ナタリー PowerPush - 柳原可奈子

珠玉の「○○な女」が勢揃い 初単独ライブの裏側を語る

人間臭い女性が気になる

──VTRも含めて、一番苦労したのはどのネタですか?

単純に暑さと朝の早さでVTRの「逃走中」が辛かったです(笑)。カツラで真っ黒の服着て走るのはもう辛かったー。

──本編のコントではどのネタが大変でしたか?

「休ませて~女」ですね。間を空けずにポンポン息もつかせぬような喋り方をする人だったので、調子が悪いと噛むんです。DVD用のカメラが入っているから「噛めないな~」って思ったのがすごいプレッシャーでした。稽古も一番大変だったんですよ。

──DVDでは見事に噛んでいませんでした。

昼公演で噛んじゃったので、DVDには夜公演を入れました(笑)。

──本編では8人のキャラクターが登場します。日々の生活の中でどのようにネタをストックしているんですか?

こういう人に運がすごくあるっていうか。嫌な目線って言ったら嫌な目線だと思うんですけど、普段生活してて「なんて愛おしいくらい人間臭いんだろう」っていう人と出会うと、気になってメモしちゃいますね。とくに女性で、なんか不思議な言い方、違和感のある言い方、面白い言い方っていうのを見て回るっていう。仕事中は、ほかのタレントさんのマネージャーさんやメイクさんを見てみたりとか。普通に友達の友達とか、近くの知人からヒントを得ることもあって、「そういう人はどういう服装をしてるかな」とか膨らませて考えていきます。最初はプロットで「○○な女って、こういうことを言う女」っていうのを書き出していくという作業なんですけど。「知らない?女」とかもそうですね。「私が○○だったの知らない?」って、みんな知っていて当然のことのように話してくる人が実際にいたんですよ。ロケで協力してくださった町の人なんですけど。「ああ、これはネタになるな」と。仕事の合間、合間にそういう人と出会って、そのたびにメモしています。

柳原可奈子

──ネタ帳にメモするんですか?

普段はケータイにメモしてます。たとえば「ご想像におまかせします女」だったら、「自分で話を振っておきながら、聞かれたら『ご想像にお任せします』と言っていた」くらいのことをメモしておいて、あとからそういうエピソードを集めて。で、いくつか集まってから台本に起こすんですけど、基本的にはケータイですね。

──ケータイを落とせないですね。

落としたら大変ですね。落として見られたら大変です(笑)。「あいつがあーだこーだ」って実名で書いてますから。やばいです、やばいです(笑)。

──こうやっていろいろな人物をネタにしていると、友達に警戒されないですか?

あはは! されます! めっちゃされます! 普通にロケに行ったエステティシャンの人にも言われましたからね。「私のことネタにしないでよ~」って(笑)。「そうやって言ってきた人はネタにしませんよ」って言ってますけど。

男性キャラを演じない理由

──男性キャラクターはなぜ取り入れないんですか

やっぱり男性が女性のブリッ子に気づかないのと一緒ですね。女性なので男性の愛おしくて可愛らしい部分をちょっと斜めからは見られないというか。やっぱり「カッコいいな」っていうところから入っちゃうから。そういう遠慮が同性同士だとないのでガツガツ見れるんですけど。男の人のことは男の人のほうがわかるだろうし。女性だからこそ、女性のことを冷静に見られるっていうのは特技かなって思って、あえて男性はやらないようにしてます。絶対かなわないです。やっぱ男性の面白いところは男性芸人がやると思うし。

──ということは、今回の登場人物の女性たちは気持ちがわかるというか、共感できるということですか?

柳原可奈子

はい、めっちゃわかります。共感する部分がすごいあります。自分にもそういうところがあるからドキッとして「ちょっと怖いな」と思いながらお客さんに観てもらえるのが一番理想的かな。

──男性は、いろんな女性の側面をネタとして見せられてやっと気づくというか。

そうみたいですね。本当に男の人ってねー、素敵。素敵って言っちゃった(笑)。 本当にお客さんで、カップルで来てくれてたり、夫婦で来てくれてたりとかすごく多くて、だから視点の違いをお互い楽しんでるんだろうなと思ったらちょっと嬉しいですね。私は女の人に向けて作ってるところがあるんですけど、蓋を開けてみたら男のお客さんもすごく多くて、どういう視点で見てくれてるのかなって。たとえば会社の同僚とかを「○○な女」って当てはめて観てくれているのか、まったく「そういうものなんだ!」って別視点で観てくれているのか、それは私が男性じゃないのでまったくわからないですけど。

──ネタで見ると「確かにこういう人いる!」みたいな感じなんですよね。ついつい見過ごしてしまうというか。

見過ごせるのが男性の素晴らしいところですよ。私はもう見過ごせないもん、ブリッ子なんて。「えっ!」と思って見ちゃうから。男性はそうじゃないから。

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柳原可奈子(やなぎはらかなこ)

アーティスト写真

1986年2月3日、東京都生まれ。2005年デビュー。「笑っていいとも!」「ペケ×ポン」(ともにフジテレビ系)などにレギュラー出演中。太田プロダクション所属。