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Def Tech「FANTASY」ジャケ写

Def Tech FANTASY

20年来の盟友JQと紡いだ愛にあふれる“必然”のサマーアンセム

文 / 森朋之

2005年、ヨコハマタイヤのCMソングとして話題となった「My Way」と1stアルバム「Def Tech」の大ヒットにより一気にブレイクを果たしたDef Tech。そして、2016年にデビューし、ハイブリッドな音楽性によってSuchmosやceroなどとともに日本の音楽に新たな潮流を生み出したNulbarich。キャリアもサウンドの志向も異なるように見える両者だが、実は20年以上前から親交を深めてきた音楽的な同志でもある。

ShenとMicro、JQの交流が始まったのは2000年頃のセッションだそうだ。その後、単身でNYに渡ったJQにとって、Def Techの初期曲「Emergency」(アルバム「Def Tech」収録)は心の支えになったという。昨年4月に行われたDef Tech初の対バンツアーにNulbarichが参加するなど、ここにきて両者の距離はさらに接近。Def Techの新曲「FANTASY」で実現したコラボレーションは、まさに必然だったと言えるだろう。

美しく、凛としたシンセのフレーズ、深い海を想起させるサブベースを軸にしたトラック。抑制の効いたヴァースと神聖さを感じさせるコーラス。そして、包み込むような優しさと鋭利な意志が両立したShenとMicroのボーカル。JQが作曲、編曲、プロデュースを、作詞をJQとDef Techが手がけた「FANTASY」は、両者の個性とセンスが絶妙なバランスで共存している。Def Techのキャリアを知り尽くし、彼らの音楽を深く愛してきたJQにしか作り得なかった楽曲だと思う。

リリックにも注目してほしい。背景にあるのは、なかなか希望が見えてこない現在の世界。彼らはシリアスな現実を受け止めながら、「The world is almost over / What a waking fallacy(世界の終わりはすぐそこだ / 勘違いに気付こうよ)」と呼びかけているのだ。ビート、メロディの心地よさに身を任せているうちに、今の世界に思いを馳せ、思考が刺激される。このコントラストもまた、「FANTASY」のストロングポイントだ。

ミュージックビデオはロサンゼルスで撮影。ファンタジーの世界から現実の世界へと希望を求めて旅をするShenとMicroの姿がロードムービーのように映し出される。美しい夕暮れの浜辺でJQに再会するシーンを含め、3人の関係性と「FANTASY」の世界観を映し出すMVに仕上がっている。映画「エンドレス・サマー デジタルリマスター版」(7月12公開)のタイアップソングとしても話題の「FANTASY」。私たちと世界をつなぐ、新たなサマーアンセムを心ゆくまで堪能してほしい。

Def Tech - FANTASY

Def Tech「FANTASY」
2024年7月15日(月)配信開始
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作詞:Jeremy Quartus、Def Tech
作曲・編曲:Jeremy Quartus

Def Tech(デフテック)

Def Tech

ハワイ育ちのShenと東京出身のMicroによる“Jawaiianスタイル”のユニット。2005年にアルバム「Def Tech」でデビュー。280万枚を超えるセールスで当時の国内インディーズの売り上げ記録を塗り替えた。以後、自由なスタイルの音楽活動を繰り広げ、2015年には自身初となる単独野外ライブを開催。ほかにもハワイや台湾などで公演を行う。2020年に結成20周年、デビュー15周年を迎える。2021年12月には2ndベストアルバム「The Best」をリリースした。2024年8月からライブツアー「What The Frequency Tour」を実施。初日公演を8月24日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で開催したのち、全国各地を巡り10月26日に長野・ホクト文化ホールで最終公演を行う。