バンドでやったほうが何倍も力になれる

──ZEPPET STOREの再結成は、東日本大震災がきっかけなんですよね。

木村世治（Vo, G）　はい、まさしく。私、福島県のいわき市の出身なので、ソロでチャリティCDを震災後すぐに作ったんですけど、YANAから「ZEPPET STOREでも何かできないかな。1人で動くより、4人や5人でまとまった力のほうが大きくなるんじゃないのかな」って提案があって。それでまずライブを1本やろうってなったんですけど、時間と労力がかかってしまうので、だったら家に簡易スタジオもあるから曲を作って配信したらどうかな、ってアイデアが出てきて。そこで手応えのある曲(「SMILE」)ができたので、配信をしたんです。その後に「みんなそれぞれの活動もやっているんだし、いっそのことそのライブでも売れるようにCDにしよう」ってなって。だったらカップリングに、初代のギタリスト五味誠も呼んで、5人の曲も入れようと「IF YOU WANT ME」ができて。そういう手応えが一つひとつ増えていって、このアルバムになったんです。

──一気に話していただいた中に、訊きたいポイントがいっぱいありますね（笑）。まず再結成の話は、世治さんではなく、YANAさんから出てきたものだったんですね。

木村　そうなんですよ。ZEPPETで何かできたらすごいことだなと思ってはいたんですけど、解散を切り出した自分からは言い出しづらくて。そうしたらYANAが「せいちゃん、ZEPPET動かそうよ」ってメールをくれて。それでメンバーに話を振ったんです。

赤羽根謙二（G）　いや、実はYANAからは先にせいちゃん以外のメンバーに話をしてたんだよね。

木村　そうなの!?

赤羽根　「せいちゃんにこういう話をしたいんだけど、どう思う？」って。

木村　そうなんだ（笑）。気を遣っていたんだろうね、いわきの人間だから。

赤羽根　せいちゃんのTwitterをYANAが読んでいて、そういう気持ちになったみたい。

──赤羽根さんは、YANAさんの意見を聞いてどう思ったんですか？

赤羽根　あのー、ZEPPETの再結成は、自分の頭の中にははなからなかったんですよ。だけど自分も近しい人が震災で被害に遭って何かしたいなって思ってたんですけど、いかんせん1人の力では、ねえ……。それで震災から1週間ないくらいで、YANAから連絡があったんです。僕の知り合いもまだ家族の安否がわからない状態で、自分もナーバスになっていたときに話が来たから、バンドで固まってやったほうが何倍も力になれると思って、じゃあいいよって思えたんですよね。

──震災がきっかけとはいえ、誰も「俺はちょっと……」っていう人がいなかったんですね。

赤羽根　そうですね。