初音ミク10周年特集|kz(livetune)×OSTER project 「Project DIVA」対談 第1世代が語り合う“DIVA”の歩み

初音ミクの10年 ~彼女が見せた新しい景色~
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初音ミクが“主演”としてクレジットされるリズムゲーム「初音ミク Project DIVA」シリーズの最新作「初音ミク Project DIVA Future Tone DX」が11月22日にリリースされる。音楽ナタリーでは、シリーズ1作目から「Project DIVA」に楽曲を提供しているkz(livetune)とOSTER projectの対談を実施した。

初音ミクが発売された直後、2007年9月に最初のVocaloid曲をアップロードしたkzとOSTER。今回の取材では「Project DIVA」の最新作を2人にプレイしてもらい、自身が刺激を受けた曲やお気に入りの曲についてのエピソード、また「Project DIVA」シリーズの企画段階での裏話などを語ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 佐藤類

PlayStation®4用ソフト「初音ミク Project DIVA Future Tone DX」
2017年11月22日発売 / セガゲームス
「初音ミク Project DIVA Future Tone DX」限定版

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「初音ミク Project DIVA Future Tone DX」通常版

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限定版「初音ミク Project DIVA Future Tone DX メモリアルパック」同梱物
  • PS4®専用ソフトウェア「初音ミク Project DIVA Future Tone DX」
  • 映像集「初音ミク -Project DIVA- メモリアルコレクション」(Blu-ray Disc3枚組・227曲収録予定)
  • KEIによる描き下ろしデザインBOX仕様

こんなにすごくなっちゃった

──kzさんとOSTERさんは2009年に発売された「Project DIVA」の第1作目から楽曲を提供しています。

kz(livetune)

kz(livetune) もう8年にもなるんですね。当時はPSPだったのに、今ではPS4でプレイできるわけですから。

OSTER project シリーズがいろいろありすぎて、どこにどの曲を提供したのか忘れちゃってます(笑)。

kz 僕、そこそこプレイはしてたんですけど、さすがにミクの衣装集めがしんど過ぎて全部は集められなかった記憶があります。

──取材前にお二人には最新作「初音ミク Project DIVA Future Tone DX」をプレイしていただきました。いかがでしたか?

kz PS4になって背景のテクスチャがものすごくよくなってるから、プレイしてて楽しいんですけど、画面に気を取られる分、ボタンの操作でミスを多発してしまいました(笑)。ゲームに集中したいんですけど、映像も気になる、みたいなジレンマがありますね。

OSTER ひさしぶりにプレイしたんですけど、やっぱり映像がすごいですね。最初から関わってる身としてはこんなにすごくなっちゃったんだって感覚があります。

kz  PSPの頃はまだジャギーが目立ってましたからね。その頃に比べると映像はめちゃくちゃ鮮明になってます。

OSTER 私は「初音ミクの消失」をやってみたんですけど、cosMo(@暴走P)はヤベーなと改めて思いました。

一同 (笑)。

kz cosMoとsasakure.UKさんは大体いつもヤバい曲を書いてるよ。

私がやらせたいことがミクだったらできる

──お二人が初めてボカロ曲を投稿したのは、初音ミクが発売された2007年9月です。初音ミクの発売日は8月31日なので、発売直後のタイミングでVocaloidに触れていたことになります。

OSTER 確か9月13日に「恋スルVOC@LOID」をアップロードして……。

kz 僕は9月22日に「Packaged」のショートバージョンを投稿しました。

──今回の特集は初音ミクの発売10周年を記念して展開しているものですので、そもそもお二人が10年前に初音ミクに興味を持ったきっかけもお伺いできればと思っています。

OSTER 私はもともとクリプトンさんのホームページを定期的に見るのが好きだったんですよ。DTMをやってる人にとって、クリプトンさんっていうのはサンプリング音源の提供元としてすごく重宝されているメーカーで。もともとMEIKOやKAITOといったVocaloidの存在は知っていたんですけど、初音ミクだったら私がやらせてみたいことができるんじゃないかと思って発売を待っていたんです。

kz やりたいことって?

OSTER project

OSTER 私には「Vocaloidは楽器なんだ」って意識が強かったんですけど、歌詞の内容もボカロをメインに据えた曲を作りたかったんですよ。「恋スルVOC@LOID」のようなVocaloidの視点、機械の視点で恋愛を描くみたいな曲を作ってみたら面白いんじゃないかなって。それでソフトを買って投稿してみたわけなんです。

kz 当時のニコニコ動画ってある意味無法地帯だったと思うんだけど、コメントとか書かれてどうだった?

OSTER なんかめっちゃ怖かったです。

kz わかる。

OSTER 自分の想像していた以上の反響があって、うれしいを通り越して怖くなっちゃったんですよね。

kz 僕も最初のボカロ曲を投稿した直後は焦りました。当時のニコニコ動画ってまだジャンル分けがそこまで整っていなかったから、総合ランキングで1位を取ると、それこそ音楽目当てではない人とかいろんな人が動画を観ることになるんですよ。それに伴ってコメントも好き放題書かれることになって、もうわけがわからなくなる(笑)。

OSTER いろんな人のコメントが匿名で、しかも洪水のように流れてくるから。中には悪意を持ったものもあるわけだし。

kz 僕、最初のボカロ曲を投稿した直後はkzって名前じゃなかったんですよ。ボカロ曲をアップロードして、いつの間にかすごい再生数を叩き出していることに気付いて「あ、この名前だといろいろマズいぞ!」と思って5秒で考えて入力した名前がkzだったんです。まさかこの名前で10年続くとは思っていませんでしたね(笑)。

──kzさんが初音ミクに興味を持ったきっかけはなんでしたか?

kz 僕もOSTERと一緒で、Vocaloidのことは初期の頃から知っていたんですけど、Vocaloid2、いわゆる初音ミクが出るっていうニュースをどこかで見たときに「ちょっと今までのボカロとは違うぞ」っていうイメージがあって。Vocaloid2はちゃんと日本語の歌詞を歌わせることができるようだったので、使ってみることにしたんです。当時、Auto-Tuneが好きだったからボカロにAuto-Tuneをバチバチにかけたら面白いんじゃないかなと思って。

──それで「Packaged」がニコニコ動画で公開されるわけですね。

kz 当時はとりあえずボカロでなんか作ったらニコニコ動画にアップするって流れがあったんですよね。で、軽い気持ちでアップしてみたら……。

OSTER 反応がめっちゃあって怖くなる。

kz そう(笑)。OSTERとか何人かの人はもともと「muzie」で曲を公開していたんだけど、初音ミクが発売されて、みんながネタ動画でもボカロ曲でもニコニコ動画にアップロードするような流れができたって感じでしたね。僕もそれに乗っかった感じです。