ナタリー PowerPush - serial TV drama
Winkカバーで注目度急上昇 リーダー新井が語る新戦略とは?
「Perfumeのカバーをやろうぜ!」から話が始まった
──しかも、この曲って、いわゆる典型的な歌謡曲のメロディですよね。今のJ-POPやアイドルの音楽性とも全然違う。そういう意味でも、どうアレンジするかは、センスの見せどころだと思うんです。
これ、実は「Perfumeのカバーをやろうぜ!」ってところから話が始まってるんですよ。「ポリリズム」の複合リズムを人力でやったら面白いんじゃないか?って。でも、今の音楽を今鳴らしてもあんまり面白くないなって思って。それで好きなものを探したら、Winkになったんです。で、最初は4つ打ちでダンスビートでやってみよう! っていうことになって。FRANTZ FERDINANDっぽい感じでやってみたんです。でも実際にやってみたら、俺らがやる意味もないしつまんない。そこで、試しにハードロックでやってみたら、「これだ!」ってなった。
──なるほど。
基本、ノリですね。マジで(笑)。もともとシングルにする予定もなかったんですよ。カップリングとかアルバムに入ればいいや、ライブでできればいいやっていうテンションでやってたら、どんどん面白くなってきちゃった(笑)。そもそも、今作に入れた「シティーボーイの憂鬱」をシングル用に作ってたんです。でもどんどん「愛が止まらない」に愛着がわいて、その熱がレコード会社の人にも伝わった。「これでいいんじゃない?」みたいにして決まったんです。
──この間のQUATTROでは鈴木早智子さんとの共演まで実現したわけですけれども。これはどういう経緯で?
これが、マジで謎なんですよ(笑)。「スポットCMとかPVに出てくれるんじゃないの?」って笑い話みたいに言ってたら、レコード会社の人が「ちょっとオファーしてみるわ!」って乗ってくれた。曲も気に入ってくれたみたいで、撮影のときに「今度ライブも一緒にできたらいいですね」って言われたんです。それで、試しにライブの日程を言ってみたら「ああ、やります」っていうことになって。「おいおい、マジかよ?」っていう(笑)。急に決まったことだったんで、どんなふうにやるか、当日までわからなかった。結局リハで決めたんです。でも、本番は完璧でビックリした。ほんと、スターでしたね。うれしかったです。
バンド全体がどんどんバカになってる
──今回のカバーも含めて、ここ1年でserial TV dramaというバンドが、どんどん「やりたい放題」になってきている気がするんです。タガが外れてきた、というか。
それはありますね。去年、ボーカリストの脱退と新加入というのがあったんで。麻痺しちゃってるんでしょうね(笑)。あれだけデカイものを経験していると、これくらいやっても大丈夫だろ!って。
──ボーカリストが脱退して別のメンバーが加入するというのは、DEEP PURPLEとかVAN HALENならともかく、邦楽のロックバンドだったらそんなにないわけで。
洋楽な感じっすよね。しかも、なおかつ入ってきたメンバーが、多彩で、ユニークな人なので、この人の良さを最大限引き出そうと思ったんです。なんでもやっちゃうのがこの人の強みだから、うちらもなんでもやらなきゃダメだっていうことは、常に思ってますね。
──鴇崎さんが加入したことで、フロントマンが変わっただけじゃなくて、バンドのフォーメーション全体が大きく変わった気がしませんか?
それは大きく感じますね。一番の変化は、トツさんが入って、ドラムの翔太朗がホントにバカになったこと(笑)。もう、いつか捕まっちゃうんじゃない!? ってくらいバカになってるんですよ。今まではセーブしてた部分があったんですけど、トツさんが先頭切ってバカなことをやるから、翔太郎がその先を行き過ぎちゃう。ひとり前に出る人ができたことをきっかけに、バンド全体がどんどんバカになってる感じはありますね(笑)。
serial TV drama(しりあるてぃーびーどらま)
2004年1月に結成されたロックバンド。2007年3月に初音源となるミニアルバム「ginger」をリリースし、聴き手の琴線に触れるメロディをエモ/オルタナティブ/ポストロック/ハードロックなど多彩なサウンドに乗せ、独自の音楽性を追求している。2010年7月にミニアルバム「マストバイ」でメジャーデビューを果たすも、直後にオリジナルメンバーの伊藤文暁(Vo)が脱退。その後新ボーカルとして鴇崎智史を迎え、新井弘毅(G)、稲増五生(G)、近藤太(B)、岡田翔太郎(Dr)との5人編成で再スタートを切る。同年11月、新体制で初の音源となるシングル「ユニコーンの角」をリリース。2011年3月にはWinkの大ヒット曲をカバーしたシングル「愛が止まらない -Turn It Into Love-」を発売する。