音楽ナタリー Power Push - UROBOROS

新作に混ぜ合わせた2人の反抗心

コンポーザー、プロデューサーとしても活動している黒瀬圭亮(Composer, Manipulate)を中心に、上木彩矢(Vo)、BABYMETALの“神バンド”のメンバーとしても知られる大村孝佳(G)らにより結成されたUROBOROSが新作音源「ZODIAC」をリリースする。昨年10月に開催された初ライブ「UROBOROS secret live "DARK REDEMPTION"」を経て、より振り切った楽曲制作が可能になったという彼らは、“権威や常識に対する反抗”をテーマに今作を完成させた。

音楽ナタリーでは前回に続き黒瀬、上木にインタビューを実施。新作「ZODIAC」の制作背景や、4月29日に東京・渋谷 TSUTAYA O-EASTで開催されるワンマンライブ「THE ARK OF ZODIAC」への意気込みなどを語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤倫人

前作以上に思い切った

──前作「ANOTHER ARK」リリースのあと、100名限定シークレットライブを開催しました(参照:UROBOROS、ノンストップで全曲披露した熱狂の一夜)。UROBOROSにとって初めてのステージだったわけですが、今振り返ってみてどんなライブでしたか?

黒瀬圭亮(Composer, Manipulate)

黒瀬圭亮(Composer, Manipulate) 当時は曲数も少なかったし、ライブというよりお披露目会という感じだったんですが、あのメンツ(大村孝佳、中村泰造、笹渕啓史)でお客さんの前で演奏したことはすごくいい経験だったし、あのライブを経たことで見えてきたものもあって。曲を作るという視点で言えば、メンバーの手癖や得意技を見られたし、「上木彩矢というボーカリストの歌をさらによく聴かせるためにはどうしたらいいのか?」ということを改めて考えるきっかけにもなりましたね。

上木彩矢(Vo) まず集まっていただいたお客さんの熱量が高かったんですよ。我々UROBOROSにとっても初めて音を出す場所だったから、テンションがすごく上がっていて。とにかく勢いがすごいライブでした。

黒瀬 確かに勢いはあったよね(笑)。

上木彩矢(Vo)

上木 私たちにとっても待ちに待った日だったし、特別な思いがありましたから。冷静になって考えてみると、あのライブを経験したことで次の制作やこれからやるワンマンライブのイメージをしやすくなりました。

──実際、今回の新作「ZODIAC」にも影響があったんですか?

黒瀬 曲作りに関して言えば、前回よりもやりやすくなったところが多々あります。「ANOTHER ARK」のときは手探り感があったというか、制作中に「ここまで振り切って、大丈夫かな」と心配になることもあったんです。今回はライブを経たこともあって「これくらいの感覚で曲を作ると(完成形は)こうなる」ということが見えていたので、前作以上に思い切ったことができたんです。それはアレンジの緻密さというよりも、パワー感みたいなものなんですけどね。

上木 曲自体、前回よりも勢いがありますね。必然的にボーカルも強めになってると思います。アップダウンが激しい曲が多くて、レコーディングは大変でしたけど。

黒瀬 メロディアスであることを意識してたらどんどんメロディが難しくなったので、歌うのは大変だったよね(笑)。

UROBOROSの制作は「楽しい」しかない

──演奏もボーカルも前作以上に高度ですよね。その上でキャッチーな手触りをキープしているところがUROBOROSの特徴でもあって。

黒瀬 前々から言っていますが、キャッチーな部分とマニアックな部分のバランスは常に意識してます。メロディが複雑だったり、プレイがテクニカルであったとしても、全体としては聴きやすい作りになっていると思います。

──黒瀬さんにとっての“キャッチー”は、単にボーカルを大事にするということではないですよね?

UROBOROS

黒瀬 歌は大事にしているんですけど、 僕が求めているのはトータルな意味でのキャッチーさなんです。メロディやルックスなど、全体の印象がキャッチーでなければなければならないというか。ただ、それだけではなくディテールも大事にしていますね。僕、“神は細部に宿る”という言葉がすごく好きで。“細かい部分までまったくアラがない”というマニアックさも必要だと思っています。それを実現するのは難しいんですけど、日々悩みながらもやるしかないなって。

──なるほど。「ZODIAC」の収録曲は「ANOTHER ARK」以降に作った曲ばかりですか?

黒瀬 全部そうですね。ストックしている曲もあるんですけど、やっぱりUROBOROSのために書かないとダメだなと思って。

上木 結局そうなるよね。私も思いついた歌詞を書き留めることがあるんですけど、それをそのまま使うことはなくて。曲が持っているパワーから刺激を受けたり、そのときに感じたことを切り取るほうがいいと思うんですよね。

黒瀬 そうそう。特にUROBOROSの場合は上木の歌だったり、メンバーの演奏を聴いたときのインスピレーションから曲のアイデアが浮かんだりするので。

上木 鮮度は大事ですよね。

──参加しているミュージシャンからの刺激も楽曲に反映されている、と。

黒瀬 うん、そういう刺激はあふれまくってますね。UROBOROSの制作は「楽しい」しかないんです。曲を書き始めたときは「これ以上は何も出ない」って思うんだけど、次の日に自分が書いた曲を聴くと「もうちょっと、こうしたほうがいいな」というアイデアが出てきて。そういうアイデアの源泉がメンバーの影響だったりしますから、曲作りが楽しいんですよね。

ミニアルバム「ZODIAC」 / 2016年4月20日発売 / ポニーキャニオン
HD EDITION [UHQCD+Blu-ray] / 3240円 / PCCA-50229
STANDARD EDITION [CD] / 1980円 / PCCA-04372
CD収録曲
  1. Chokmah
  2. FROM HELL
  3. LOST EDEN
  4. ZODIAC
  5. Infection
  6. Zoetrope
  7. Lunar eclipse
HD EDITION盤 Blu-ray Disc 収録内容
  • ZODIAC -Music Video-
  • Making of ZODIAC
  • UROBOROS secret live "DARK REDEMPTION" digest
UROBOROS(ウロボロス)

UROBOROS

黒瀬圭亮(Composer, Manipulate / ex. Asriel)を中心に上木彩矢(Vo)、大村孝佳(G / C4、dCprG)、中村泰造(B / cune)、笹渕啓史(Dr / ex. Plastic Tree)の計5人からなるプロジェクト。プロジェクト名は“己の尾を噛んで環となった蛇”を図案化した、「完全性」を意味するシンボルになぞらえて命名された。TVアニメ「六花の勇者」の第2章オープニング主題歌として「Black Swallowtail」を提供。2015年9月9日にはミニアルバム「ANOTHER ARK」とリカットシングル「Black Swallowtail」を同時リリースし、ポニーキャニオンからメジャーデビューを果たした。2016年4月に新作音源「ZODIAC」を発表し、東京・TSUTAYA O-EASTでワンマンライブ「THE ARK OF ZODIAC」を開催する。