「BanG Dream!」はブシロードが手がける“次世代ガールズバンドプロジェクト”。アニメ、ゲーム、マンガ、声優によるリアルライブなどと幅広くメディアミックス化され、その中ではPoppin’Party・Afterglow・Pastel*Palettes・Roselia・ハロー、ハッピーワールド!・RAISE A SUILENという6つのバンドがジャンルを超えて活躍している。
コミックナタリーでは1月23日に放送スタートするアニメ「BanG Dream! 3rd Season」に合わせ、Roselia・湊友希那役の相羽あいなとRASことRAISE A SUILEN・レイヤ役のRaychell、シリーズ構成と脚本を務める綾奈ゆにこの座談会をセッティング。「バンドリ!」に関して“ただのオタク”だと言う綾奈に、昨年11月30日・12月1日に千葉・幕張メッセ国際展示場4~6ホールで開催されたRoseliaとRASによる合同ライブ「Rausch und/and Craziness」の感想や、アニメのキャラクターに込めた思いについて聞いた。さらに相羽とRaychellが、Poppin'Party・戸山香澄役の愛美から届いた質問に答える一幕もあるのでお見逃しなく。
取材・文 / はるのおと 撮影 / 塚原孝顕
“ただのオタク”綾奈ゆにこが選ぶ「ラウクレ」名場面
──おふたりと綾奈さんはこれまでも何度も会われているんですよね?
綾奈ゆにこ アニメのアフレコにはなるべく行くようにしているので、そこでお会いしていました。
Raychell あとライブにもよくいらっしゃってくれてますよね?
綾奈 はい。でもライブ後の私はもうオタク全開なので、お会いするのが恥ずかしくて……。
相羽あいな なんでですか!
Raychell 私たちはライブ後にお会いできると「ゆにこさん、観てくださったんだー」とうれしいのに。
──Twitterを拝見していると、綾奈さんはかなり「バンドリ!」関連のライブに参加されていますよね。
綾奈 そうですね。最近は自分でチケット取ったりもしています。
相羽 遠い会場の場合でもライブビューイングで観てくださったりして。
Raychell うれしい。
綾奈 ライブは毎回発見があるというか、脚本のヒントをいただけるのでなるたけ参加したくて……まあ、ただオタクなだけですが。
──綾奈さん、「Rausch und/and Craziness」2日目の終演後に幕張から渋谷まで移動して、「バンドリ!」出演キャストが参加しているほかのコンテンツのイベントにも参加されていて、本当にオタクなんだなと驚かされました。
綾奈 ファンの方々と一緒にバタバタ移動しながら、「生きてる……」と実感がありました。
一同 (笑)。
──そんな脚本家兼「バンドリ!」の大ファンである綾奈さんから見て、「Rausch und/and Craziness」で印象的だった場面を3つ挙げていただけますか?
綾奈 いっぱいあり過ぎて、4つ言いたいんですけど……まずはRoseliaの「FIRE BIRD」。もうすごい、燃えました。
相羽 あの曲はメンバーも魂を削って演っている曲なので、そう言っていただけてうれしいです。
──「FIRE BIRD」は物理的にも燃えそうですよね、吹き上がる炎の演出があって。
Raychell 私もRoseliaの富士急ライブで見たんですけど、炎の高さと勢いに「絶対セットが焦げちゃってるよね!?」と驚きました。
綾奈 怖いですよね。
相羽 私たちも最初はびっくりしてたんですけど、だんだんと炎に慣れてきているんですよ。「今日はこのへんまで近づいても大丈夫だな」ってわかる。だから最近はギリギリを攻めていますね。
──続いて2つ目は?
綾奈 RASが「HELL! or HELL?」の前にやったソロバトルがびっくりしすぎました。まず小原(莉子)さんが肩の上にギターを担いで背面でギターを弾いて、「どういうこと? 歯ギターどころじゃないぞ!?」ってところから始まって、皆さんのすごいプレイが続いて……あれはどういう内容にするか、メンバー間で決めたんですか?
Raychell あそこのソロに関しては、まずメンバー個々で決めました。決められた尺でハマるものをそれぞれ考えてきて、お互いに聴きながら全体を決めていったという流れです。
綾奈 ただでさえRASの楽曲は難易度が高くて大変なのに、さらに宿題があった感じなんですね。RASさんって、Roseliaさんのように完成されたキャラクターや世界観を表現するバンドではないところが特徴で、何が出てくるかわからないところが面白いです。キャラクターたちはまだ発展途上というか、これからなので、キャストさんがそうやって新しいものをどんどん表現してくださっているのがありがたいです。
Raychell いやいや、RASはゆにこさんが産んでくださったと言っていいほどのバンドなので……。
綾奈 2019年2月まで、私は自分のことをRASのおばあちゃんだと思っていたんです。Raychellさんがお母さんだから。でも日本武道館で、「私たちがRASだ!」と言わんばかりのライブ(「TOKYO MX presents『BanG Dream! 7th☆LIVE』」DAY2:RAISE A SUILEN 「Genesis」)を見させていただいて、「おばあちゃんとか言ってる場合じゃない。親心みたいな気持ちで見守らなくてもRASは大丈夫だ!」と感じて以来、いちファンとして見ています。
想像の下地がたくさんある「バンドリ!」ライブ
──残る印象的な場面は?
綾奈 やっぱり2バンドで「BLACK SHOUT」と「R·I·O·T」をやったアンコールですね。
Raychell 特別なライブにしたかったので、初期の打ち合わせから「どうしても10人でステージに立ちたい」と言っていたんです。でも「ちょっと厳しいかも」という話もあったんですよ。
相羽 10人で同時に舞台に立つのって簡単なことじゃないので。でもスタッフさんがめちゃくちゃがんばってくれて実現できたので、私たちもそれに応えようという気持ちでした。
綾奈 おかげで見たかったものが見られてありがたかったです。めちゃくちゃ幸福な光景でした。あとは2日目の(氷川)日菜のギターのくだりもうれしすぎました。
──Roseliaの「BLAVE JEWEL」後、ディスプレイに合同文化祭の映像が流れて「Determination Symphony」へ。ステージ上の工藤晴香さんは作中の氷川紗夜同様、日菜のギターを持っているという、アニメ「2nd Season」第9話を再現した流れですね。
Raychell あれは感動しました。
綾奈 気が付いたら工藤さんがいつもと違うギターを持っていて……! あのギターを用意するのも、いつもと違うギターを弾くのも大変なのに……。
相羽 あれはくどはる(工藤晴香)が「9話で弾いてる日菜のギター、ステージで弾けないかな?」って提案したんですよ。それから「それなら映像を出してもらおう」となって。そんな提案に賛同してくれるスタッフさんも多くて、ありがたかったです。
──ちなみにRASが初日にPastel*Palettesの「もういちど ルミナス」をカバーした際は、パレオ役の倉知玲鳳さんのソロから始まりました。あれはパレオがPastel*Palettesのファンという設定を踏まえての演出でしょうか?
Raychell その前の「ゴーカ!ごーかい!?ファントムシーフ!」から空気感を変えたくてしっとりしたピアノを弾いてもらいましたが、もちろんその設定も考えていました。
──やはり、そういった文脈を踏まえたリアルバンドのライブって相当強いなと「バンドリ!」のライブではいつも感じます。
綾奈 観ている側が「もしかしてこれってこういうことなのかな?」とか自由に考えられる想像の下地がたくさんあるのがうれしいですよね。「もういちど ルミナス」は、RASの曲のときとは違ってRaychellさんがちょっと少女みたいな声で歌われるのが好きです。
相羽 ですよね。「かわいい!」って思った。
Raychell ありがとうございます。かわいいってなかなか言われないからうれしい(笑)。
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射止めにいってる目から生まれた相羽の眼力