ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls
オーディエンスとともに作った新曲 ニューシングル「Diver」制作秘話
忘れられない神戸の夜
──さて、ここからはそのツアー中の裏話を聞きたいんですけど、みなさんは呑むほうなんですか。
対馬 まあ、呑まない……ですかね。
古村 みっちゃんだけ呑むんですよ。他の3人は打ち上げでわりとすぐやられちゃうほうで。
光村 僕は打ち上げに生きるタイプなんで。趣味「打ち上げ」ですから(笑)。
対馬 みっちゃんは酔っぱらうとしゃべりだして、「もっと来いよ!」っていうタイプかな。坂倉はヘニョヘニョになるタイプ。「もうダメだァ~っ!」て……(と、身体を崩すポーズ)。
坂倉 そんなにはならないけど(笑)。いや、顔にはそんなに出ないけど、全身に出るんです。でも自分では好きなんですけどね、あの状態。
古村 そういえば俺はセミファイナルの神戸でつぶれましたね。そのときは疲れてたのに上機嫌で、チューハイを2、3杯呑んだらダメになっちゃって。それで介抱してもらった記憶が。
対馬 打ち上げの最中にトイレから出てこなかったんだよね。実は神戸はライブハウスがサウナ状態で、さらに柵が壊れてライブが中断するというハプニングがありまして。とにかくすさまじいライブだったんですよ。
光村 スタッフからは「熱気がすごいから覚悟しろ」と言われてましたけどね。僕らは楽しかったけど、周りのスタッフが大変そうでした。2曲目で柵が崩壊して、僕らは演奏してるのに、ステージの後ろからスタッフがバンバン降りてきて(笑)。あれでうちのローディは腰を痛めてました。
対馬 あの日は楽しかったけど、お客さんが心配でね。
光村 そう、目の前の苦しい表情が「ちょっと抑えてくれ!」なのか「こうなったらもっと来い!」ということなのか、わからなくて。それで僕は「もっと来い」かと受け止めたんですけど、あれは違ったみたいで(笑)。でも楽しかったですね。
古村 それでその夜俺は機嫌が良かったんですね。うれしくて、楽しくて、ツアーもいい感じで。でも酒にはけっこう弱いんで結果的に……。
次回のツアーでは「対馬改造計画」を実施
光村 あと長崎は初めて行ったんですけど、ライブの前の日のお昼ぐらいに着いたので、フリータイムに街を徘徊して、出島まで散歩に行ったんですよ。そしたらオープンカフェみたいな海産物を出してるレストランがあって、港町っぽくていいなと思ってたんですけど、そこに古村と坂倉を見かけて。ふたりして海鮮丼を食ってるんですよ。しかも、僕は出島の景色とか、稲佐山とかを観に行こうと思ってそこまで歩いていったんですけど、彼らはその景色に背を向けて、必死にその丼にがっついてて。すぐ目の前まで行ったんですけど、まったく僕に気付いてもらえず……。
対馬 「長崎の味だ~!」みたいな?
坂倉 (笑)……あのときは、イカの活き造りですか? 噛むと痛がるんですよ、イカが。たぶん、みっちゃんが通ったのはその頃なんだよね。でもさ、景色も観たいけど、さすがに男が2人で並んで食うのもあれじゃない?
古村 でもグラバー邸から見る出島は最高でしたよ。「これぞまさに景色だ!」と(笑)。
光村 あのツアー中はそうやって、たとえば長崎なら景色観に行ったり、各地で銭湯とか温泉を探してみんなで入りに行くのが恒例だったんですけど、ただ対馬はそういう場に一切来ないんですよ。誘ってもなぜか「ああ、俺はいいや」みたいな。でもツアーが終わって、何かの取材のときに対馬が「俺は悩みがある」とかいきなり言い始めて。訊いたら「ツアー中すごいヒマだったからストレスが溜まった」と。でも僕らは夜、一応地方ごとにイベントを開催して、誘っているはずなんですけどねぇ。
対馬 まぁ確かに。打ち上げ後の二次会とか、みんなであそこ行こうよというのは行ってないですね。
──せっかくなのにもったいない。何か理由があったんですか?
対馬 気分が乗らないんですよね。まず温泉がそこまで好きじゃないのがひとつと、あんまり景色とかも興味ないし。元がインドア派なんで(苦笑)。
坂倉 確かに今までのツアーは部屋でみんなでゲームやってたもんな。
対馬 うん。Wiiやったりね。「ホテル内でみんなで遊ばねえ?」っていうのが多くて。どこまでインドアなんだ!と。
光村 たまに祥ちゃんの部屋に遊びに行っても、ずっとDSやってたりするじゃない。「帰ってくんねえかな」オーラ出されたり。それで「ストレス溜まる」って言われても……。
対馬 要するに、お前どうしようもねえな!って話ですよね。
光村 1回乗せられてみりゃいいんだよ。行ったら行ったで、楽しいと思うよ?
対馬 たぶんそういうタイプだとは自分でも思う。出島も行っとけば良かったかなぁ。
光村 今頃そう言われても(笑)。でもまだワンマンライブをできてない県が29県あるんで、ちょっとそこで「対馬改造計画」をやってみようか。
対馬 名所を回って「ちい散歩」みたいなことしちゃおうかな(笑)。
──つまり、行ったことのない土地でライブをやることは今後も考えてるんですね。
光村 ええ。春からのツアーは、初めての場所にはそんなには行けないんですけど、スタッフにはやりたいと言ってるんで。47都道府県制覇目指して、あと残り29県、いずれ回ろうと思ってます。
CD収録曲(初回限定盤)
- Diver
- 友情讃歌
- Broken Youth Live Ver.
- Diver Live Ver.
CD収録曲(通常盤)
- Diver
- 友情讃歌
- Diver Instrumental
DVD収録曲
- N極とN極
- 夏の雪
- エトランジェ
- 錆びてきた
- 風人
- サドンデスゲーム
- そのTAXI,160km/h
NICO Touches the Walls(にこたっちずざうぉーるず)
2004年4月に光村龍哉(Vo,G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。同年ヤマハのバンドコンテストに出場し、優勝に準ずる賞を獲得。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表。その後「SUMMER SONIC」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」などの夏フェスやライブイベントへの出演を経て、2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催し成功を収める。メンバー全員が1985年生まれと若手ながら、楽曲のクオリティの高さと演奏力に定評がある。また、エネルギッシュなライブパフォーマンスも多くのロックファンを魅了している。