「ガールズ&パンツァー 最終章」4D上映特集 脚本・吉田玲子インタビュー|シナリオは普段のアニメの1.4倍 総勢100人以上のキャラが織り成すシリーズ総決算の始まり「最終章 第1話・第2話」を振り返る

サメさんチームを一番怖がりそうなウサギさんチーム

──続いて濃いキャラクター揃いのサメさんチームについて伺います。「ガルパン」は当初から学園艦が登場していましたが、船舶科がいるという設定はあったのでしょうか?

企画の初期には「学園艦が動いているなら、それを動かしている生徒がいるのかも」というぼんやりとした話はありました。それで「最終章」の新しい仲間として船舶科の生徒たちを初めて描くことになり、「学園艦の底のほうにいるから荒くれ者だろう」「船舶科だから海賊だよね」という話からキャラクターイメージが作られていきました。

──サメさんチームで特に思い入れのあるキャラクターは?

特定の誰かというより、全体のバランスに気を付けました。「最終章」で一挙に登場するので、この集団をどう印象付けようかと考えて。

──「第1話」「第2話」でウサギさんチームとの絡みが多いのもそこを意識してのことでしょうか。

「第2話」より。ムラカミらサメさんチームに怯えるウサギさんチーム。

少しガラの悪いチームが仲間になって、どこが一番反応するかを考えるとウサギさんチームは怖がるだろうなと。そこの絡みは意識して繰り返しました。

──おかげで「第2話」ではすっかり大洗女子学園に馴染んでいました。キャラクター人気が高いですよね。カトラスとか。

カトラスはあまりしゃべらないキャラクターなので、キャラクターデザインの力でグッと素敵にしてもらえたと思います。

──存在感が抜群ですよね。「ガルパン」には口癖が特徴的なキャラクターも多いですが、個人的にはラムの「うほっ」がツボでした。

それは私が入れたんですけど、水島監督に「この口癖もいいんだけど、声優さんにどういう感じで言ってもらったらいいのか……」と悩ませてしまいました。最終的にはその口癖も残っていたのでよかったです。

──「最終章」では既存のキャラクターの新たな一面が見られたのも印象的です。例えば桃と沙織をはじめとする新旧生徒会の交流は新鮮でした。

桃と沙織、杏と華はこれまであまり会話をしてこなかったはずですが、生徒会が代替わりして引き継ぎのために交流が始まって。沙織なんて桃の実家まで行くことになりましたが、そういった今までになかった組み合わせを描くのは楽しかったです。

「第2話」より。引き継ぎの一環で沙織は桃の実家を訪ね、彼女の家庭環境を知る。

──妙にリアリティのある桃の実家ですが、どのように設定されたのでしょうか?

「最終章」では彼女の留年騒動が大洗女子学園の戦うきっかけになりますが、「経済的な理由もあるとファンも応援しやすいだろう」という考えから彼女の家は子沢山になりました。「この苦労人のお姉ちゃん、国立大学に行ってほしいよね」と自然に思ってもらいたくて。あと生徒会に便宜を図れるような家にしようと思い、文房具やコピー用紙を融通できそうな文具店にしました。

渕上舞さんの予想は「評論家視点では正しいのでは?」

──「第2話」はアズミがBC自由学園のOBだと触れられたり、どこかの高校に編入しようとする愛里寿の姿が描かれたり、大学選抜チームのファンもうれしい内容でした。

アズミたちは、大学生として登場するからにはどこかの高校のOGのはずなんですよ。ただTVシリーズのときはあの3人のキャラクターは存在しなかったので、登場しなかった。そこから彼女たちは、TVシリーズに登場していない学校のOGとなりました。愛里寿は、以前のBlu-ray / DVD特典の話の流れですね。

「愛里寿・ウォー!」より。未体験だった高校生活を送るため、愛里寿は大洗女子学園にやってくる。

──「劇場版」特典のOVA「愛里寿・ウォー!」ですね。「第2話」で愛里寿はみほとボコミュージアムを楽しんでいました。その台本を読むと、ボコのセリフはアドリブが多いようですね。

はい。ボコは水島監督が「こんな感じで」とデザインを指示したのもあってか、大のお気に入りなんです。だからボコの劇みたいな部分は大体お任せしています。

──キャラクターの成長も「最終章」の見どころですが、顕著なのは「第2話」の知波単学園です。

知波単学園は、大洗女子学園のアヒルさんチームとの関係がきっかけで成長しましたよね。両者は「劇場版」で少し絡みがあったので、それを活かしたんですけど。その後、福田が個人的にアヒルさんチームと仲良くなり、一緒にたらし焼きを食べることでこれまでの突撃一辺倒だった戦術を変えるヒントを得る。そうした過去の細かい描写を拾って、関係性を積み上げてくという点は意識しています。

──その福田の進言を意気に感じて、西絹代が「撤退だ!」と命令を下す流れは感動的でした。

大洗女子学園はTVシリーズの全国大会で優勝したチャンピオンなので、「最終章」は彼女たちが「打倒大洗」に燃える他校に挑まれるという構造なんですよ。だからBC自由学園は仲が悪かった生徒たちが結託するし、突撃ばかりしていた知波単学園も勝つために成長を見せるんです。

──なるほど。まだあまり戦闘シーンが描かれていない他校の面々も、それぞれに変化していると思うと楽しみです。

期待を越えられるといいんですけど。試合の内容を考えるのは大変でしたけど、今後も戦車戦はとても面白くなるはずです。

──「第2話」中盤で無限軌道杯のトーナメント表が表示されます。もちろん大洗女子学園が軸に描かれるとは思うのですが、ほかの対戦もファン垂涎ものの組み合わせです。吉田さんが個人的にじっくり見てみたい戦いはどこでしょう?

「第2話」より、1回戦を終えた時点での無限軌道杯のトーナメント表。

やはり強豪同士のプラウダ高校と黒森峰女学園ですね。どちらが勝つのか、見応えがありそうなので。

──その一方で、みほ役の渕上舞さんは過去のインタビューで「大洗女子学園はどこかで負けて、優勝は黒森峰女学園」と予想されています。最後に、この予想についての感想をお聞かせください。

黒森峰女学園はとてもスペックが高いですからね。TVシリーズで大洗女子学園が勝てたのは奇策のおかげ、というか意外な感じはあります。だから評論家的な視点では正しいと思います……というところでしょうか(笑)。

──意味深ですね。「第3話」以降の盛り上がりも期待しております。

※記事初出時より、一部テキストに変更がありました。お詫びして訂正いたします。


2019年9月6日更新