音楽ナタリー PowerPush - 小倉唯

あらゆる可能性をモノにする“プリティモンスター”の誕生

小倉唯のニューシングル「Tinkling Smile」がリリースされる。

「Tinkling Smile」は放送中のアニメ「ヤマノススメ セカンドシーズン」のエンディングテーマ。現在18歳の小倉に近い女の子たちの友情を高らかに歌い上げる、アニメのストーリーに寄り添ったギターポップチューンに仕上がっている。そしてカップリング曲は前山田健一作詞、嵐「Monster」の作曲でも知られるCHE-MEY作編曲(編曲は共作)の「thx!!」。スキット的フレージングや言葉遊びを駆使した小倉のパブリックイメージを彷彿とさせるラブリーな1曲だ。

2009年、14歳での声優デビュー以来、石原夏織とのユニット・ゆいかおりのメンバーとして、さらにはアニメ「ロウきゅーぶ!」の出演声優によるユニット・RO-KYU-BU!としてなど、さまざまな形態で精力的に音楽活動も展開してきた小倉。そんな彼女にとってソロワークとは? 今回のインタビューではソリストとしての彼女の魅力に迫るとともに、ユニットの一員、キャラクターソングシンガーとしてもスマッシュヒットを飛ばし続けるボーカリスト小倉唯のキャリアにも迫った。

取材・文 / 成松哲

親が真に受けちゃって芸能界入り

──小倉さんにソロのボーカリストとしてナタリーにご登場いただくのは今回が初めてなんですけど、先月、ゆいかおりとしてインタビューさせていただいてますし(参照:ゆいかおり「Intro Situation」インタビュー)、そのほかにも小倉さんはアニメ「ロウきゅーぶ!」の出演陣、日笠陽子さんや花澤香菜さんたちとのユニット・RO-KYU-BU!などでキャラクターソングも歌っています。

小倉唯

はい。

──だから弱冠18歳にして、実はキャリア十分の歌い手さんなんですよね。それだけにボーカリスト小倉唯のキャリアがすごく気になったんです。もともと歌い始めたきっかけって?

幼稚園の年中さんの頃、ある劇団に入って、小学校1年生から子役をやってたんです。その劇団で演技や歌やダンスのレッスンを受けたのが、歌い始めたきっかけであり、芸能界に入ったきっかけって感じですね。

──なぜ芸能界に入ろうと?

子供って「テレビ出たい」とか、思ったことをそのまま口にしがちじゃないですか。私も幼稚園の頃、テレビを観ていて「唯もテレビ出たーい!」って言ったらしいんですけど、それを親が真に受けちゃって(笑)。

──芸能界入りの理由はご両親のせい(笑)。

でも幼稚園の頃の話ですし、私自身はホントに全然覚えてないんですよ(笑)。ただそのひと言がきっかけでオーディションに応募したら受かって、小学校1年生の頃から映画とかCMとかテレビ番組とか、いろんなお仕事をやらせてもらってました。小さい頃のことだったので、芸能界入りのきっかけと同じ。今、当時の映像とか写真を見てもあんまり実感がないんですけどね。「ホントにこれ、私かな?」って(笑)。

──ただ、その頃からプロフェッショナルとしてボーカルやダンスの訓練を受けてはいた、と。

でも歌はすごく苦手でした。だから今、こうやって歌わせていただいてるのがちょっと不思議だったりします(笑)。舞台のオーディションを受けてもダンス審査は受かるんですけど、そのあとに歌の審査があるとよく落ちてました(笑)。

オールマイティになんでもできるように

──あっ、でもダンスは当時からお得意だったんですか。声優さんとして活動を始めてからソロ名義の楽曲はもちろん、RO-KYU-BU!の楽曲でもコリオグラフを手がけたりしていますけど。

運動が得意なタイプではないんですけど、当時からダンスとか身体表現をすることはすごく楽しかったです。もともと劇団に入る前、ホントにちっちゃかった頃に母親に、習いごとの1つとしてバレエ教室に連れて行かれたのがダンスを始めたきっかけだったんですけど、そのあと劇団でレッスンも受けましたし、自発的にジャズダンスやタップダンスや日舞も習ってましたし。それに歌も苦手ではあったんですけど、歌うこと自体は嫌いじゃなかったというか、ちゃんとやろうとは思ってました。

──「ちゃんとやろう」?

中1の頃「このまま芸能活動を続けていくならオールマイティになんでもできるようにならなきゃ」って思って。ダンスもそうですし、歌もそうですし、演技もそう。1つに絞るんじゃなくて、芸能活動に必要なこと全部に強くならなきゃって。それでライブなんかにも出させていただくようになって、踊ることだけじゃなくて、歌うこともすごく楽しめるようになったんです。

──オールマイティな存在になろうと思ったのはなぜなんでしょう? 例えば「女優になりたい」「モデルになりたい」「ダンサーになりたい」と目標を1本に見定めることもできただろうし、言ってしまえばまだ中学1年生。12歳なんだから逆に人生の目標なんて見定めなくてもいいのかな?という気もするんですけど……。

なんて言えばいいんだろう……。悪く言うと飽きっぽかったんだと思います(笑)。

──あはははは(笑)。

悪く言うとそうなんですけど(笑)、よく言えば私は一点集中型じゃなくて、いろんなことに挑戦できるタイプだって信じていたというか。今もどんなことであっても、がんばればできないことはないって思っていますから。なので目標を1つに決めずに、いろんなことをやっていきたい。そうすれば、それぞれの活動にとって相乗効果が生まれるはずだって信じてたんだと思います。

──12歳にして、可能性は全部試してみるほうが自分には向いているはずって気付いたきっかけって?

なんだろう? 実際それまでもダンスのレッスンで習ったことがお芝居に生かせたり、逆にお芝居の勉強をしていてわかったことがダンスに生かせたりしたことがあったからかなあ。

ニューシングル「Tinkling Smile」/ 2014年8月13日発売 / キングレコード
期間限定盤 [CD+DVD] 1728円 / KICM-91526
通常盤 [CD] 1188円 / KICM-1526
CD収録曲
  1. Tinkling Smile(テレビアニメ「ヤマノススメ セカンドシーズン」エンディングテーマ)
  2. thx!!
  3. Tinkling Smile *off vocal ver.
  4. thx!! *off vocal ver.
期間限定盤DVD 収録内容
  • Tinkling Smile(MUSIC VIDEO)
小倉唯(オグラユイ)
小倉唯

1995年群馬県生まれの声優、アーティスト。2009年に14歳で声優デビューし、2011年「神様のメモ帳」のアリス役、「ロウきゅーぶ!」の袴田ひなた役で大きな注目を集め、以来、毎シーズン放映のアニメの主要キャラを演じるように。また2010年に石原夏織と結成したユニット・ゆいかおりでメジャーデビューを果たし、2011年には「ロウきゅーぶ!」の出演声優ユニット・RO-KYU-BU!で歌った楽曲の数々がスマッシュヒットを記録するなど、声優業と並行して積極的に音楽活動も展開する。2012年にはシングル「Raise」でソロデビュー。そして2014年8月、アニメ「ヤマノススメ セカンドシーズン」のエンディングテーマとなる、4枚目のシングル「Tinkling Smile」を発表する。