音楽ナタリー Power Push - T-SQUARE

結成40周年 “音楽の宝”追い求める冒険者たち

結成40年を迎えるT-SQUAREが通算42作目となるアルバム「TREASURE HUNTER」をリリースする。今作はEDMの要素を取り入れるなど、バンドのイメージをいい意味で覆すアグレッシブかつカラフルな作品となっている。音楽ナタリーでは、アルバムの発売を記念してメンバーへのインタビューを実施。過去にこだわらず、未来へとつながる“音楽の宝”を探し求め続ける彼らの新作について話を聞いた。

取材・文 / 松永尚久 撮影 / 入江達也

ワクワクする音を生み出すのがバンドの根幹

──T-SQUAREは今年でバンド結成40周年だそうですね。

T-SQUARE

安藤正容(G) そうなんだっけ? やっている側としては、39年だろうが、40年だろうが、あんまり変わらないんですよね(笑)。ただ、現在の体制での活動期間がもっとも長くなりました。僕はその中でほかのメンバーにいじめられているんですけどね、ちゃんと弾けよと(笑)。

伊東たけし(Sax, EWI, Flute) 僕も同じ(笑)。

──(笑)。そしてこのたび、通算42作目となるオリジナルアルバム「TREASURE HUNTER」が完成しました。まずは今作がどんな内容になっているか聞かせてください。

坂東慧(Dr) “少年の冒険”というテーマを事前に設定しまして、それをイメージしながら制作していったら、音楽的にも冒険ができた1枚になったのかなと思います。

──なぜ“少年の冒険”がテーマになったのですか?

安藤正容(G)

安藤 我々をデビュー当時からマネージャーやプロデューサーとしてサポートしてくれていて、T-SQUAREの隠れたメンバーとも言われている青木幹夫という人物がいるんです。「ADVENTURES」(1984年発表)や「R・E・S・O・R・T」(1985年発表)といったアルバムのコンセプトも彼が考えていて、今作でもテーマを提示してくれたんです。聴いた人がワクワクするような音を作ることが、結成以来我々の根幹にありまして、今回もそれを出していきましょうという内容で話し合った結果、このテーマに結びついていったんだと思います。

伊東 前作「PARADISE」でもあったことなんですけど、青木はバンドの様子を見ながらテーマを決めていくんですよ。時代の空気を読み取りながら「こういうことをやったら面白いんじゃないか」って考えていて。今作ではメンバー全員で明快なビジョンを提示して音を作ることがよりうまくなったような気がしますね。

──「TREASURE HUNTER」というタイトルありきで、曲を制作されたんですか?

坂東 いや、1曲目の「Treasure Hunter」を作っているときに、これをそのままアルバムタイトルにしていいんじゃないかってことになって決まったんでタイトルは後付けですね。

──河野さんは、どんな思いを持って本作を制作なさったんですか?

河野啓三(Key) 前作「PARADISE」は、夏をイメージしたアルバムだったので、そういうタイプの楽曲を作りました。今回の「TREASURE HUNTER」の“冒険”というテーマについては「何か新しいことに挑戦する」といった具体的なイメージも湧きましたけど、抽象的だと思う部分もあったので、より幅の広い音を使いましたね。その結果、とてもカラフルな内容になっていると思います。また常に冒険を続けながら音楽を制作するのがT-SQUAREの魅力だと思っていますので、このアルバムではよりT-SQUAREらしさが出せたと思います。

──今作を制作するにあたって、新鮮さを感じたことはありましたか?

伊東たけし(Sax, EWI, Flute)

伊東 僕にとっては特に2曲目の「Chops!!」が新しかったな。この曲で初めて“チョップス”という言葉を知ったから(笑)。

──チョップスですか?

伊東 ゴスペルチョップスの略で、坂東曰く、ゴスペル音楽のドラムが発祥で、曲の途中にポーンと展開を入れるとか、よくあるフィルインとは異なる複雑なフレーズが多いドラムの奏法なんですよ。「Chops!!」は自分にとっては非常に画期的で一生の宝になるような曲に巡り会えた気分になったな。

──この楽曲は、イントロからスリリングな感じがしますよね。

伊東 試しに演奏してみます? 訳がわからないから(笑)。メロディはシンプルなんだけど、その分どう展開させるかが難しかったんですよ。でも完成した楽曲は圧巻ですよ。ソングライティングを手がけた坂東は、いい仕事したなって思いました。

ニューアルバム「TREASURE HUNTER」 / 2016年4月27日発売 / [CD+DVD] 3700円 / T-SQUARE Music Entertainment / OLCH-10003
ニューアルバム「TREASURE HUNTER」
CD収録曲
  1. Treasure Hunter
  2. Chops!!
  3. Metro 7
  4. Night Light
  5. 7-6-5
  6. Pearl of the Adriatic
  7. Double Rainbow
  8. Scissors Paper Rock
  9. Last Scene
DVD収録内容

「T-SQUARE LOOK BACK second half of 2015」

  1. Prologue
  2. T-SQUARE Live at 「VOYAGE to Jarasum」 / 「Jarasum International Jazz Festival」
  3. Truth(THE SQUARE YEAR END LIVE 2015.12.26 AT KOBE CHICKEN GEORGE)
  4. Travelers(THE SQUARE YEAR END LIVE 2015.12.27 AT KOBE CHICKEN GEORGE)

T-SQUARE「ツアー2016『Treasure Hunter』」

2016年7月2日(土)
東京都 中野サンプラザホール
2016年7月9日(土)
大阪府 なんばHatch
2016年7月18日(月・祝)
愛知県 Zepp Nagoya
2016年7月24日(日)
福岡県 電気ビルみらいホール
2016年7月29日(金)
大分県 BRICK BLOCK(※延期)
2016年7月30日(土)
鹿児島県 CAPARVO HALL(※延期)
2016年7月31日(日)
熊本県 熊本B.9 V1(※延期)

※大分・鹿児島・熊本公演は、熊本および大分での地震の現況を考慮し、今秋に延期となりました。詳細はオフィシャルサイトまたはFacebookページにてお知らせします。

問合せ先:RGプランニング 096-320-8777(平日10:00~18:00)

T-SQUARE(ティースクエア)
T-SQUARE

1976年に安藤正容(G)を中心に結成されたインストゥルメンタルバンド。現在のメンバーは安藤、伊東たけし(Sax, EWI, Flute)、河野啓三(Key)、坂東慧(Dr)の4人。THE SQUARE名義で1978年に1stアルバム「LUCKY SUMMER LADY」でデビューし、1989年にT-SQUAREに改名した。1987年発表のアルバム「TRUTH」の表題曲はフジテレビ「F1グランプリ」のテーマ曲として有名。日本のみならず海外でも精力的に活動しており、アメリカや韓国など国外でも人気を得ている。2008年5月には旧メンバーも参加したスペシャルバンド・T-SQUARE SUPER BAND名義でデビュー30周年記念アルバム「Wonderful Days」を発表。同年9月、東京・日比谷野外大音楽堂で「T-SQUARE 30th Anniversary Concert 2008 “野音であそぶ”T-SQUARE SUPER BAND THE SQUARE×T-SQUARE~since1978」を開催し、歴代メンバーが一堂に会してライブを行った。2013年4月にデビュー35周年記念アルバム「Smile」をリリースした。その後2014年6月に「NEXT」、2015年7月に「PARADISE」と1年に1枚のペースでスタジオアルバムを発表。結成40周年のアニバーサリーイヤーとなる2016年、4月27日に通算42枚目のアルバム「TREASURE HUNTER」をリリースし、7月には全国7都市を巡るツアーを開催する。