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福田こうへい「庄内しぐれ酒」ジャケ写

福田こうへい 庄内しぐれ酒

圧倒的な歌唱力で郷愁の念を刺激する“望郷演歌”

文 / 小野田衛

福田こうへいが今年1月1日にリリースしたシングル「庄内しぐれ酒」が、YouTubeで公開されたミュージックビデオの再生回数が約80万回に到達など反響を呼んでいる。故郷に対する熱い気持ちを歌い上げる王道演歌だが、誰しも心に存在する郷愁の念を刺激するのだろう。福田は「日本民謡フェスティバル」でグランプリに輝いたこともある超実力派だけに、圧倒的な歌唱力によって歌詞メッセージがことさらエモーショナルに響く。

福田自身は庄内(山形県北西部)出身ではないものの、同じ東北の岩手県で生まれ育った。荒木とよひさによる歌詞を初めて目にしたときは「12年前に歌手になることを決意して上京したときの気持ちがよみがえった」とのことで、格別の思いが込められているのは間違いない。

「ふるさと売って 幾年(なんねん)だろか 詫びる冷酒 この身に染みる」

「帰りたいよ 帰れない 胸の根っ子が 意地を張る」

「湊のネオン 都会の浜は カモメ一羽も 迎えにゃ来ない」

文学性たっぷりの歌詞からは、センチメンタルな哀切とはアンビバレントな“男の痩せ我慢”といった感情も浮かび上がってくる。あるいは“年齢を重ねることで初めて表現できる歌”という見方もできるかもしれない。福田は2018年に体調不良により入院。そこから劇的復帰を経たことで、歌に説得力や深みが加わったようだ。

一方でサウンド面に目を向けると、歌詞とは裏腹にアップテンポな曲調であることにハッとさせられる。作曲は大御所でヒットメーカーの徳久広司。ドライブ感たっぷりのギターや流麗なオーケストレーションで彩られたアレンジも、曲世界を壮大に盛り上げていく。カラオケで歌っても気持ちよく楽曲の世界に没頭できるはずだ。

本物は時代を超える。福田にとって新たな代表曲となった「庄内しぐれ酒」は、今後も長く歌い継がれることだろう。胸が締め付けられるような望郷演歌に今宵も酔いしれたい。

【公式】福田こうへい「庄内しぐれ酒」ミュージックビデオ

福田こうへい「庄内しぐれ酒」
2024年1月1日(月)配信開始 / KING RECORDS
購入・再生はこちら

作詞:荒木とよひさ
作曲:徳久広司
編曲:南郷達也

福田こうへい「庄内しぐれ酒」
2024年1月1日(月)発売 / キングレコード
税込1439円 / KICM-31121

福田こうへい(フクダコウヘイ)

福田こうへい

1976年9月21日生まれ、岩手県盛岡市出身の演歌歌手。2012年に「第25回日本民謡フェスティバル」でグランプリを受賞するなど数々のコンクールで優勝し、2012年10月にキングレコードからシングル「南部蝉しぐれ」でデビューを果たした。2013年には「NHK紅白歌合戦」に初出場し、「第55回日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。さらに2020年には「第62回日本レコード大賞」最優秀歌唱賞に輝いた。