これは「いい最終回だった」が堪能できるRPGだ!「惑星のさみだれ」「プラネット・ウィズ」の水上悟志が語る「メギド72」

「メギド72」は、DeNAが2017年12月より提供しているスマホ向けRPG。悪魔を使役する力を持つ青年が、世界の危機を救うため奔走する、ハードな世界観と重厚なストーリーが魅力の作品だ。2019年には優れたゲームを表彰する「日本ゲーム大賞」にて、「年間作品部門」の優秀賞に選ばれている。

コミックナタリーではそんな「メギド72」の特集を展開中。今回は「惑星のさみだれ」「プラネット・ウィズ」などの作品で知られるマンガ家・水上悟志に本ゲームをプレイしてもらい、感想を聞くとともに、マンガを描き下ろしてもらった。圧倒的な構成力でファンを惹きつけている水上は、「メギド72」のどこに注目したのか。まずは描き下ろしマンガをご覧あれ。

取材・文 / 鈴木俊介

水上悟志 描き下ろしマンガ

水上悟志 インタビュー

「いい最終回」を提供してくれるゲームです

──水上さんは物語の構成や演出が上手な方として、ファンから定評がある方かと思います。そんな水上さんから見て「メギド72」はいかがでしたか?

ストーリーが面白いですね。まだ3章をクリアしたところなんですけど、尺もちょうどいいし、章ごとに盛り上がりがしっかり用意されていて気持ちいい。「いい最終回だった」がきちんと味わえるというか、大作映画を見終えたような満足感がありました。

3章ではハルマゲドンを止めるため、ソロモンたちが命懸けの作戦を決行。最終決戦のような盛り上がりが待っている。

──マンガにも描いてくださっていましたね。「いい最終回だった」と感じられる理由は、本作の場合どんなところにあるんでしょう。

起承転結がちゃんとしているのはもちろんですけど、引き伸ばしたり、出し惜しみしたりしている感じがまったくしないんですよ。こういう構成は非常に好みで、ポイントが高かったです。敵味方の行動に対する理屈付けもしっかりしているから、話運びに無理がない。本当によく考えられているなと思います。ネタバレになってしまうので具体的には言えないですけど、特に3章終盤の展開には燃えました。プレイしながら「え? 俺まだ始めたばっかりなのに、こんな序盤でそんなとこまでやっちゃうの?」って思ったくらい。最後にはいい感じのイベントスチルまで表示されて、「いい最終回だった」と。

もちろん4章以降も物語は続く。未開の地を冒険するソロモンの前に、強力な“不死者”たちが立ちはだかる。

──確かに、3章は一区切り感がありますよね。今は7章まで配信されているんですが、4章以降は物語がさらに大きく広がります。個人的には、次は5章クリアまで進めていただけると、3章をクリアしたときのような「いい最終回だった」を感じていただけるかと思います。

うん、3章までを見て、このゲームからは「いい最終回を毎度提供する用意があるぞ」という気概が感じられましたし、こちらもそこに対する信頼感みたいなものが芽生えましたね。スマホRPGって、どうしても「終わらなさそう」という先入観があったんですよ。なるべくコンパクトに終わらせたいし、「クライマックスを見たい」という気持ちがあるので、終わっていない作品は敬遠しがちで。ただ物語の区切りを短く提供できるというのは、コンシューマと違う、スマホRPGのいいところかもしれないと思いました。ゲームの中のお知らせで「7章3節」という文字を見たときは、正直「けっこう長い話なんだな」と感じたんですが、こういうゲームならこの先も付き合っていけそうだなと。