ジャケットの女の子は、お客様と目が合うように
──MVはもうご覧になられましたか? 先日、橋本さんの公式Twitterアカウント上でティザー映像が公開されましたが。
まだ完成途中のものしか観てないんですけど、「すごい、映画みたい」って思いました。 全シーンが印象強くって。
──「金魚の糞」を実写化したかのような内容でしたけど、ストーリー展開が異なるところもありますよね。
そうですね。マンガと見比べながら、異なる部分も楽しんでいただければ。ただ、男のもろさと女の強さが表現されているという点は原作と変わらずです。なんというか女の子に聖母感があって、すごくいいなって。
──後半のシーン、女の子は父親から追い詰められている状況にもかかわらず表情は穏やかですもんね。
たぶんこのMVって、受け取る側によって全然違う解釈になるんじゃないかと。だからいろんな人に感想を聞いてみたいです。
──本映像の解禁が楽しみですね。ちなみにCDのジャケットは桜田先生の描き下ろしですが、こだわりのポイントはありますか?
このいい曲をよりたくさんの方に聴いてほしくて、少しでも私にできる仕掛けはないかなと考え、女の子のイラストはとにかく、手に取ったお客様と目線が合うように意識しました。そして「君は容疑者」というタイトルを見て、「犯罪? 誰が何をしたの?」と気になってジャケットを開いてもらえたらいいなと。
橋本さん、人間ドックと緑黄色野菜を忘れずにね
──桜田先生の最新作「執事たちの沈黙」6巻を購入した人は、MV本編を先行視聴できるそうですね。
そうなんです。
──「執事たちの沈黙」は昨年「全国書店員が選んだおすすめコミック」にランクインして、 注目度もさらに上がったのではないでしょうか。
「おいらプライベートでメンズに振られてつらたんだから明るいマンガ描いて元気だしたいお」っていうクソふざけた思いから描き始めたので(笑)、こんなに評価してもらえてびっくりしました。人生って本当にわからない。すごくうれしいです。
──「執事たちの沈黙」と「金魚の糞」を比べて、執筆スタイルや絵柄、ご自身の心境の面で変化した部分はありますか?
うーん、生きてると日々心境も変わるからなあ。そのときによって描いてみたいものは変わりますね。5年後にはナマコの生態についてとうとうと語る誰得なマンガを描いてるかもしれませんし(笑)。そういえばちょっと前に「○○(有名ギャグ作品)みたいなマンガを描きたい」って担当さんに言ったら、うっすらとした目で「まあ20年後とかなら」って返されてしまったから、ナマコはもっと先だろうな……。
──(笑)。反対に、「金魚の糞」連載時から現在まで一貫して変わらない部分はどこでしょう。
まつげに対するこだわり(笑)。まつげと眉毛のパーツを描くのが好きなんですけど、いつも理想のカーブを追い求めて、CカールでいくかDカールでいくかとか考えて……。あ、まつエクでいうところのカールの角度のことです。そこに関しての執着は、今も昔も変わらないですね。
──今度から注目して見てみます(笑)。では最後に桜田先生のファン、橋本さんにそれぞれひと言ずついただけますでしょうか。
読者の方は、いつも応援ありがとうございます。「執事たちの沈黙」6巻は見たいシーンをたくさん詰め込んだので楽しんでください! また素晴らしい才能をお持ちの橋本さん。きっとこれからさらに大きく羽ばたかれていくのだと思います。橋本さんの作品を、これからもいちファンとしたくさん触れ合える楽しみがある。こんなにうれしいことが人生にあるかと思うと、健康第一で生きていかねばと思いますね。橋本さんも、どんなにお忙しくても健康にだけは気を付けてくださいね。年1回の人間ドックと、緑黄色野菜を忘れずにね……。影ながら応援しています。
- 橋本裕太「君は容疑者」
- 2018年6月27日 発売 / SME Records
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初回生産限定盤
[CD+フォトブック]
1944円 / SECL-2301 -
通常盤
[CD]
1080円 / SECL-2303
- 収録曲
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- 君は容疑者
- KAKERU
- おかえり
- 春服
- 桜田雛「金魚の糞①」
- 発売中 / 小学館
- 桜田雛「執事たちの沈黙⑥」
- 発売中 / 小学館
- 橋本裕太(ハシモトユウタ)
- 仙台出身のソロボーカリスト。とろけるような歌声は、ファンの間で“メルティーボイス”と呼ばれる。SNSにアップしたカバー動画は現在約5000万回再生を突破し、女子中高生を中心に話題に。デビューシングル「NEW WORLD」はテレビアニメ「DIVE!!」のEDテーマに採用され、iTunesチャート初登場5位を記録した。
- 桜田雛(サクラダヒナ)
- 静岡県出身のマンガ家。2004年、Cheese! 3月号増刊(小学館)に掲載された「犯罪♥恋愛」で高校生のときにデビュー。以降、「王子達は依存する」「花はナイフを身にまとう」「金魚の糞」「太郎くんは歪んでる」などを発表。累計70万部を超える「執事たちの沈黙」は、最新6巻が発売中だ。
2018年6月2日更新
橋本裕太からコメントが到着!
「君は容疑者」は「大好きな人がもし罪を犯してしまったら、僕はその人を庇う事は出来るだろうか、それとも見捨ててしまうだろうか……」という小さな妄想から始まった曲です。自分的にはこれは究極の選択だな、と思いまして。ここでもし守れることが出来るのであれば、それは究極の愛だなという風に思いました。歌詞の世界が結構ハードな内容なので、ライブで歌うときもタイトルを言わず披露してきた楽曲だったのですが、ファンの皆さんからの評判もよく今回のリリースに繋がりました。そんな制作中に、担当ディレクターの方から「君は容疑者」の内容と桜田先生の作品「金魚の糞」がかなりリンクしている事を教えていただき、速攻全巻購入し読ませていただきました。かなり複雑な人間模様が描かれていて、自分が描いていた「君は容疑者」の世界とリンクしていました。恐怖さえ感じたのですが(笑)、同時にすごくうれしくなったのを覚えています。そこから桜田さんの作品が好きになりまして、じっくりコミックも読ませて頂き、歌詞も何回か書き直しました。よりメッセージ性の強い、「菊吉」が「金魚」に対する想いを付け加え、より「金魚の糞」の世界に近づいたのかなと思っています。MVは「金魚の糞」世界を表現し、かなりハードな作品になったと思います(笑)。だけどそこが重要ではなく、その中にもアーティスティックな色遣い、表現、役者さん達の演技が含まれていて、かなりハイクオリティなMVが完成したなと思います。