お笑いナタリー Power Push - ナイツ

ナイツ初の漫才CDは自薦「スーパーベスト」 耳だけで楽しむナイツ漫才の決定版

ナイツ初の漫才CD「ナイツ爆笑漫才スーパーベスト」が11月11日にリリースされた。かねてより漫才のCD化を望んでいた2人の念願が叶った形だ。

今年2015年9月に都内にて200名のファンを前に公開収録が行われ、ナイツ自身のセレクトによるベスト漫才6ネタが披露された。CDには2人の掛け合いとともに、笑いの絶えない会場の雰囲気がそのままパッケージされている。

今回のインタビューではナイツに漫才CDへの思いや作品の聴きどころ、また「M-1グランプリ2015」への出場についても語ってもらった。「耳で聴いて笑うのに完璧な状態にした」と塙が胸を張る“CDで聴くナイツ漫才”の真髄とは。

取材・文 / 成田邦洋 インタビュー撮影 / 笹森健一

僕らの漫才は耳だけでイケる

──なぜナイツさんが漫才CDを出すことになったのか、その経緯を最初に教えていただければと思います。

ナイツ

塙宣之 僕が5年くらい前からずっとマネージャーさんに「漫才をCDにしたい。CDにしたら売れると思うんだけどな」って言っていたんですよ。もともと僕らは漫才をしている最中にあまり動かないので、画像がなくても「耳だけでイケる」のかなと。あと僕自身、たまにサービスエリアに置いてあったりするテレサ・テンさんのベスト盤とか、CDをよく買うんです。ドライブのときや電車の中で聴いてもらえれば……というのがCD化の狙いです。

──お2人の芸風とCDという形がマッチしているということですね。土屋さんはどうお考えですか?

土屋伸之 僕は車の中で、自分たちのネタ動画をイメージトレーニングとしてたまに流してるんです。そこで気付いたのが「うちらのネタ、笑わせるツボは画像があってもなくてもまったく一緒だな」と。運転中に音だけで楽しめる。

──塙さんと基本的に同じお考えですね。

土屋 それと、綾小路きみまろさんのCDが浅草演芸ホールの物販コーナーに置いてあって、未だに売れ行きがいいんですよ。きみまろさんのCDって、ギタレレ漫談のぴろきさんの「ぴろきストラップ」と同じくらいよく売れる(笑)。なので、ニーズはあるんじゃないかなと思いました。

僕らのネタをかなり観ている人でも新鮮に感じる

──このCDの音源は実際にお聴きになりましたか?

土屋 聴きました。

──いかがでしたか?

土屋 出来がすごくよかったです。漫才のテンポとお客さんとの“溶け具合”が理想的でした。

塙宣之

 めっちゃ笑うお客さんだったんですよ、ありがたいことに。笑いを足したんじゃないか?というくらい。足してないんだよって言いたいですね。ナイツが好きで好きでしょうがない人たちが来てくれたんで、ステージに出ていっただけで興奮していましたし、何を言っても笑う(笑)。やりやすかったです。いいお客さんでした。「M-1グランプリ」の2回戦とは全然違います(笑)。

土屋 漫才のCDを収録するのにアウェイでやるはずないですからね。楽しめるネタになっていると思います。

──タイトルに「スーパーベスト」と銘打たれていますが、ネタ選びはどのように?

 CDとしては1作目なので出し惜しみしちゃいました。「スーパーベスト2」を出そうと考えちゃった(笑)。とはいえ代表作ばっかりで、2008年くらいに作ったネタを主に選びました。初めに買ってもらう人にとっては一番いいと思います。全部「大好き」というのが裏テーマとしてあるんですよ。アニメ大好き、ドラマ大好き、アイドル大好き。CDのタイトルも「漫才大好き」にしようと思ったんですけど、それは超ダサいのでやめました(笑)。

土屋伸之

土屋 今までテレビや劇場でやったネタとまったく一緒のものは、1つもないです。部分部分のボケが一緒だったりとかはあるんですけど。新しいボケがけっこう入って、ブラッシュアップされているので、どれもこのCDでしか聴けないネタになっている。僕らのネタをかなり観ている人でも新鮮に感じると思います。

 「アイドル」や「ドラマ」のネタは、その世界で新しい人や作品が出てくるとずっと上書きできるネタですね。

──6本の中で特に思い入れのあるネタは?

 1本目から4本目まではいつものパターンなので、やっぱり5本目の「師匠」と6本目の「寿限無」ですかね。4本目までは、どっちかというと僕がずっと淡々としゃべっていく曲みたいなところがある。

──曲なんですか?(笑)

 5曲目と6曲目は好きですね。5曲目がバラードで、6曲目はオーケストラみたいな曲。この歳になって「すごくいいな」と思える曲に仕上がっています。

土屋 チャゲアスのアルバムでいうと、ちょっとチャゲのパートが増えるんですよ。

 チャゲのパートが多い曲が、意外にいい曲だったりするんですよね。

土屋 「師匠」のネタは、今まで1人や2人の師匠をイジって寄席とかでやっていますけど、今回は6組くらいの名前を出したのかな。聴いていると「師匠酔い」があるかもしれないです(笑)。

──「寿限無」もロングバージョンですね。

 本来「寿限無」は15分聴いて初めて面白いネタなんです。テレビでやるときのテレビカットは、ちょっとフリが弱すぎちゃう。フルで聴いてもらいたいので、CDにちょうどよかった。昔、坂本龍一が出した「ZERO LANDMINE」みたいな感じです。

漫才CD「ナイツ爆笑漫才スーパーベスト」2015年11月11日発売ドリーミュージック・ / 2700円 / MUCD-1329
漫才CD「ナイツ爆笑漫才スーパーベスト」
収録内容
  1. 漫才1「アニメ」
  2. 漫才2「ドラマ」
  3. 漫才3「アイドル」
  4. 漫才4「映画」
  5. 漫才5「師匠」
  6. 漫才6「寿限無」
ナイツ

ナイツ

左 / 塙宣之(ハナワノブユキ)
1978年3月27日生まれ、千葉県出身。

右 / 土屋伸之(ツチヤノブユキ)
1978年10月12日生まれ、東京都出身。

マセキ芸能社所属。大学時代の先輩後輩同士で2001年にコンビを結成した。2003年「漫才新人大賞」大賞、2008年「お笑いホープ大賞」大賞など受賞歴多数。11月11日に初の漫才CD「ナイツ爆笑漫才スーパーベスト」を発売した。11月14日、15日に東京・国立演芸場で「ナイツ独演会 顎を引いて頑張れ。」を開催する。