音楽ナタリー PowerPush - Negicco×田島貴男(ORIGINAL LOVE)対談

添加物ゼロのアイドルポップスができるまで

これまでさまざまなアーティストとのコラボレーションで新たな表情を獲得してきたNegiccoがこの夏タッグを組むのは、彼女たちが生まれる前から日本の音楽シーンで活躍し続けるORIGINAL LOVEの田島貴男。ニューシングル「サンシャイン日本海」は古きよき歌謡曲を彷彿とさせる、これまでのNegiccoにありそうでなかったタイプのポップナンバーに仕上がった。

今回ナタリーでは「サンシャイン日本海」の魅力を紐解くべく、Negiccoの3人と田島貴男による対談をセッティング。楽曲制作時のエピソードから「すっかりNegiccoファンになった」という田島によるNegicco論まで、実り多いコラボの裏側を存分に語ってもらった。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 笹森健一

「隣の国の出来事」だったアイドルの世界に

左からKaede、Nao☆、田島貴男、Megu。

──今回のシングルについてナタリーで第1報を出したとき、Negiccoと田島さんという組み合わせのインパクトからか、ものすごい反響がありまして(参照:Negicco新曲は田島貴男書き下ろし「サンシャイン日本海」)。田島さんはもともとNegiccoの存在はご存知でした?

田島貴男 ええ、知ってましたよ。Twitterとかで情報は入ってくるので。小西(康陽)さんが作られた「アイドルばかり聴かないで」は面白い曲だなあと思って。今アイドルシーンが面白いことになってるとは噂で聞いてたんですよ。僕もナタリーをフォローしてるし(笑)。でも自分としては隣の国の出来事というか、別の惑星の出来事というかね。意識がそっちに行ってなかったんだけど、Negiccoをやるにあたって意識をそっちに向けてみたら、本当に面白いことになってんだなって。YouTubeとかを使ってほかのアイドルも観てみたら、いろんなアイドルがひしめいている状況が見えてきて、そんな中で勝ち残ってきてるNegiccoはすごいんだなと思いました。かえって「俺にできんのかな……」みたいな不安が出てきたりして(笑)。

──田島さんが女性アイドルの楽曲提供&プロデュースをするのは今回が初めてですよね。女性シンガーだと1990年代に井上睦都実さんへの楽曲提供などはありましたけど。

田島 うん、ギンギンの女性アイドルは彼女たちが初めて。最初は1分ぐらい途方に暮れたんですけど(笑)、これは面白そうだなと。試み自体が実験的なものだから、僕自身も楽しんでやれるんじゃないかなと思って。自分で言うのもなんだけど、なかなか書けないタイプのいい曲が書けたなと思ってます(笑)。

──田島さんとNegiccoが直接顔を合わせたのはレコーディングのときが初めてですか?

田島貴男

田島 いや、その前に一度打ち合わせをさせてもらいました。顔を合わせずすぐにレコーディングに入るのもどうかなと思って、僕のほうから会わせてくれと。

──Negiccoの皆さんは田島さんについてどういう印象を持っていましたか?

Nao☆ 私はカラオケでよく田島さんの曲を歌っていたので、まさか一緒に曲が作れるなんて思ってもいなかったです。こうやってお話してても緊張する……。

Megu こんなに大物の方なのに、レコーディングでは気さくにお話してくださって。レコーディングの時間よりお話してる時間のほうが長かったですよね(笑)。

田島 状況確認のためにさ、いろいろ話してたら長くなっちゃって(笑)。

「夕日コンサート」で共演したい!

──「隣の国の出来事」だったアイドルの世界に踏み込むにあたって、まずはどういうアプローチで行こうと考えたんですか?

左から田島貴男、Kaede、Nao☆、Megu。

田島 僕にオーダーが来たということは、向こうも一種の賭けだと思っているだろうし、こっちとしても今のアイドルにとらわれない賭けみたいな曲を作ろうと思って。なんつうのかな……僕が聴いた限りだと、今のアイドルの曲って添加物がいっぱい入った、香辛料とか化学調味料が入りすぎている印象がある。そんな中で、急に和食みたいな、新潟のおいしいお米で作りましたみたいなさ(笑)。これが添加物いっぱいの世界でどう受け取られるかなというのは自分でも興味深いですね。

──楽曲自体は確かに無添加な感じのする、今までのNegiccoとも違う素朴な味わいがあると思うんですけど……対してものすごいインパクトのあるタイトルですよね(笑)。

田島 タイトルはすんなり、すぐこれに決まりました(笑)。プロデューサーのconnieさんから「日本海側のドライブソングにしたい」という話があったんですよ。海辺のドライブソングはだいたい太平洋だから、新潟のNegiccoとしては日本海を歌いたいと。最初はほかのアイデアがあったんだけど、それに乗って。

──もともと考えていたアイデアはどんなものだったんですか?

田島 もうちょっと感動モノというかさ、ソウルフルな泣ける曲も考えたんだけど……やっぱ夏だしね(笑)。

──皆さんは曲をもらって最初にどんな印象を持ちましたか? 本人を前に言うのは少し照れるでしょうけど(笑)。

Nao☆

Nao☆ メンバーがそれぞれ好きなものが歌詞に入っていたし、新潟の情景がすごく詰まっていて。きれいな新潟を表現してくださっていてうれしかったです。

Kaede 今までのNegiccoにはなかった路線の楽曲で、何年か前だったら歌えなかったと思うんです。今のNegiccoだからこそ合う曲だと思うし、出会わせてもらえたことがうれしかったですね。スイカとかビールとか歌詞に出てくるフレーズも夏感があって、「ビール」って20歳前だったら歌えなかったと思うので(笑)。

Megu

Megu 先ほどおっしゃっていたように、いろいろ添加物が入ってない、シンプルな歌詞とシンプルなメロディが耳にも心にもスッと入ってくるので、愛される楽曲になるなと思いました。

──Negiccoにありそうでなかった、新潟を拠点にする3人の素朴な持ち味を生かした曲が、まさか田島さんとのコラボで生まれるとはという驚きはありますね。

Nao☆ 初めて「夕日コンサート」に出られる曲だ、と思いました。私たち、ずっと「夕日コンサートに出たい」っていう憧れを持ってるんです。

──「夕日コンサート」は毎年開催されていますけど、どんなコンサートなんですか?

Kaede

Megu 日本海の夕日をバックに素敵な……大物アーティストさんの歌を聴くっていう(笑)。

──あははは(笑)。そこに並ぶにふさわしい曲ができたと。

田島 噂は聞いてますよ、夕日コンサート。僕も出たい(笑)。

Kaede 一緒に出てください!

Megu Negiccoはバックダンサーでいいので(笑)。

ニューシングル「サンシャイン日本海」 / 2014年7月22日発売 / T-Palette Records
初回限定盤A [CD+DVD] / 1620円 / TPRC-0094
初回限定盤B [CD+DVD] / 1620円 / TPRC-0095
初回限定盤C [CD2枚組] / 1620円 / TPRC-0096
通常盤 [CD] / 1080円 / TPRC-0097
アナログ盤 / 1620円 / TPRV-0011
カセットテープ / 1296円 / TPRT-0001
CD収録曲
  1. サンシャイン日本海
  2. フェスティバルで会いましょう
  3. サンシャイン日本海(inst)
  4. フェスティバルで会いましょう(inst)
初回限定盤A DVD収録内容
  • 「サンシャイン日本海」Music Video
初回限定盤B DVD収録内容
  • 「フェスティバルで会いましょう」Music Video
初回限定盤C REMIX CD収録内容
  1. ルートセヴンの記憶(DORIAN remix)
  2. あなたとPop With You!(Avec Avec remix)
Negicco(ネギッコ)

Negicco

新潟の名産品「やわ肌ネギ」のキャンペーンユニットとして2003年7月に結成。キャンペーンソング「恋するねぎっ娘」でCDデビューを果たす。キャンペーン終了後も地元新潟を拠点に活動を続け、2010年にはローカルアイドルの音楽フェスティバル「U.M.U AWARD 2010 ~全国アイドルお取り寄せ展~」で優勝。2011年にはバニラビーンズとともに、タワーレコードが設立したアイドル専門レーベル「T-Palette Records」の第1弾アーティストとなった。同年11月にシングル「恋のEXPRESS TRAIN」を発表した。2012年2月にはベストアルバム「Negicco 2003~2012 -BEST-」をリリース。このアルバムに収録された代表曲「圧倒的なスタイル」は同年1月よりフジテレビ系人気バラエティ「めちゃ×2イケてるッ!」のエンディングテーマとして1年にわたってオンエアされた。結成10周年を迎えた2013年7月には、小西康陽ほか豪華クリエイターを作家陣に迎えた1stオリジナルアルバム「Melody Palette」を発表。2014年7月には田島貴男(ORIGINAL LOVE)との初タッグによるニューシングル「サンシャイン日本海」をリリースした。

田島貴男(タジマタカオ)

Negicco

1966年4月24日、東京都生まれ。1985年結成のバンド・レッドカーテンを経て、1987年よりORIGINAL LOVEとしての活動を開始した。1988~90年にはピチカート・ファイヴのボーカリストも兼任。1990年夏のピチカート・ファイヴ脱退後はORIGINAL LOVEで精力的に活動し、1991年7月にアルバム「LOVE! LOVE! & LOVE!」でメジャーデビューを果たす。同年11月発売の2ndシングル「月の裏で会いましょう」がフジテレビ系ドラマ「BANANACHIPSLOVE」の主題歌に採用され全国的に注目を集めた。その後も「接吻 kiss」「朝日のあたる道」などのシングルでヒットを記録し、1994年6月発売の4thアルバム「風の歌を聴け」はオリコン週間アルバムランキング1位を獲得。以降もコンスタントに作品を発表し、柔軟な音楽性を発揮している。2013年6月には通算16枚目のオリジナルアルバム「エレクトリックセクシー」をリリース。現在はバンドスタイルでのライブのみならず、田島1人での「ひとりソウルツアー」や「弾き語りライブ」も恒例化している。

田島貴男 ひとりソウルツアー 2014
  • 2014年10月15日(水)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2014年10月17日(金)福島県 club SONIC iwaki
  • 2014年10月18日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
  • 2014年10月19日(日)長野県 松本MOLE HALL
  • 2014年10月24日(金)北海道 倶知安be.
  • 2014年10月25日(土)北海道 BESSIE HALL
  • 2014年10月26日(日)北海道 CASINO DRIVE
  • 2014年11月1日(土)岩手県 the five morioka
  • 2014年11月2日(日)宮城県 仙台CLUB JUNK BOX
  • 2014年11月3日(月・祝)栃木県 POP Garage
  • 2014年11月7日(金)石川県 vanvan V4
  • 2014年11月8日(土)富山県 Soul Power
  • 2014年11月9日(日)新潟県 CLUB RIVERST
  • 2014年11月14日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2014年11月15日(土)京都府 磔磔
  • 2014年11月16日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2014年11月18日(火)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2014年11月19日(水)熊本県 DRUM Be-9 V1
  • 2014年11月22日(土)宮崎県 SR BOX
  • 2014年11月23日(日・祝)鹿児島県 CAPARVO HALL
  • 2014年11月24日(月・祝)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2014年11月26日(水)長崎県 DRUM Be-7
  • 2014年11月30日(日)東京都 TSUTAYA O-EAST
  • 2014年12月6日(土)沖縄県 桜坂セントラル

料金:前売 5400円(全公演共通・ドリンク代別)