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Ibuki FRAMES
2ndシングルは“既存の枠=FRAME”に抗おうとする強い意志
文 / ナカニシキュウ
“VisionSinger”なる肩書きで活動するバーチャルアーティスト・Ibuki。今年5月15日に初のオリジナル曲「藍嵐」を発表したばかりの彼女が、7月10日に早くも2ndシングル「FRAMES」を発表した。
“VisionSinger”は、“存在価値を証明するために、理想像や未来像に近付くため歌うアーティスト”という意味の造語。「FRAMES」は、鋭利で無機質なデジタルサウンドを前面に出したシリアスなEDMナンバーで、攻撃的な音色のシンセベースを中心に巻き起こされるシンセの洪水をかき分けるように、ヌケのいいIbukiのパワフルな歌声がエモーショナルに響く。Bメロには畳みかけるようなリリックが取り入れられ、キャッチーに駆け抜けるサビとの好コントラストを形成。そのサビは執拗なまでに音符が詰め込まれた、ボーカロイド曲を彷彿とさせるメロディラインとなっている。
青紫を基調としたダークでフューチャーライクなテイストのビジュアルイメージと毛ほども齟齬のない楽曲およびサウンドデザインと言え、綿密に練り上げられた揺るぎないフィロソフィーが楽曲の向こう側に透けて見えるのも特筆に値するポイントのひとつだ。“既存の枠=FRAME”に抗おうとする強い意志が攻撃的に表現されたリリックは、“存在価値を証明するため、理想像や未来像に近付くために歌うアーティスト”というアーティストコンセプトが具現化されている。何を見せたいのか、何を訴えたいのかが竹を割ったように明確なタイプのアーティストであると言えよう。
とはいえ、もちろんIbukiは「FRAMES」テイスト一辺倒のアーティストというわけではない。まだ情報が少なく謎の多い存在ではあるが、YouTube公式チャンネルには新旧さまざまな選曲のカバー動画も上がっており、彼女の多彩な表現に触れることが可能だ。興味を持った人はぜひチェックしてみよう。
Ibuki「FRAMES」Official Video
Ibuki(イブキ)
EDMやヒップホップ、R&Bなど、さまざまなジャンルの楽曲を歌うバーチャルアーティスト。コンセプトとして“存在価値を証明するために、理想像や未来像に近づくため歌うアーティスト”という意味の“VisionSinger”を掲げている。2024年からYouTubeに“歌ってみた”動画を投稿し、同年5月には初のオリジナル楽曲「藍嵐」を配信リリース。7月に2ndシングル「FRAMES」を配信リリースした。
Ibuki(@ibuki_kirisaki)|Instagram