Pick Up!
セグウェイライダー Logos
錯綜する情報の渦を軽やかに、したたかに泳ぐ若き感性
文 / 森朋之
1990年代の渋谷系、2000年代以降の邦ロック、現在進行形のグローバルポップまで、時代やジャンルを超えた要素を取り込みながら、自ら掲げる“Neo J-Pop”へと結び付ける。2000年生まれのTakaya(Vo, G)、Kazuki(B)、Nami(Dr)による3ピースバンド、セグウェイライダー。一度耳にしたら忘れない、そして、「どういう意味だろう?」と深読みしたくなる名前を持つこのバンドは、デジタルネイティブならではの感性と、既存の枠に収まらないスタイルを獲得しつつある。バンドは2021年頃に始動し、2023年末には2nd EP「バーチャルコア」をリリース。J-POP由来のフレンドリーなメロディ、現行のインディロックを想起させる音像をナチュラルに融合させながら自己のアイデンティティを巡る思索を反映させた歌を描き出す本作は、セグウェイライダーのオリジナリティを明確に示したという意味において、とても意義深い作品だろう。
新曲「Logos」は、このバンドがこちらの想像を超えるスピードで進化していることを示す楽曲だ。まず耳を惹きつけるのは、しなやかなファンクネスを感じさせるリズムセクション。ギターのカッティングが加わり、楽曲は心地よくグルーヴし始め、さらに浮遊感のあるメロディが乗ることで絶妙なフックが生じる。つまり「この曲、何?」と興味を強く惹きつけられるのだ。ポップに振り切ったサビのラインを含め、独創的なクリエイティビティが込められた楽曲と言えるだろう。
「言葉」「理性」を意味する「Logos」と結び付く歌詞も興味深い。SNSでの分断が広がっていく現在において、人と人はどうやってわかり合えるのか? 虚実が混ざり合う情報の渦をいかに泳ぎ切るのか? そんなテーマをシンプルな言葉で描いたリリックにもぜひ注目してほしい。
[Pick Up!]セグウェイライダー「Logos」
- セグウェイライダー「Logos」
- 2024年5月1日(水)配信開始 / セグウェイライダー
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セグウェイライダー
Takaya(Vo, G)、Kazuki(B)、Nami(Dr)による3ピースバンド。“ありのままの現実”をテーマに、ロックを基盤にさまざまなジャンルの要素を取り入れたサウンドで独自のポップスを追求している。2024年5月発売の「Logos」は、ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEによる新世代アーティスト発掘プロジェクト・early Reflectionの5月度「Feature Artist」に選出された。