「マンガ5」日野晃博(レベルファイブ 代表取締役社長 / CEO)インタビュー|ゲームの枠を超えたレベルファイブの新たな挑戦 「マンガ5」が目指すのはマンガサイトじゃない

マンガ5と呼んでいいの?と言われるようなサイトに

──「オトメ勇者」はマンガでなく、シナリオと絵、そして音が楽しめる“ポケットストーリー”という形式で配信されています。マンガにこだわらないんだということも今日はお話しいただいておりますが、「オトメ勇者」は手触りとしてはゲームに似ていて、マンガサイトとして見ると異質に感じました。

冴木ちさ(シナリオ)、倉花千夏(キャラクターデザイン)、近藤嶺(音楽)「オトメ勇者~next adventure~」
「オトメ勇者~next adventure~」冴木ちさ(シナリオ)、倉花千夏(キャラクターデザイン)、近藤嶺(音楽)

勇者に選ばれた少女アステルは、魔王討伐のため個性豊かな24人のスレイヤーとともに旅に出る。しかし、勇者とともに魔王に挑めるのは最強の戦士グランスレイヤーの称号を得た者のみ……2人の愛で世界を救うRPGがポケットストーリーで復活!!

日野 これは僕がマンガ5でやりたかったというよりも、「オトメ勇者」を作っていたクリエイターからの要望ですね。スマホゲームとしてはサービス終了しちゃったけれど、支持してくれるファンの方々に物語の続きを届けたい、しっかり完結させたいと言われまして。そういうことであれば、マンガ5という場所は、物語をしっかりファンに届けるという意味でもちょうどいい場所なんじゃないかと。

──スマホゲームとして運営していくには、お金も人も必要になってしまうけれど、マンガ5であればもっと身軽に物語を届けられる。

日野 そうですね、スマホゲームではどうしても、収益をあげなくてはいけないので。実際にファンの皆さんにも、バトルや育成、ガシャといったゲーム性ではない部分に魅力を感じている方が一定数いて、お話をもっと読みたい、世界観にもっと浸りたいという声が届いている。それに対してクリエイターがちゃんと応えたいと言っているのであれば、最後までしっかりやってもらおう、面白いものを届けてもらおうということになりました。

──「オトメ勇者」をはじめ、映像になるという福山さんの作品など、今後マンガ以外の作品も充実していくのでしょうか。

日野 スタート時点では準備時間の関係もあり、シンプルなものが多いんですが、マンガに限らずいろんなパターンを発信していこうと考えています。今後の展望という意味で言うと、もちろんマンガの数も増えていくでしょうが、僕はマンガ5を、マンガのサイトとしてただマンガの登録数を増やしていく方向ではなく、マンガのコンテストをやったり、誰もが気軽に作品を見せ合えるような環境を作ったりすることで、クリエイターたちの集う場所にしたいんです。うちのマンガを読んで刺激を受けた人が、自発的にその外伝を描いて投稿してもいいと思う。

──それはたとえば、「The MapMakers」のサブキャラクターを好きになった人が、「彼を主人公にした物語を描いてみました!」と作品を発表してくれてもいいと。

日野 ええ。そういうことも肯定したいし、推進したいと考えています。「マンガ以外もいろいろあるのに、“マンガ5”と呼んでいいの?」と、言われるようなサイトを目指します!

新しいことをやれる環境を、レベルファイブは持っている

──マンガ5はプロ・アマ問わずのマンガコンテストや、自由に作品を見せあえるコミュニティなど、新人の発掘にも力を入れている印象を受けました。その辺りの意識もお聞きできますか。

マンガコンテストの案内。
マンガコンテストの案内。

日野 優先度として高いのは、新しいものを生み出せる人。だから別に新人じゃなくても、かつてないような新しいものを作ってくださるなら、ベテランでもいいんです。若くて才能ある子を青田買いしようってわけではなく、ベテランでも少年少女でも大丈夫なので、新しいものを一緒に作れる人を探していますってことですね。だからもしベテランのマンガ家さんが、ほかの編集部さんが受け取ってくれないトガった作品の案を持っていて、それをこっちでやれないかと言われたら相談に乗ります。そういう感じです。

──作家としての原石というよりは、アイデアの原石を持っている人に来てほしい。

日野 そうですね。とにかく今は新しい作品をどんどん見たいと思っていますので、皆さんぜひ応募してください。

──最後に、マンガ5の今後が楽しみになるようなメッセージをいただけますか。

日野 これからはただマンガを読むだけじゃなく、絵が動いたり、音を聞いたり、ボタン操作があったり、超豪華声優に声をあててもらったり、そういう作品もどんどんやっていきます。システム的にはもうできあがっていて、スタジオや人脈など、やれる環境をレベルファイブは持っている。人狼的なことをやって犯人当てをするような映像作品とか、なんのジャンルにも入らないようなものを発信していけるといいなと。僕はマンガ5から1つでも、すごく話題になるような新しいIPが生み出せれば、それだけで「このサイトを作った甲斐がある」と言えると思うんです。まずはその1つを生み出すためにがんばっていきます。新しく、そして面白いことをやりたいと思ってますので、お楽しみに。

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