ナタリー PowerPush - MO'SOME TONEBENDER × 雅-MIYAVI-
東京で何かが起こってるってことを 世界に向けて発信してやる
デジカメのスピードにだって勝つ自信がある
百々 ふと思ったんだけど、雅-MIYAVI-くんは、すべてが過剰だなと。
雅-MIYAVI- よく言われる(笑)。
百々 今こうやって話してるのを聞いてても、考えてることがすごいブワーって言葉になって出るじゃないですか。ライブでのステージングもそうだし、曲も、見た目のビジュアルもそうだし、すべてが過剰。
雅-MIYAVI- 「どれだけ歌舞けるか」を常に意識してます。歌舞伎なんですよね、俺の中では。メイクすることも、人と違うことをするのも。
百々 話はちょっと変わるんですけど、先週うちの近所でお祭りやってて、知り合いがたまたま近くを通りかかったんで神輿についてったんですよ。そしたらね、地元の人たちがパリッとしたハッピ着て、ねじりハチマキで足袋履いて、バッキバキに決めて神輿担いでて、結構カッコいいなと思ったんですよね。なんでそこまでやるんだろうってぐらい過剰で。次の日は普通のサラリーマンだったり、近所の居酒屋とかフトン屋のおっちゃんとかに戻ったりするんですけど、その入れ込んでる感じがいいなあってうらやましくなって、俺も混ぜてくれるんなら来年ハッピ買っちゃおうかな、なんて思った(笑)。その光景を見ながら、そういえば雅-MIYAVI-くんもこんな感じだよな、って。
雅-MIYAVI- ええ、人生祭りですから(笑)。自分でもちょっと気づいてるんですけど、止められないんですよ。
百々 止められないんだ(笑)。
雅-MIYAVI- 実際、毎日神輿担いでるんです。おそらく長いことずっと担いだままなんですよね。担がないとやってられないタイプなんだと思う。ステージにしても、音源制作にしても、撮影にしても。さっき2人で、この対談で使う決めカットを撮ったじゃないですか。俺、撮影ってのはカメラマンと対決することだと思ってるから。カメラマンが連続でシャッターを切っても、毎回違うポーズとります。デジカメで写真を撮って、データがコンピュータに送り込まれて保存される、そのスピードには絶対負けないっていう自信はあります。
百々 あはははっ!(笑)
雅-MIYAVI- カメラマンに「あっ! すいません! カメラ追いついてないです!」って言わせてナンボ。それ言われたら「よし! 勝った!」みたいな。
百々 撮影、面白かった。もしホントに嫌な相手だったら、同席して隣でそれやられると「うっわ、困ったな」ってなりそうだけど(笑)。
ギター演奏からもっと自由になりたいなと思って
雅-MIYAVI- 俺は自分で自分のことを常識人だなってすごい思う。
百々 そうだよね。最初のイメージでは「ちゃんと挨拶できる奴なんだろうか」ぐらいに思ってたけど、会ってみたらすごく礼儀正しくて、やっぱりバンドマンだって、ちゃんと音楽やってる人なんだって思った。雅-MIYAVI-くんのライブで楽屋に行って初めて会ったとき、俺は雅-MIYAVI-くんについて興味津々で質問が山ほどあったんだけど、すべての会話にBOBOが割って入ってきて(笑)。
雅-MIYAVI- たぶん初対面だからコミュニケーションがとりづらいだろうと計らってくれてたんでしょうね(笑)。
百々 あいつなりの気の使いようなんだろうけど、ずーっと喋り倒してね(笑)。お互いのことを「百々はね……」「雅-MIYAVI-はね……」って説明してくれて、「いや、それ目の前の本人から直接聞きたいんですけど」っていう(笑)。
──そのとき聞けなかった質問ってあります?
百々 主に機材の話ですね。ギターはベースアンプにもつないであったよね?
雅-MIYAVI- そうですね。
百々 あれって、ギターのアウトは1個だけ?
雅-MIYAVI- ギターのアウトは1個で、スプリットして振ってます。
百々 あの音圧を聴いたとき、もしかして巻き弦と1~3弦でピックアップを変えてて、アウトを2つにして4、5、6弦を全部ベーアンにつないでるのかな、とか思って。
雅-MIYAVI- 実はそれも考えてたんですよ。だけど俺、ギターのロー感がすごく好きなんで。「SURVIVE」って曲なんかはそういう感じを大事にしてます。
百々 なるほど。
雅-MIYAVI- また話が飛んじゃうんですけど、俺が日本人として突き詰めたいなと思ってるのは「間」なんです。自分の中では「居合いのグルーヴ」って定義付けてるんですけど。で、それを作るためには空間が必要ですよね。そのときにベーシストってすごく邪魔で。
百々 そりゃあ、あんだけギターを弾かれたらねぇ。隙あらば入ろうとするからね(笑)。
雅-MIYAVI- そうなんです(笑)。なので、ベーシスト要らんなあってずっと思ってて、もうドラムと2人でやっちゃえ、と。機材もそういうふうにどんどんデフォルメしていって。
百々 あとさ、人力でギターの音をループさせて、すごいおもしろいことやってるじゃないですか。それも「うわぁ! 人力でここまでできるんだ!」って思った。
雅-MIYAVI- あれは大変です。あの曲だけはホント、ぶっちゃけ全然やってて楽しくないです。
百々 ははははは(笑)。演奏するそのときどきの出たとこ勝負な部分もあって面白いんじゃない?
雅-MIYAVI- そう。でもかなり正確にループしないと曲が成立しないから、音楽してる気分じゃないんです。音って感じです。
百々 いやーでもあれ、バッチリ決まったら気持ちいいだろうなー。
雅-MIYAVI- 好きでダンスもやってるんですけど、今のスタイルだとずっとギターを弾いてるもんだから、もっと自由になりたいなぁと思っててああいう方法をやってみたんです。パフォーマンスするのすごく好きなんですよね。クラブ行って踊るのもすごい好きだし。
百々 うんうん。良いと思う。
雅-MIYAVI- 今さら打ち込みでやろうっていう気にもならないし、2人でやってるのに打ち込み入れたら意味ないんで(笑)。やれる範囲でやろうって思った結果があのスタイルなんです。
- 2010年10月4日(月)
- 東京都 渋谷WOMB
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / Torio - 2010年10月11日(月・祝)
- 東京都 六本木SUPER DELUXE
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / PILLS EMPIRE - 2010年10月18日(月)
- 東京都 新代田FEVER
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / avengers in sci-fi - 2010年10月25日(月)
- 東京都 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / 雅-MIYAVI-
MO'SOME TONEBENDER
(もーさむとーんべんだー)
1997年に福岡で結成されたロックバンド。メンバーは百々和宏(Vo/G)、武井靖典(B)、藤田勇(Dr)の3名。年間100本に達するほどのライブ活動を行い、2001年にはアルバム「HELLO」でメジャーデビュー。迫力あるロックサウンドで高い評価を獲得している。ダイナミズムあふれるライブパフォーマンスには定評があり、各地のフェスにも精力的に出演。2007年4月には初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも成功させ、2008年9月にアルバム「SING!」をリリース。その後2年間にわたって何度も試行錯誤を重ね、2010年に精力的な活動の再開を宣言した。
雅-MIYAVI-(みやう゛ぃ)
ヴィジュアル系ロックシーンを代表するアーティストのひとり。2002年10月に「【雅楽】-gagaku-」でインディーズデビューを果たし、メジャーデビューまでの間に日本武道館公演、韓国や台湾でライブを行うなど数々の伝説を残す。2004年10月にシングル「ロックの逆襲/21世紀型行進曲」でメジャーシーンに進出。以降「ネオヴィジュアリズム」をコンセプトに掲げ、従来のヴィジュアル系の概念を覆す斬新なスタイルが大きな注目を集めている。2007年に発表した3rdアルバム「【雅-みやびうた-歌】~独奏~」に伴うライブでは、タップダンサー、和太鼓、ヒューマンビートボクサーなどさまざまなサウンドを取り入れた独創的なステージを披露し話題を呼ぶ。和の要素をふんだんに取り入れたスタイルは海外でも高く評価され、アジア、欧州、アメリカなど世界各地でライブを開催。2009年4月、それまで所属していたPS COMPANYを離れ、自主レーベルJ-glamを立ち上げた。2010年1月にはレコード会社をユニバーサルJからEMI MUSIC JAPANに移籍。