音楽ナタリー Power Push - the GazettE

13周年を迎えて放たれる漆黒の“教義”

「13」でつながったもの

──本作は先行シングルなしでリリースされました。バンドとして約2年近くCDリリースがなかった状況に不安はありませんでしたか?

周囲からも「怖くなかったんですか?」と聞かれたことはよくありましたが、そこは「怖くなかったです」としか(笑)。まあ普通に考えたらそうですよね、ファンクラブツアーだけやってたら世の中的には“消えた”と感じてしまうかもしれない。でもこれは事の重大さがわかってなかったというよりは、前作「BEAUTIFUL DEFORMITY」以降、方向性に迷って曲が思い浮かばなくなっていた時期があったからで。無理にリリースを決めてそれに向けてよくわからない曲を作ってしまうのも避けたいから「リリースを止めたい」という話になったんです。まあ今思えば事前に「活動休止」って言っておいてから「復活」って大々的に宣言して今年3月の日本武道館のライブ(「the GazettE 13TH ANNIVERSARY 13-T H I R T E E N-」)をやればよかったのかもしれませんね(笑)。

──バンド結成13周年を記念して行われた武道館ライブですね。あのライブも「DOGMA」に至る契機の1つだったのではないでしょうか? というのも収録曲「DAWN」の歌詞には「高く吊るした13階段」という一節がありますが、武道館のステージも同様に2階席まで届く大きな13階段のセットが設けられていたので。

the GazettE「13TH ANNIVERSARY [13-T H I R T E E N-]」東京・日本武道館公演の様子。

別に最初から「13」という数字にこだわりがあったわけではないんですけど、俺らは10周年を迎えたときに幕張メッセでライブを1回やっただけでほかのバンドみたく大々的にいろいろやってなくて。そんなこともあって「あえて13周年で大きなライブをやるのってウチらしいかな」って(笑)。それに「13」という数字がバンドの状況とリンクしていると感じたから。

──と言うと?

武道館のライブのときはメンバーの仲が悪かったとかではないんですけど、バンドを取り巻く環境や雰囲気があまりよくなかったんです。でも俺たちはその負のパワーこそ逆手にして自分たちの力にできるバンドだと思っているので、「13」という数字がアルバムにもつながってる気がします。the GazettEにはもともと「13STAIRS[-]1」という曲もあったし「13周年」「13階段」と結果的につながってきたというか。リンクしたんですよね。

先人たちと自分たち

──バンドが13周年を迎えた今、昔の自分たちと比べて変化したなあと感じることはありますか?

そうですね……変化と言えば、例えば初めての武道館ワンマン(2006年「Nameless Liberty.Six Guns...」ファイナル公演)くらいまでの俺たちはバンドに対して不真面目だったんですけど、今はこれまでで一番バンドに対してストイックに打ち込んでると思います。

──そうなんですね。

はい。「初心を忘れずに」みたいなことを言われると「いやいや、初心見せたらたぶんもっと引くから」みたいな(笑)。「別に」みたいな態度でいたんですよ。でもそんな姿勢だったのが、だんだん自分たちが何を表現したいかきちんと考えるようになってきて。

──そのきっかけになったのは?

2008年の代々木第一体育館でのワンマンあたりですね。そこで「人は入ってんだけど先人と比べたらどうかな?」と思ったんです。「LUNA SEAとかX JAPANと比べたら俺たちの小者感ハンパなくね?」って。

──いや、そんなことは決してないと思いますけど。

いやいや。そういう気持ちが今もあるんですよ、やっぱり。例えば「彼らはこんな私生活だったのかな?」とか。あの人たちって私生活を見せないじゃないですか、だから俺もものすごく想像して夢を見てたわけです。「やっぱり1人1台リムジンが付いてるのかな」とか思っちゃうんですよ(笑)。でも実際に今の自分たちはそうじゃなかったんで。

──ギャップがあったと。

そう、だからそういう意味では調子には乗れなかったですね。「まだまだだな」って感じになる。それで今はどちらかというと先人を超えようとしているというか、下克上ではないんですが、今の自分たちのスタイルで“爪痕を残す”ためには「それ以上」になる必要があるのかな、じゃあどういう方法があるかな、今までやってきたことをやっても意味ないよねって考えにつながるんです。

ニューアルバム「DOGMA」 / 2015年8月26日発売 / Sony Music Records
「DOGMA」完全生産限定盤
完全生産限定盤 [CD+DVD2枚組+写真集+ブック] 10800円 / SRCL-8887~90
「DOGMA」初回限定盤 / 通常盤
初回限定盤 [CD+DVD] 4320円 / SRCL-8891~2
通常盤 [CD] 3300円 / SRCL-8893
CD収録曲(3仕様共通)
  1. NIHIL
  2. DOGMA
  3. RAGE
  4. DAWN
  5. DERACINE
  6. BIZARRE
  7. WASTELAND
  8. INCUBUS
  9. LUCY
  10. GRUDGE
  11. PARALYSIS
  12. DEUX
  13. BLEMISH
  14. OMINOUS
DVD DISC 1収録内容(完全生産限定盤・初回限定盤)
  1. [DOGMA] MUSIC VIDEO
DVD DISC 2収録内容(完全生産限定盤のみ)
  1. DOCUMENTARY OF [-13-] AT 日本武道館
  2. [DEUX] MUSIC VIDEO
  3. [OMINOUS] LYRIC VIDEO
  4. MAKING OF [DOGMA] MV
  5. TRAILER COLLECTION
the GazettE(ガゼット)

2002年結成のヴィジュアル系バンド。インディーズ時代より激しいサウンドと妖艶なルックスで絶大な人気を博し、2005年12月にシングル「Cassis」でメジャーデビュー。2006年5月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを実施した。2010年7月リリースのシングル「SHIVER」よりSony Music Recordsに移籍し、12月には初の東京・東京ドームにてワンマンライブ「TOUR 10 NAMELESS LIBERTY SIX BLULLETS FINAL THE NAMELESS LIBERTY」を開催。そして2011年に「TOXIC」、2012年に「DIVISION」、2013年に「BEAUTIFUL DEFORMITY」と毎年アルバムをリリースした。2014年にはファンクラブツアーを実施し、2015年3月にはバンドの結成13周年を記念して日本武道館で単独公演「the GazettE 13TH ANNIVERSARY 13-T H I R T E E N-」を開催。8月に1年10カ月ぶりとなるアルバム「DOGMA」をリリースする。