ナタリー PowerPush - SEAMO
祝・シーモネーター復活! 新曲、コラボ、エロを語る
SEAMOがこれまでのコラボレーション曲を集めたベストアルバム「コラボ伝説」を8月24日にリリースする。インディーズ時代から現在に至るまでさまざまな相手と共演してきた“コラボ名手”の集大成は、聴き応えたっぷりの26曲入り2枚組だ。そのバラエティ豊かな楽曲群からは、彼のキャリアの長さ、交友関係の広さ、リスナーを飽きさせないエンタテインメント性が感じられる。
中でも今作の目玉は、SEAMOの前アーティスト名義「シーモネーター」の復活。スガシカオ&土屋アンナをゲストに迎えたシーモネーターとしての新曲「S.ex. with TSUCHIYA ANNA and SUGA SHIKAO」が収録される。そこで今回のインタビューのテーマは“SEAMOが語るシーモネーター”とし、復活の理由やSEAMOとシーモネーターの相違点、ひいてはキャリア全体におけるコラボの役割を語ってもらった。
取材・文 / 鳴田麻未
僕のコラボの全歴史
──なぜこのタイミングでコラボベストアルバムを出すことになったんですか?
ぶっちゃけると、そろそろ曲も貯まってきたし出そうかなっていう(笑)。でもずっと出したいとは思ってたんですよね。 で、どうせだったらSEAMOとしてだけじゃなく、シーモネーター時代も含めた僕のコラボの全歴史を見せたいなと。
──集めてみるとかなりの曲数になりましたが、改めて聴いていかがでしたか?
本当にいろんな人とやったなあと懐かしくなりましたね。最近フィーチャリングを得意技にしているアーティストも多いと思うんですけど、そういう意味だと僕はわりと古株なほうで、長州小力さんとか和田アキ子さんとかちょっと変わった相手とも共演してますし。これだけたくさんのコラボをしたことで、いろんなタイプのレコーディング現場を見て、修羅場や苦労もくぐってきて、それなりに自信は付きましたね。
エロいことは人に迷惑をかけない
──では今作の最重要トピックである“シーモネーター復活”について、まずは復活に至った発端や理由を聞かせてください。
東日本大震災以降、東北でライブさせてもらう機会があったんですよ。そのとき被災地の方々に対して、最初は「元気出していこう」とか「がんばろう」とか、優しくポジティブなメッセージを伝えるべきなのかなって思っていたんですけど、実際現地に行ってみたら、もっと刺激を求めているというか、エンタテインメントに飢えているという印象を受けたんです。なんていうか、もう十分そういうことは言われていると、わかったと。だから普段の150%、200%の力を出して激しいものを見せてほしい、俺たちはそういうパッションとかパワーを感じたいんだっていう空気を僕は感じたんですね。
──はい。
なので、自分にできる最大級のエンタテインメントをお見せすることが、東北の人たちに元気を送る行為になると思い、シーモネーター復活を思いついたんです。シーモネーターでハチャメチャになってバカをやることが「不謹慎」ではなく、実は元気を与えることなんじゃないかと。
──そうなんですね。失礼ですが、そんな深い理由があるとは思いも寄りませんでした……。
まあ、もしシーモネーターとしてインタビューを受けてたら、「COMPLEXもキングギドラも復活したから俺もそろそろやるか、と思って」って答えるかもしれないけど(笑)。
──今日は“SEAMOが語るシーモネーター”ですからね(笑)。
そうですよ。僕も長いキャリアの中でわかってきたことがあってね、その1つが、エロいことは人に迷惑をかけないっていうこと。政治的な発言とか差別的な発言はリスクが高いけど、エロい発言に対するバッシングって意外にないんです。むしろ称賛されることも。まあ言うなれば、放送禁止になったりして自分が迷惑被るくらい(笑)。
──あははは(笑)。そういえば収録曲の「半熟ラバーズ」は発売当時放送禁止になりましたね。
そうそう。だから、こういう時期でもエロに関しては突っ込んでいって大丈夫。むしろ「よくやった」と言ってくれる被災地の人もいるんじゃないかと信じてます。
ライブ会場で「セックス!」って連発したい
──SEAMOさんのライブの1コーナーでシーモネーターとしてパフォーマンスすることはあったものの、この名義で楽曲を出すのは8年ぶりになります。“彼”も8年の間で何か変わった点や成長したところはあるんでしょうか。
若い頃のシーモネーターって、ミッションの車に例えると、ギアが入ってないのにアクセル踏みっぱなしの状態だったんですよ。ウィーン!!って音は出てるけど全く前に進んでない状態(笑)。でも今のシーモネーターは、ギアもちゃんと入ってるし動けます。さらに動いても全体を俯瞰できてる。だから昔は何もわかってなかったけど、今はわかった上での下ネタなんですよね。……自分でも何言ってるかよくわかんないですけど。
──あははは(笑)。いやいや、着実に成長しているということですよね。
とにかく大人な下ネタ、ハードボイルドなシーモネーターを目指しました。その結果、ちょっとカッコよさの漂う曲をやりたいなと思って「S.ex. with TSUCHIYA ANNA and SUGA SHIKAO」ができたんです。
──この曲はタイトルも直球ですけど、曲中で何度も「セックス」という言葉が連発されるパンチの強いファンクチューンですね。
ライブ会場で「セックス!」って連発したいんですよね。お客さんも一緒に「セックス!セックス!」って連発してほしい。それは別に洋楽アーティストのライブでも普通にあり得る光景だし、ちっとも恥ずかしいことではないんじゃないかなと。こんなにカッコいい曲なんだしね。
DISC 1
- S.ex. with TSUCHIYA ANNA and SUGA SHIKAO / シーモネーター
- Hungry feat. miray
- a love story / SEAMO with BENNIE K
- Hey Boy, Hey Girl feat. BoA
- Kiss Kiss Kiss feat. AZU & yukako
- 宝島 feat. hiroko(from mihimaru GT)
- 心の声 feat. AZU
- キミヲワスレナイ feat. AYUSE KOZUE
- 素直になりたい feat. AKIKO WADA
- Honey Honey feat. AYUSE KOZUE
- 怒りの鉄槌 feat. 長州小力
- Do It! feat. MICRO & KURO(from HOME MADE 家族)
- クリスマス大作戦 feat. 紗羅マリー
- Girl Is Mine feat. CRYSTAL BOY(nobodyknows+)
- Golden Time feat. カルテット&手裏剣ジェット
- 半熟ラバーズ feat. MICRO(HOME MADE 家族) / シーモネーター & DJ TAKI-SHIT
DISC 2
- Fallin' in or Not feat. SEAMO / 中林芽依
- 卒業、そして未来へ。 / MONKEY MAJIK+SEAMO
- fantastic 3 feat. SEAMO / HOME MADE 家族
- 恋唄 with SEAMO / SOFFet
- 時間よ止まれ feat. SEAMO / AZU
- さぁ行こう! / YA-KYIM respects SEAMO
- Be With Me feat. SEAMO / Spontania
- キミがおしえてくれた事 feat. SEAMO / Tiara
- LOVE A LOVE feat. SEAMO / MEGARYU
- ラヴィン・ユー / 清水翔太、Crystal Kay、Mummy-D、SEAMO、童子-T
SEAMO(しーも)
1995年より地元名古屋・東海地区を中心に、シーモネーターとして活動を開始。2002年に米米CLUBの代表曲「浪漫飛行」を大胆にサンプリングした「浪漫ストリーム」で、待望のメジャーデビューを果たす。その後、2005年から名前をSEAMOに改名。同年3月にシングル「関白」で再デビューする。2006年に「マタアイマショウ」「ルパン・ザ・ファイヤー」が立て続けにヒットを記録し、アルバム「Live Goes On」はオリコンウィークリーチャート1位を獲得。同年末の「第57回 NHK紅白歌合戦」にも出場し、本格的なブレイクを果たす。また、2007年には自身が発起人となる東海地区の夏フェス「TOKAI SUMMIT」をスタートさせ、5回目を迎えた2011年には1万3000人を動員した。7月27日にはチャリティ盤となるミニアルバム「ONE LIFE」をリリースし、8月24日にはこれまでのコラボレーション曲を集めたベストアルバム「コラボ伝説」を発表。唯一無二のヒップホップアーティストとして支持を集めている。