ナタリー PowerPush - のあのわ
夏モード全開! 話題の「アネッサ」CMソング
チェロを奏でながら歌う紅一点ボーカル・Yukkoを中心に、2007年から本格的な音楽活動をスタートさせた5人組のあのわ。スイートな耳触りながら、ときに強烈なパワーで耳を突くYukkoの歌声と、とびきりポップな中にもゴージャスな味わいを含んだサウンドが特徴の音楽集団だ。
そんな彼女たちの4thシングル「Have a Good Day!」が、蒼井優の出演で話題を呼んでいる資生堂アネッサ2011 CMソングに決定! 昨年の同CM曲「Sunshine Girl」(moumoon)がロングヒットを記録したこともあり、のあのわへの注目度は急上昇中。中心メンバーのYukkoに、今作の制作秘話と楽曲の内容を絡めた、赤裸々な恋愛話を展開してもらった。
取材・文/川倉由起子
大型タイアップはコケたらヤバイぞって(笑)
──「Have a Good Day!」は資生堂アネッサのCMソングとして書き下ろした曲なんですか?
いや、実はデモ自体は2年前くらいからあって、ずっと手をつけてなかった曲なんです。でも今回のCM曲のお話をいただいて、まだワンコーラスだけの歌詞もない状態だったんですが、提出してみようということになって。
──デモ音源で提出を?
そうなんです。でも私たちも久々に聴いてすごくいい曲だなと思ったし、それを資生堂さんにも気に入っていただけたのはうれしかったですね。
──2年前というと、のあのわがちょうどメジャーデビューをした頃ですよね?
はい。当時はシングルを作るための合宿に入っていて、今回のデモもそこでできたものなんです。歌詞やメロディをつける、曲として完成させていく作業は、採用が決まってから始めたんですけどね。
──作詞をする際、何かキーワードはありましたか?
最初に資生堂さんから、いくつかアイデアをいただきました。去年のmoumoonさんのときは「優しさ」だったそうなんですが、今年はそれプラス「強さ」ということで。あとは「キラキラ」「透明感」「白い」などがありましたね。
──そうやって複数のキーワードをもらうと、歌詞をまとめるときに大変なんじゃ?
いや、求められているものが明確になっているので、それらがリンクする言葉やイメージが見つかれば、大変ってことはないですね。今回は、夏の力を借りて女の子が前向きになれたり、「起き上がるぞ!」って思えたりする歌にしようと思ったんですけど。
──じゃあ、そのモチーフが浮かんでからはわりとすんなり?
いや、何度も書き直しました。こんなに修正したのは初めてかもっていうくらい(笑)。「これはコケたらヤバイぞ」っていうプレッシャーもすごくありましたし……。
──ぶっちゃけますね(笑)。
それこそ、よく言う“期待と不安が入り交じった状態”だったんです。いろんな人が聴いてくれるっていううれしさもあるけど、失敗できないぞっていう気持ちもあって。マネージャーを含め、まずはのあのわのチームの中で納得できるものを目指す作業に時間がかかりましたね。
歌詞の70%くらいは自分のことです
──具体的な作詞作業はキーワードをもらってからどんなふうに進めていきましたか?
まず頭の中に描いたのは、普段あまり外に出ない女の子が、家を出て街を歩いてるイメージ。で、季節は気付いたらもう夏になってて、どこか浮足立ってる周りと自分のテンションにズレを感じるっていう……。
──その感じは、メロディを聴いて膨らませていったものですか?
いや、どちらかというとCMの映像から湧いたイメージですね。で、そのモチーフを元にして歌詞を書いていきました。
──私が歌詞を読んで印象的だったのは、1曲を通して“明るくポジティブな直球夏ソング”みたいな感じと思いきや、そうじゃないネガティブな表現も入ってるところで。そこに女の子の裏腹な一面を見たというか、妙にリアルさを感じてしまったんですよね。
この歌詞の主人公って本当は「人生はパーティだ!」とか言ってやりたいのに、そんな度胸もなく、喜怒哀楽の“楽しい”部分がうまく表現できないんです。それで損してる部分もたくさんあるだろうし、自分がもっと好きになれたら楽しいのになって。実はこれ、私自身のことでもあるんですけどね。
──それは意外です。今お話していると、Yukkoさんがそういう性格には思えないので。じゃあ、この歌詞には何%くらいYukkoさんが入っているんですか?
……70%くらいかな(笑)。
──なるほど、結構多めですね(笑)。今作は先程私が言ったようなポジティブ100%みたいな曲にしなかったのは何か理由があるんでしょうか?
そうしたい気持ちもあったんですけど、結局できなかったんですよ。自分自身の中に、そういう温度感もなかったし。
──でも、ポジティブじゃない感情を抱くこともあるからこそ、このような歌詞も生まれるわけで。
そうですね。なんだろう……これはたぶん、そんな自分をこの夏のパワーを借りて変えてみたい!っていう感じなんです。朝起きて綺麗な青空が広がってるのを見たときとか、「ちょっといいことあるかも」って思いません? 夏って、だんだんそういうシチュエーションが増えていって、ある1日がダメでも、次の日青空を見たらまたがんばろうって思えるような感覚があって。すごく素敵な季節だなって思うんですよね。
のあのわ
Yukko(Vo, Cello)とゴウ(G)が中心となり、2003年に結成した5人組バンド。2005年頃から本格的なライブ活動をスタートさせる。2007年に自主音源「noanowa demo.ep」をライブ会場やハイラインレコーズで販売開始。同時期に現在のメンバーYukko、ゴウ、nakame(B)、荒山リク(Key)、本間シュンタ(Dr)が揃う。2009年2月にアルバム「ゆめの在りか」でメジャーデビューを果たし、チェロを活かしたドラマチックかつエモーショナルな音楽性が注目を集める。2010年8月に2ndフルアルバム「MAGICAL CIRCUS」を発表し、より進化したサウンドを提示。2011年5月、資生堂アネッサ2011 CMソングに起用された「Have a Good Day!」をリリースする。