スネた表情にドキッ
「なんで今日オレのほう見ないの?」
いつもはクールな青人。しかし嫉妬から「なんで今日オレのほう見ないの?」という本音が飛び出す。「そんな表情も見せてくれるの!」と、思わず胸がときめくワンシーン。
素直な表現がかわいすぎる!
「めちゃくちゃ妬くよ 小坂さんに限定だけど」
いつもは奈緒をからかう立場の榛名。しかし、至近距離での嫉妬宣言と熱い告白に奈緒の頭は沸騰! 素直な思いを吐き出す榛名の一面にキュンとした読者も多いはず。
自分自身に嫉妬しちゃう
「デート…すっげー楽しみにしてたのに」
司と両思いになったものの、大翔の願いを受けて彼とともにタイムリープすることを決めた都。別の世界軸との“俺”にも嫉妬する司の姿が、切なくも胸をくすぐる。
ヒロインの心も疼き出す
「なんか…もっといじめたくなる」
いつもは雪に契約される側の千代が、逆の立場に。震える雪の姿に、千代も思わず「意地悪なことする雪の気持ちが少しわかったかも」と考えてしまう。
くまがい杏子コメント
これは私の性癖です!(笑) ヒーローと言えども人間であって、常にカッコよくいられるわけじゃない。弱さを描くことで「生きてる」感じがしてたまらないんです。甘え顔や泣き顔を、ヒーローががんばって手詰まりになったタイミングで差し込むことで、カッコ悪くなることもなく弱さが光輝く。ファンタジーはそういう場面が作りやすいので、性癖を自然に出せてとてもおいしいです。「片ラビ」の司は特に、思春期ヒーローの成長する姿が大好き!という癖が過去と未来の姿に込められてます。
気になる人は目の前にいます
「渡せるかよ… ほかのやつになんか…っ」
窓から鳴海を探す桃花だったが、鳴海は桃花がほかの誰かを探していると勘違いしている様子。好きな人を探していたら背中からガードされるなんて、驚きとときめきで落ち着いていられない!
未来より今なんだ
「今 高宮を抱きしめたい」
自身の余命が1年であることを光汰に知られ、引け目を感じる円花。しかし、一貫して光汰は円花との“今”を大切にしようとする。
好きだから、バカになるんだよ
「予約させて この先の奈緒の未来」
「好きな人がいる時ってね ちょっとバカになっちゃうんだよ」。いつかの奈緒のセリフが、榛名の口からも漏れ出す。この作品では「楽しいだけ!」をモットーに描いているという水瀬だが、2人のハッピーオーラがあふれまくりの一幕だ。
水瀬藍コメント
私自身、読者のときも両片想いが大好きで、自分の新連載のときにはいつも「今回こそ両片想いターンを長く! 10巻くらい描くぞ!」と思うのですが、1話1話2人の気持ちが進むように描いていくと、すぐに思いがMAXになってしまい……どちらかが告ることに……(「青ロテ」ではお互いですね)(笑)。思いが通じ合ったカップルを描くことは苦手意識があるのですが、キャラたちがすごく幸せそうなのは見ていてやっぱり幸せな気持ちになりますね。
好きだからぶつかり合う
「あなたは一体どれだけ 僕を好きにさせれば気がすむのですか…」
未来と陵、お互いを思い合うからこそぶつかり合い、確かめ合う。そんな2人の愛を感じるシーンだ。
タイミング……! でもそこがかわいい!
「都が 好きだ」
都もドキドキしながらそのときを待っているが、タイミングを狙って、うまくいかない……! そんな司のかわいらしさがあふれる場面。水瀬の「恋降るカラフル~ぜんぶキミとはじめて~」でも同じシチュエーションのシーンが描かれたが、見比べてみると、きっとそれぞれの作品、それぞれのキャラクターの魅力が際立つはずだ。
雪とだから、私は
「私はもう雪にしか血をあげたくないし 雪とだから“紅血の契約”したいの」
重度のフラッシュ状態に陥っている雪のため、再び“紅血の契約”を結ぼうとする千代。その契約は血で決められたものではなく、雪とだから交わしたい。千代の強い意志と、雪への真っ直ぐな思いを感じる。
くまがい杏子コメント
両想いになったとしても、そこで終わりじゃない。その先をどうマンネリ化せずに描き続けられるのかはかなり難しいことです。今でも上手く描ける自信はありません。ファンタジー展開で抑揚をつけてうまいこと誤魔化したりしてます(笑)。「チョコヴァン」は中でも特殊で、千代が「好き」とか言わないんですよね。なので言葉じゃなく絵で伝えるしかないと思ってイチャイチャシーンに全身全霊を注いでました。少しずつ体を許してく千代の気持ちを雪が汲み取ることで、千代の気持ちを読者さんにどうにか伝えてましたね。
否定できない、だって私もわかるから
「彼女がいる人を好きになっちゃいけないってルールとかあるのかな?」
鳴海の憧れのカメラマン・鮫島ヒロキも鳴海に恋をした……。距離が縮まる2人に不安を感じる桃花だったが、「彼女がいる人を好きになっちゃいけないってルールとかあるのかな?」と、ヒロキからの純粋な問いに、決して否定することはできなかった。かつては自分も、萌愛と交際している鳴海に思いを寄せていたから。
わかっていても、消せやしないこの気持ち
「あたしだってフラれちゃったけど 青人のことが好きだもん…っ」
麻白と青人の心が通じ合おうとするその裏で、青人に片思いしていた姫乃は苦しい思いを抱えていた。フラれても、すぐには諦めきれない恋だから。
水瀬藍コメント
マンガを描いていて一番描きやすいと思うのは、実は切ないシーンです。連載を始めるときは、だいたい切ないシーンが頭にあって、そこに向かって物語を進めます。「なみだうさぎ~制服の片想い~」や「ハチミツにはつこい」はヒロインがフラれてしまうところですね。「恋降るカラフル~ぜんぶキミとはじめて~」は上記にある姫乃との友情シーンです。「青ロテ」はそれをまったくなくして描き始めたので底抜けに明るく、上へ上へ気持ちが上がっていく作りに。なので、本当に苦手なことへの挑戦だったのですが、たくさんの方に楽しんでいただける連載になってよかったです。
……なんて言えたらいいのに
「素直で可愛い女の子になりたいよ」
未来のことを思い、あえて突き放す言葉を投げかけた陵。一方で未来も、素直な思いを伝えられたらと悔やんでいた。
思い出もこの気持ちも、リセットされちゃうの?
「やっと やっと両想いになれたのに!」
大翔が過去を変えようとし、2人に残された時間はあと1分。大切な思い出も、積み重ねてきたお互いを思い合う気持ちも、もうすぐ2人からはすべて消えてしまう。涙でぐしゃぐしゃになりながらお互いの気持ちをぶつけ合う2人の姿に、思わず胸が締めつけられる。
くまがい杏子コメント
私の描くヒロインは恋愛に消極的な子が多いので、切ないシーンは必須なんです。失うつらさを知って初めて動き出してくれるので。でも困ったことにヒーローはヒロインを傷つけたりしない溺愛男子ばかりですし、恋のライバルもほとんど出さないので……そこでまたファンタジーという設定に助けられてました。「あやかし緋扇」の陵は特に、砂糖のように未来に甘いゆえに考えるのに苦労しました。結果、優しさゆえの「守るために突き放す」展開ができ、未来は陵と離れまいと必死になってくれたのです。
手紙に書いて、届けたい
「伝えたいのは心だから」
「大切な人たちにいっぱい感謝をしたい」。自身の誕生日を迎えるにあたり、桃花はこれまで支えてくれた友人たち、そして大好きな鳴海に心からの思いを届けようと手紙を書く。感動のクライマックスを演出する印象的なシーンだ。
幼なじみから家族へ
「結婚してください」
作中でもたびたび“家族”の姿が描かれてきた「ハチミツにはつこい」。このシーンは幼なじみだった2人が、家族への一歩を踏み出した瞬間だ。
同じ人を好きになった、それでもあなたと友達になれてうれしかった
「姫乃ちゃんと友達になれてうれしかった…っ」
「あたしだって…超うれしかったんだから…っ」
同じ人を好きになってしまった麻白と姫乃。それは2人にとって、とてもつらいことだったけれど、何よりも伝えたいのは、「あなたと友達になれてうれしかった」。
幸せなタイトル回収
「ずっとしあわせな曲がかかってるみたい」
「しあわせがヘビーローテーションしてる」
幸せにあふれた笑顔で「榛名くんのためにすることって なんでもうれしい」と伝える奈緒。そんな奈緒に榛名は「奈緒といると ずっとしあわせな曲がかかってるみたい」「しあわせがヘビーローテーションしてる」と微笑みかける。こんなハッピーなタイトル回収があるだろうか!
水瀬藍コメント
毎話必死で描いてるので、どのシーンも思い出深いのですが、やっぱり「なみだうさぎ~制服の片想い~」のラストですね。描いている時代、ちょうど連絡はメールが当たり前になっていて、手紙をみんな書かなくなっていました。だからこそ、あえて、桃花には手紙を書いてもらいました。桃花なら暖かさを感じる手紙にすると思って。たくさんの人に「最終話の手紙よかった!」と言ってもらえてすごくうれしかったです。
一途に思い続けてきたからこそ
「あたしの人生には はじめくんが必要なんです」
「しずかには失望した」。そう言って去ってしまったはじめ。そんなはじめにしずかは心からの言葉で「あたしの人生にははじめくんが必要なんです」と訴える。10歳のときに出会ってから、一途にはじめを思い続けてきたしずかの強い愛が表現された。
本当の別れ
「“あなたをそこまで追い詰めてしまってごめんなさい”って」
未桜の生まれ変わりとして、前世から時雨に思われ続けていた未来。最期には未桜の言葉として、時雨に気持ちを伝える。
その涙に詰まった思いは
「はじめて見た 男のコの涙は とてもキレイで おもわず見とれてしまった」
都を救うため、数え切れないほどのタイムリープを重ねてきた司。その事実を知った都は涙を流すが、同じく涙をこぼす司が抱えてきた思いや苦悩は、どれほどのものだったのか。このシーンに限らず、くまがい杏子作品は感情があふれ出すキャラクターの表情が魅力的だ。
2人らしいやりとりが心地いい
「腕 組まないほうがいいんじゃない? 身長差が目立つわよ」
「これでいいんだよ すぐに千代より高くなってやるから」
「恋人同士になれたという確証がほしい」という雪の願いを聞き入れ、篝月家が用意したドレスを身にまとう千代。礼拝堂を並んで歩く2人の軽口を叩き合う様子が、千代と雪の関係性を表していて心地のよいシーンだ。
くまがい杏子コメント
「片ラビ」の司が泣いてしまうシーン。ここが「片ラビ」のターニングポイントだったなと思ってます。ファンレターなどの感想で、「司が好き」と言ってくださる読者さんがこの回で急増してびっくりしました。私の中で司は絶対泣かせたいと思ってたので、みんなの癖に刺さってホッとしてほんとにうれしかったです。「チョコヴァン」で思い出深いのは最終回。卒業後の結婚式かと思わせて夢オチ、雪と千代が高校生のまま幕を閉じました。これは「また学生の2人にいつでも会えるように」という思いを込めたからです。(10月3日に発売される)Sho-Comi21号の番外編もですが、また機会があれば「チョコヴァン」を描けたらうれしいなと思っています。
水瀬藍&くまがい杏子の合同原画展が開催決定!
「水瀬藍&くまがい杏子画業20周年記念原画展~みなくま展~」
- 期間
- 2026年1月9日(金)~2月1日(日)
- 時間
- 11:00~20:00
※最終入場は閉場の30分前まで
※最終日の2月1日は17:00閉場(16:30最終入場)
※状況により営業時間は変更になる場合がある。 - 会場
- 東京都 有楽町マルイ 8F イベントスペース
Sho-Comiで連載中の「青春ヘビーローテーション」「東京§神狼」、そしてヒット作「恋降るカラフル~ぜんぶキミとはじめて~」「あやかし緋扇」など、心ときめく数々の少女マンガを生み出してきた水瀬藍とくまがい杏子の初の合同原画展が開催決定。画業20周年を記念し、2人が描いてきた原画展の数々が展示される。
2026年1月24日(土)には、水瀬とくまがいによる「原画展ツアーイベント」も実施。事前抽選制となるため、詳細は公式サイトをチェックしよう。
なお原画展の開催を記念し、10月3日発売のSho-Comi21号には2人のヒット作である「ハチミツにはつこい」「チョコレート・ヴァンパイア」の描き下ろし番外編が掲載された。水瀬は「ハチミツにはつこい」の主人公・小春の親友であるすみれを主役としたエピソード、くまがいは「チョコレート・ヴァンパイア」の雪と千代のその後のエピソードをそれぞれ執筆。巻頭カラーに掲載される。
プロフィール
水瀬藍(ミナセアイ)
6月3日生まれのふたご座。血液型はB型。広島県出身。デビュー作は少女コミック増刊2006年10月15日号(小学館)に掲載された「Mistake!」。「なみだうさぎ~制服の片想い~」では200万部、「ハチミツにはつこい」では300万部を突破。2020年からはSho-Comiで「青春ヘビーローテーション」を連載中。単行本は17巻まで刊行されており、作者にとって最長連載作となる。
あいすた【水瀬藍公式情報アカウント】 (@wildberry325) | X
くまがい杏子(クマガイキョウコ)
2月14日、山口県生まれ。O型。2006年に少女コミック(小学館)に掲載された「キミの手で、あたしを」でデビュー。2011年から2013年までSho-Comi(小学館)で連載した「あやかし緋扇」がシリーズ累計200万部を超えるヒットを飛ばし、同誌のファンタジー作品を牽引する存在に。2023年からはSho-Comiで和風×獣人ファンタジー「東京§神狼」を連載中。
水瀬藍コメント
カッコよければよいほど、拗ねたり甘えたりのギャップがかわいいので、それが出るときは描くときも楽しいです。特に「青ロテ」の榛名はそうですね。独占欲強めが好きです。