!」って驚けたりすると、面白いよねって。
清水 それは講談社さんが制作サイドに参加していないとできないことだし。
川村 すごく良かったのは、初めからアイデアのベースにメディアミックスがあったっていうこと。まず「Feel So Moon」という曲自体が原作のキャラクターを思わせるような歌詞になってたりと、すごくマンガに寄り添っていて。そこからCDパッケージはコミックスと同じ判型にして、ジャケットイラストは小山さんにユニコーンの絵を描いてもらって、みたいなアイデアが生まれて。「Feel So Moon」にまつわる全てのアイデアの中心に、「宇宙兄弟」っていうコンテンツをみんなでどう使いあおうかという考えがあるんですよね。だから、その考え方をそのままMVでも受け継いだらどういうことになるだろうって思って。曲が原作について歌ってるなら、MVでは原作をどう料理するかとか、どう遊ぶかとか、そういうところからどんどん膨らんでいって。
──よいスパイラルが生まれたんですね。
川村 そうしたら小山さんや講談社さんもすごくこのアイデアにノッてくれて。例えば今回、MVのためにいろんなモノを作ってもらっているんですよ。小山さんに絵を描き下ろしてもらったり、ムックに追加でページを作成したり。小山さんの場合は、「『月の木陰でギターを弾いて』る絵を描いてください」ってダメ元でお願いしてみたらすぐに「できました!」って返ってきたり(笑)。
清水 あと、ムッタが「わあっ!」って飛び起きてる絵を描いてくれたりね。こういうコラボレーションは、普通のMV制作ではできない。
川村 みんなが協力しあって、未知なる複合コンテンツを作ってる感じです。
清水 「ここでしかできないことをやろうぜ」っていう提案を発端に、小山先生を始めとするいろんな人をどんどん巻き込んでる。そして喜んで巻き込まれてくれる。現在進行形で、ありえない奇跡がどんどん起こってるんです。
普通開かない扉をじゃんじゃん開けてる
──そんな清水さんと川村さんが生んだアイデアに対し、関さんはどのような役割を担っているんですか?
関 「こういうのやりたい」っていう骨子はある程度決まってるんだけど、もう少し膨らませるにはどうしたらいいですかって話をもらったんですよ。なので僕からは、人やロケーションを増やすのはどうかなってアイデアを出して。なぜなら、コミックスは発売日に全国で手に入れられるものだから、みんながあちこちで楽しんでいる感じが出るといいんじゃないかなと。
清水 本当にいろいろ教えていただいて。
関 いやもう最初に話を聞いたときは「この人たちは何を言っているんだろう?」と思ったんですよ(笑)。こういういろんなメディアを駆使するというのは普通、考えてもできないことだから。音楽のMV制作ってこんなに長い期間をかけられることがあんまりないし。「宇宙兄弟」の魅力を伝えるのにみんなが力をあわせて、どえらいことをやろうとしてるんだなあとは感じましたね。
清水 講談社さんやユニコーンチームの皆さんもノリノリでやっていただいてる感じがするので。
川村 だといいなあ。
一同 (笑)
清水 なんでしょうね、普通開かない扉をじゃんじゃん開けてるみたいな。
川村 試しに言ってみると意外と実現するっていう。「ムックにこんなページ入れらんないですか?」って講談社さんに頼むと「やってみます!」って言ってくれてできあがっちゃう。「こんなマンガにしてくれないですか?」って言ってみたら「してみましたー!」ってすごく面白いマンガができてるとか。みんながきちんと作品のクオリティ向上に貢献してくれるんですよねえ。
関 だから僕ら3人だけで作ったっていうよりは、全部がひとつの制作チームなんですよ。
清水 ムックのデザイナーさんに、何度も何度もビデオ向けに理不尽な修正をお願いしたりね。
川村 「デザイン的にはかっこいいんですけどビデオ的にはこっちなんですよ」って(笑)。表紙に「『Feel So Good』って大きく入れてくれださい」ってお願いしたら「『Feel So Moon』じゃなくていいんですか?」とか言われたり。でも、それで一度も怒られてないのが驚きですね。
清水 そうそう、「いやそれはちょっと……」とは1回も言われてないんですよ。
CD収録曲
- Feel So Moon
- Feel So Moon ~想像してGo RoundGlasses~(MARU MEGA MIX)
- Feel So Moon(Instrumental)
DVD収録曲
- MOVIE24 最後の一口 ~Feel So Moonレコーディングドキュメント~
超豪華ユニコーン×「宇宙兄弟」コラボ仕様!
●ユニコーン×「宇宙兄弟」小山宙哉描き下ろしイラスト表紙
●小山宙哉描き下ろし「Uc兄弟」コミックブック
ユニコーン「Feel So Moon」×「宇宙兄弟」18巻発売記念ダブル購入キャンペーン
A賞:ユニコーン・小山宙哉サイン入り 小山宙哉描き下ろし「Feel So Moon」表紙イラスト複製原画 / 10名
B賞:ユニコーンも六太も着てる!特製Feel So Moon Tシャツ / M:250名様 / L:250名
応募締切:2012年7月20日(金)当日消印有効
ライブDVD / Blu-ray「MOVIE23 / ユニコーンツアー2011 ユニコーンがやって来る zzz...」/ 発売中 / Ki/oon Music
ユニコーン(ゆにこーん)
1986年に広島で結成。翌1987年にアルバム「BOOM」でメジャーデビューを果たす。メンバーは奥田民生(Vo, G)、EBI(B)、手島いさむ(G)、川西幸一(Dr)、阿部義晴(Key)の5人。全員が楽曲制作に携わりボーカルを取るフレキシブルなスタイルで、独自の路線を突き進む。「大迷惑」「働く男」「雪が降る町」「すばらしい日々」など数々の名曲を生み出すも、1993年に惜しまれつつ解散。 その後はそれぞれソロ活動を展開していたが、2009年に16年ぶりとなるまさかの再始動。2月にシングル「WAO!」とアルバム「シャンブル」を発表し、3月より全国ツアー「蘇える勤労」を開催した。また2011年は干支にちなみ「兎に角(とにかく)働こう」と年始より宣言。5月にフルアルバム「Z」をリリースし、直後より全国ツアー「ユニコーンツアー2011 ユニコーンがやって来る zzz...」を実施。さらにツアー中の8月にミニアルバム「ZII」を発表する、精力的な活動ぶりを見せた。2012年最初の新曲は、アニメ「宇宙兄弟」のオープニングテーマとして書き下ろされた「Feel So Moon」。6月に同曲をシングルリリースする。