アニメ「SSSS.GRIDMAN」特集 監督・雨宮哲(TRIGGER)、脚本・長谷川圭一インタビュー|特撮×アニメの新たな挑戦! 作品に込めた「グリッドマン」へのアンサーと、90年代ロボアニメへのラブレター

「SSSS.GRIDMAN」が入口のひとつになってほしい

──長谷川さん以外にも、グリッドマンデザインに後藤正行さん、怪獣デザインに西川伸司さん、丸山浩さんなど、特撮作品に多く関わられてきた方を起用されていますよね。作中にもキャラクターが「ウルトラマン」シリーズについて言及する場面や、怪獣の玩具がさりげなく置かれているなど、特撮ファンならニヤリとするポイントがちりばめられていますが、そうしたアイデアはどなたから出てくるのでしょうか?

雨宮 作中に登場する小ネタは、作画スタッフがファン活動としてやっていることが多いですね。

中央の女子生徒の腰元についているのが“ガンバルクイナくん”。

──好きだからつい入れてしまうと。長谷川さんが脚本を担当されていた「ウルトラマンネクサス」に登場するマスコットの“ガンバルクイナくん”が、「SSSS.GRIDMAN」のPVにも登場していましたよね。

雨宮 おお、気付いてくださってありがとうございます!

長谷川 あれは驚いたね(笑)。

雨宮 長谷川さんと一緒に仕事をしていても、どうしてもミーハーになっちゃうというか、長谷川さんの昔話を聞きたくてしょうがなくて(笑)。仕事は仕事でやりつつ、役得だとばかりに、“平成ウルトラシリーズ”の当時の出来事とか聞いたりして。

──仕事中にも、ファンとしての気持ちが出てきてしまうわけですね(笑)。

左から長谷川圭一、雨宮哲。

雨宮 「SSSS.GRIDMAN」の音響効果は、「電光超人グリッドマン」と同じ森川永子さんが担当してくださっていて。なので「あの音を入れてくれ」とか「あれっぽくしたい」っていうのを、プロデューサーの竹内くんがリクエストして作ってもらったりしているんですよ。「“平成ウルトラシリーズ”のこの音をください」みたいな(笑)。それをやっていったら、普通のアニメのSEと変わってきて、怪獣の鳴き声とかがすごい面白くなったんです。

──そんなところにもこだわりが。

雨宮 こだわりというより、単なるファン活動です(笑)。特撮を好きな人たちが好きなものを詰め込んだ末の作品だと思うので、それが結果として響くものになったんじゃないかと思います。

──その一方で、グリッドマンのデザインは大きく変えていますよね。

7月25日に「ウルトラマンフェスティバル2018」内で開催された「SSSS.GRIDMANスペシャルナイト」の様子。左が「電光超人グリッドマン」のグリッドマン、右がアニメ「SSSS.GRIDMAN」のグリッドマン。

雨宮 グリッドマンのデザインは、社内で若い子に特撮版のデザインを見せて意見をもらったりしました。特撮版のデザインは僕らからすると、どこからどう見てもカッコいいんですが、「ここがダサい」とか「いや、(人間が)着てるじゃん」みたいな意見が出て(笑)。僕らは「ここのシワがいいんだよ!」ってなるんですけど、それじゃいかんっていう。それも若い子にも観てもらうための工夫のひとつですね。

──先述した「ウルトラマンフェスティバル2018」のイベントでも、熱心な特撮ファンでもあるアレクシス・ケリヴ役の稲田徹さんが「特撮ファンとアニメファンをつなぐ作品」とおっしゃってましたが、アニメファンにとっても特撮ファンにとっても楽しめる作品になりそうですね。

長谷川 リメイクやオマージュものの作品だと、「原作と違っては嫌だ」とか「作らないほうがよかった」みたいな声ってよく聞くんですよね。「そうはならないよ」っていうのは、もう確実に感じています。「電光超人グリッドマン」が大好きな人にも、絶対好きになってもらえる作品になってるんじゃないかな。

雨宮 「SSSS.GRIDMAN」が「電光超人グリッドマン」への新しい入口のひとつになるとうれしいですね。元の作品が好きな人には「電光超人グリッドマン」へのアンサーというか、自分はこう観たからこう返した、っていうアニメになっているので、それが伝わればいいなと思ってます。

左から雨宮哲、長谷川圭一。
アニメ「SSSS.GRIDMAN」
放送情報

TOKYO MX:2018年10月6日(土)より、毎週土曜25:00~

MBS:2018年10月6日(土)より、毎週土曜26:08~

BS11:2018年10月6日(土)より、毎週土曜25:00~

WOWOW:2018年10月6日(土)より、毎週土曜24:00~

ストーリー

舞台は2018年の日本。ある日、目覚めると記憶喪失になっていた高校1年生の響裕太は、古いパソコンの画面に映る“ハイパーエージェント・グリッドマン”と出会う。グリッドマンに「使命を果たせ」と語りかけられた裕太は、その言葉の意味と失った記憶を探し始める。戸惑いつつもクラスメイトの内海将や宝多六花、新城アカネらに助けられながら日々を送る裕太。しかし平穏に見えた日々は、突如現れた謎の怪獣によって踏みつぶされる。

スタッフ

原作:グリッドマン

監督:雨宮哲

脚本:長谷川圭一

グリッドマンデザイン:後藤正行(円谷プロ)

キャラクターデザイン:坂本勝

アレクシスデザイン:コヤマシゲト

怪獣デザイン:西川伸司、丸山浩、板野一郎、山口修、前田真宏

アシストウェポンデザイン:野中剛

ジャンクデザイン:三宮昌太

ヒロイック作画チーフ:牟田口裕基

3DCG監督:宮風慎一

3DCG制作:グラフィニカ

美術監督:渡辺幸浩(アトリエPlatz)

色彩設計:武田仁基

撮影監督:山本弥芳(グラフィニカ)

編集:吉武将人(グラフィニカ)

音楽:鷺巣詩郎

音楽制作:ポニーキャニオン

音響監督:亀山俊樹

音響効果:森川永子

ラインプロデューサー:竹内雅人

アニメーションプロデューサー:舛本和也

アニメーション制作:TRIGGER

キャスト

響裕太:広瀬裕也

グリッドマン:緑川光

内海将:斉藤壮馬

宝多六花:宮本侑芽

新条アカネ:上田麗奈

サムライ・キャリバー:高橋良輔

マックス:小西克幸

ボラ―:悠木碧

ヴィット:松風雅也

謎の少年:鈴村健一

アレクシス・ケリヴ:稲田徹

六花ママ:新谷真弓

なみこ:三森すずこ

はっす:鬼頭明里

雨宮哲(アメミヤアキラ)
アニメーター、アニメーション監督。アニメーターとして「天元突破グレンラガン」「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」に参加後、「宇宙パトロールルル子」で第2監督を務める。監督作として「インフェルノコップ」「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」「電光超人グリッドマン boys invent great hero」がある。
長谷川圭一(ハセガワケイイチ)
脚本家。1997年「ウルトラマンティガ」第22話で脚本家デビューし、その後「ウルトラマンダイナ」「ウルトラマンネクサス」「ウルトラマンギンガ」など、多くの円谷プロダクション作品の脚本を担当する。TVアニメ作品では「デビルマンレディー」「ロックマンエグゼ」「墓場鬼太郎」「神撃のバハムート GENESIS」などに参加している。

2020年2月14日更新