音楽ナタリー PowerPush - TRIAD ROCKS -Columbia vs Triad-

緊急開催!出演者による集客会議

THE YELLOW MONKEYの売れた曲は
全部THE COLLECTORSのおかげ(吉井)

──あと、前に金廣くんにインタビューしたときに(参照:グッドモーニングアメリカ「イチ、ニッ、サンでジャンプ」特集)リズムの話になったことがあって。シングル「イチ、ニッ、サンでジャンプ」を制作したときに日本コロムビアからメジャーデビューしたからにはTHE YELLOW MONKEYのリズムを参考にしようということで、シェイクリズムを取り入れたと。

金廣 ああ、そうそう。

左から吉井和哉、金廣真悟(グッドモーニングアメリカ)。

吉井 あれの元ネタって誰か知ってる?

金廣 知らないです。

吉井 あの元ネタはね、THE COLLECTORSなんですよ。

金廣 あ、そうなんですね!

吉井 THE COLLECTORSはTRIADの大先輩で、「世界を止めて」という名曲があるんですね。それを聴いてカッコいいなと思って。あの曲はブリットポップがベースになっていて、これは日本人にも伝わるなと思ったからTHE YELLOW MONKEYでもシェイクリズムを使い始めたの。それでできたのが「Love Communication」や「追憶のマーメイド」で。THE YELLOW MONKEYの売れた曲は全部THE COLLECTORSのおかげなんです。だから、THE COLLECTORSにもTRIADに戻ってきてもらおう!(笑)

3人が吉井和哉に聞きたいこと

──3人から吉井さんに聞きたいことってありますか?

武井優心(Czecho No Republic)

武井 音楽活動を続けていく中で、人間的にどんどんドライになっていくところってありませんか? それは成長と言うのかもしれないけど。

吉井 それはあるよね。でも、しょうがないんじゃない?

武井 でも、今もテンションがガーッと上がる瞬間もあるわけですよね?

吉井 音楽で?

武井 はい。ライブだったり。あとは、「こんなオファーが来た!」とか。

吉井 まあ、言い方は悪いけど、いろんなことが余裕になってくるから。経験値も重ねるし。そこで対応できてしまうところもあるんだよね。いい話が来ても、トラブルがあっても動じなくなってくる。俺はこれまでいっぱいいい刺激をもらったからね。それは忘れないんだよ。

──今まで得た刺激が財産になってる。

吉井和哉

吉井 そう、なってる。今でもそれを思い出して音楽をやってるところがあるんだよね。それもどうなのかと思うんだけど(笑)。あとは、昔はそんなに面白くないと思っていたことが、今は逆にすごく面白いなと思ったりね。食べ物でも、「たくあんってこんなにうまかったんだ!」とかそういう発見もあるわけ。結局かんぴょう巻きが一番うまいんじゃないかって思ったりね。

──中トロじゃないなっていう(笑)。

吉井 そう、中トロは単なる前戯だったって思うようになるわけ。

金廣 名言ですね(笑)。

吉井 3コードが奥深いのと一緒で。エディ・コクランってやっぱりすげえなって思う。

武井 やっぱり歌いたいことや書きたいことも変わってきますか?

吉井 変わりますね。性的なことは歌えなくなってくるし。昔は面白いと思って使っていた単語や言い回し……例えば「うまいこと言えた!」と思えていたものも「何うまいこと言ってんだ!」って思うようになったり(笑)。うまいことを言うのが恥ずかしくなってくる。

──自分にとってのリアリティが変化する。

吉井 そういうことですね。今は若いときに避けていた言葉選びやフレーズのほうが歌っていて気持ちがいい。昔は当たり前のことを歌うのが恥ずかしかったんだけど、今はそっちのほうが自分にとってリアリティがあるんだよね。

──ストレートな表現だったり。

吉井 そうそう。

──今、ライブで過去曲を歌うのはどういう感覚なんですか? 恥ずかしいと感じたりするんですか?

吉井 それは平気なのよ。

──自分に馴染んでるから?

吉井 うん、馴染んでるんだろうね。思うのは、今の若いバンドってすごくハイパーな歌詞を書いてる人たちも多いじゃない? 僕らの世代ではなかったフレーズを使って書かれている歌がいっぱいある。それをその子たちが50歳になったときにどう処理するのか、面白そうだなって。

明日にでもTRIADに(武井)

金廣真悟(グッドモーニングアメリカ)

金廣 吉井さんはバンドで大きな成功をつかみましたよね。それでもまだ音楽を続けるモチベーションってなんなのかなと思って。あと、例えばレーベルに所属しなくても、自分でやろうと思えばできると思うんですけど。

吉井 ああ、レコード会社と契約しなくても?

金廣 そうそう。レコード会社と契約すると商業的な活動をする側面も出てくるわけじゃないですか。吉井さんがそこに身を置き続ける理由が気になるなって。

吉井 正直ね、コロムビアに戻ってくる前はレーベルを作ろうかって話もあったんですよ。

金廣 ああ、そうなんですか。

吉井 そう。それは、茶飲み話みたいなレベルだったけどね。だけどね、俺はやっぱり大手レーベルが好きなんですよ。正直に言うと、もはや自分が少年時代にロックに憧れた部分を大事にすることでしかロックをやれてないの。ただただロックが好きだ、ロックをやりたいという気持ちだけでやってる。その気持ちがイエスかノーしか言わないんです。でね、僕らはそのレーベル特有のサウンドが好きだった世代だから。「The BeatlesがEMIにいたから、EMIってこういう音だよね」とか。で、コロムビアはコロムビアの音があるんですよ。このタイミングで自分の音楽の力量を発揮できるのはコロムビアなんだろうなって思ったの。これから僕がやることは音楽的にどんどんルーツに帰っていくと思うし。今の時代、大手レーベルはどこも大変な状況の中でがんばってると思うんだけど、コロムビアみたいに人間味あふれるレーベルっていまどき珍しいなと思っていて。世界的に見ても珍しいと思う。今の俺にはここが合ってるなって思った。この3組の中でTRIADなのは何組?

松川 僕だけです。

吉井 あ、ラッコさんだけ? じゃあグドモとチェコノリさんもぜひこの機会にTRIADに来てください(笑)。

金廣 いいですよ。

吉井 ちょっとイヤそうだな。

武井 明日にでも行きましょう(笑)。

TRIAD ROCKS -Columbia vs Triad-
日時
2015年5月19日(火)東京都 豊洲PIT
出演者
吉井和哉 / グッドモーニングアメリカ / Czecho No Republic / LACCO TOWER
吉井和哉(ヨシイカズヤ)

吉井和哉

1966年生まれ。THE YELLOW MONKEYのボーカリストとして1992年にメジャーデビュー。以後、2004年の解散まで数々のヒットを生み出す。2003年10月にはYOSHII LOVINSON名義でシングル「TALI」をリリースし、事実上のソロデビューを果たす。2006年には現在の吉井和哉名義にし、ソロとして3枚目のアルバム「39108」を発表。以降も精力的にリリースやライブを重ねている。グラマラスなサウンドと歌声は多くのリスナーを魅了しており、他アーティストからの評価も高い。2013年1月にソロ名義では初のベストアルバム「18」をリリースした。2014年11月、自身に影響を与えた日本の昭和歌謡曲やポップスの数々をカバーしたアルバム「ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~」を発表。その後THE YELLOW MONKEY時代に在籍していた日本コロムビア内レーベル・TRIADへ移籍し、2015年1月にシングル「クリア」、3月に7thアルバム「STARLIGHT」をリリースした。5月にはカップリングベスト「SUPERNOVACATION」を発売する。また同月より全21公演におよぶツアーをスタートさせた。

グッドモーニングアメリカ

グッドモーニングアメリカ

金廣真悟(Vo, G)、渡邊幸一(G, Cho)、たなしん(B, Cho)、ペギ(Dr, Cho)からなる4人組バンド。2001年に前身バンドfor better, for worseを結成し、2007年より現在のバンド名に変更。for better, for worse時代は英語詞だったが、バンド名変更を機に日本語詞へと切り替え、サウンドもよりポップさを増す方向へ転換した。2008年より現在の編成で活動を開始し、自主企画の開催やリリースを積極的に行う。2012年冬には初のワンマンツアーを成功に収め、2013年5月に1stフルアルバム「未来へのスパイラル」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2014年5月にはテレビアニメ「ドラゴンボール改」のエンディングテーマに採用された「拝啓、ツラツストラ」をシングルとしてリリースした。同年10月に2ndフルアルバム「inトーキョーシティ」を発表し、12月から翌年3月にかけてレコ発ツアーを実施。6月にはニューシングル「コピペ」およびライブDVD「『inトーキョーシティツアー2014-2015』ファイナル@Zepp Tokyo 2015.03.22」をリリース。11月27日には初の日本武道館ワンマンが控えている。

Czecho No Republic(チェコノーリパブリック)

Czecho No Republic

武井優心(Vo, B)と山崎正太郎(Dr, Cho)を中心に2010年3月結成。メンバーチェンジを経て、現在は武井、山崎、八木類(G, Syn, Cho)、タカハシマイ(Cho, Syn, Per)、砂川一黄(G, Cho)の5人で活動している。2010年11月に初のCD作品「erectionary」をタワーレコード限定でリリース。同作が高い評価を受ける中、2011年10月に初のフルアルバム「Maminka」を発表した。2013年10月に2ndフルアルバム「NEVERLAND」で日本コロムビアよりメジャーデビューし、2014年7月にはセルフプロデュースのアルバム「MANTLE」をリリース。10~12月にはフジテレビ系アニメ「ドラゴンボール改」のエンディングテーマとして「Oh Yeah!!!!!!!」が全国でオンエアされた。2015年2月、グリコ「ポッキーチョコレート」のスペースシャワーTVバージョンCMソングに提供した「For You」をシングルとしてリリース。7月には東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「帰ってきたドリームシャワー 夏だ! 野音だ! Czecho No Republicだ! 初の日比谷野音ワンマン」を開催する。

LACCO TOWER(ラッコタワー)

LACCO TOWER

2002年の結成以来、都内、群馬を拠点に活動するロックバンド。自ら“狂想演奏家”を名乗り、結成当初より楽曲タイトルはすべて「日本語ひとつの言葉」にこだわり続けている。ロック、パンク、ポップス、歌謡曲など特定のジャンルにカテゴライズされない、ソウルフルかつエモーショナルなサウンドが魅力。その叙情的な世界観とは裏腹に、攻撃的なライブパフォーマンスも人気を集めている。現在のメンバーは松川ケイスケ(Vo)、塩崎啓示(B)、重田雅俊(Dr)、真一ジェット(Key)、細川大介(G)の5名。2013年にメンバーで「株式会社アイロックス」を設立し、自身主催フェス「I ROCKS」を2014、2015年に地元・群馬音楽センターにて開催した。インディーズにてアルバム4枚を発表し、2015年6月にフルアルバム「非幸福論」でTRIADよりメジャーデビュー。