ナタリー PowerPush - MO'SOME TONEBENDER × 雅-MIYAVI-

東京で何かが起こってるってことを 世界に向けて発信してやる

ドラムのBOBOもヴィジュアル系

──モーサムはオルタナ的なシーンから出てきたバンドですし、雅-MIYAVI-さんはもともとヴィジュアル系ですし、それぞれ出自が違うのでファン層はほとんど被ってないのではないかと思います。ですが、雅-MIYAVI-さんのニューアルバム「WHAT'S MY NAME?」を聴いた印象として、サウンド面でモーサムが共感できる部分は多いのではと感じましたし、新しいことに常に挑戦し続けるような精神性も2組は共通している気がしました。

百々 そうですよね。そこに気づかれていないのは、もったいないなと思いますね。

雅-MIYAVI- でも俺は、人から軽いイメージで見られることについては別にどうでもよくて。見た目のとおりで実際、メイクして着飾ってイェーイ! ってやるのも大好きだし(笑)、そういうのむしろ大歓迎みたいな。そのせいで音までダメだと判断されるんなら、それはそれまで、ってだけの話でしょ。やっぱ大事なのは、音にしろステージにしろ誰にもできないものを作ること。奇をてらったものって誰でも作れるし、ポップなのも誰でも作れるけど、俺はそのどっちもが共存した、オリジナリティもポピュラリティもあるものを作りたい。結局、こだわって生きてるかどうかだと俺は思うんですよね。そういう意味ではBOBOもヴィジュアル系ですよ。

百々 えええっ!? (笑)

雅-MIYAVI- そりゃヴィジュアル系ですよ。最近はもうステージ衣装として、レイザーラモンHGばりの真っ黒な競泳ビキニを買ってきて、「違う! これじゃダメだ!」って言って本番前に同じ水着屋に行ったと思ったら、今度は白と黒のストライプの水着買ってきた(笑)。

百々 あ、水着だからダメだったわけじゃないんだ(笑)。

雅-MIYAVI- 機能性含め、彼なりの美学があるんでしょうね。彼のソリッドなドラムと俺のプレイでどこまで突き詰められるかにずっと挑戦してるから、別に競泳水着だろうが、コート着てようがジャージ着てようがパジャマであろうが、音がバシッと決まればそれが全部正解。そういえばモーサムのライブ映像を観てて思ったんですけど、俺、ベースの人のことたぶん好きですよ。

百々 あははははは!(笑)

雅-MIYAVI- 同じ匂いを感じてます(笑)。

百々 うん、そうだね(笑)。

雅-MIYAVI- まあ結局は、お国は違えど畑は違えど、っていうだけの話。確かにモーサムと俺は活動の場は違うけど、それは例えば「国が違うから話す言葉は違うけれど、やってることは一緒」っていうのと同じようなことだと思ってるし。

日本人がギターを弾くからには欧米人にはできないスタイルで

百々 全部を聴いてないからなんとも言えないですけど、ヴィジュアル系ってどんな音楽なのかって聞かれても、さっぱりイメージできないですよね。

雅-MIYAVI- だって“ヴィジュアル”系だもん。音の話してねえじゃん(笑)。

百々 うん、他に呼び方ないんかなと思う。なんかさ、下手に「ヴィジュアル系だよね」なんて言うと、「バカにしてんのか!」って怒られそうで。

雅-MIYAVI- 実際そうですよ、ヴィジュアル系って言葉のイメージは。でも俺がヴィジュアル系の人たちに影響を受けたことは確かで、例えば一緒にS.K.I.NっていうバンドをやってたYOSHIKIさん、GACKTさん、SUGIZOさんのことは大好きですし、俗に言うヴィジュアル系っていうシーンを作った彼らのような人たちに対してのリスペクトは、俺は今も捨ててません。捨ててないからこそ、同じことをしても意味がないし、そこに興味もない。ヴィジュアル系に対しては、今となってはそういう距離感なのかなって思います。

百々 なるほどね。

対談風景

雅-MIYAVI- ミスクチャーとかオルタナとかガレージとかやってるような人からも「実はXが好きだったんだよね」「実はLUNA SEAが好きだったんだよね」っていう話はよく聞くんだけど、そんな人すら「でも俺はヴィジュアル系は聴きません」みたいなことを言うんですよね(笑)でも仕方ない。ジャンルが違う人はヴィジュアル系に対してネガティブなイメージを持ってしまってるんです。ただ、そこで自分が受けた衝動や影響は否定することじゃない。例えばギタリストとかが今の俺のプレイを観て、それでも「所詮ヴィジュアル系だろ?」って言われたままそこから先に行けないようなら、俺はそこまでの人なんです。

百々 確かに。

雅-MIYAVI- Xだろうが、LUNA SEAだろうが、KISSだろうが、プリンスだろうが、マイケル・ジャクソンだろうが、もっと言えばドリカムやB'zでも、どんな曲でもジャンルに関係なく、いいなと思った瞬間はいいんだよね。自分だってヴィジュアル系だけじゃなくいろんな人たちから影響を受けてるから、キザイア・ジョーンズとか、アーニー・ディフランコとか、ギターをぶわーって弾く人たちからも影響受けてるし、マイケル・ジャクソンやエルヴィス・プレスリーみたいなエンタテイナーからもすごく影響受けてる。シルク・ドゥ・ソレイユとかブロードウェイとかも好きで、グレゴリー・ハインズとかセヴィアン・グローバーみたいなタップダンサーからも影響されたし。

百々 うんうん。

雅-MIYAVI- でもだからといって、それをそのままやるつもりは全くない。良い部分をエッセンスとして吸収して、自分なりにアウトプットすればいいことだから。メイクしてるのも同じこと。俺は海外に行くことが多いので、このメイクも含め、欧米の人にはできないスタイルでエンタテインすることが日本人としてのアイデンティティなんじゃないかって思ってて。ロック、ヒップホップ、パンク、どれも全部海の向こうから来たもんで、もっと言えばそもそもギターも海外の楽器。それらを使って音楽やってる以上は、彼らにできない方法で返さないと意味がないなってずっと感じてたんです。ギターは日本のものじゃないからって、じゃあ三味線弾きますか? って話になるとそれは違うし。ギターを使って向こうの人たちに「俺には無理だ!」って思わせるところまでいかないと、日本人がギターやってる意味がないって俺は思ってるんです。

百々 キザイア・ジョーンズが好きなんだ?

雅-MIYAVI- 好きですね。でも、この前来日したとき観たけど、正直ガッカリした。

百々 そうなの?(笑)

雅-MIYAVI- 実際、見せ方とか弾き方とかキザイアから影響受けた部分はあって、でもそれだけだと彼を超えれないし、自分がファンクみたいなことやりだしたらそのまんまじゃんってことになるし。そうじゃなくて、彼にもできないとこまで到達して初めて「影響受けました」って彼に面と向かって言えると思うんですよ。……そう思ってるだけ余計に、がっかりしました(笑)。

百々 キザイア・ジョーンズは1stアルバムだったかな、アレが出たとき結構衝撃だった。あんまりファンクミュージックって通ってなかったんですけど、キザイアの場合はミクスチャー的というか、ちょっと違うよね?

雅-MIYAVI- 出身地のアフリカンな要素を入れたり。彼も自分のオリジナリティをすっごい意識してる人なので、「やっぱりファンクだけじゃダメだ」って気づいたんだろうと思います。

MO'SOME TONEBENDER presents no evil night special 「STRIKES TOKYO」

2010年10月4日(月)
東京都 渋谷WOMB
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / Torio
2010年10月11日(月・祝)
東京都 六本木SUPER DELUXE
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / PILLS EMPIRE
2010年10月18日(月)
東京都 新代田FEVER
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / avengers in sci-fi
2010年10月25日(月)
東京都 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
MO'SOME TONEBENDER / 雅-MIYAVI-

雅-MIYAVI- ニューアルバム「WHAT'S MY NAME?」 / 2010年10月13日発売 / EMI Music Japan

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  • 期間限定低価格版 / [CD] 1980円(税込) / TOCT-27002 / Amazon.co.jpへ
MO'SOME TONEBENDER
(もーさむとーんべんだー)

1997年に福岡で結成されたロックバンド。メンバーは百々和宏(Vo/G)、武井靖典(B)、藤田勇(Dr)の3名。年間100本に達するほどのライブ活動を行い、2001年にはアルバム「HELLO」でメジャーデビュー。迫力あるロックサウンドで高い評価を獲得している。ダイナミズムあふれるライブパフォーマンスには定評があり、各地のフェスにも精力的に出演。2007年4月には初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも成功させ、2008年9月にアルバム「SING!」をリリース。その後2年間にわたって何度も試行錯誤を重ね、2010年に精力的な活動の再開を宣言した。

雅-MIYAVI-(みやう゛ぃ)

ヴィジュアル系ロックシーンを代表するアーティストのひとり。2002年10月に「【雅楽】-gagaku-」でインディーズデビューを果たし、メジャーデビューまでの間に日本武道館公演、韓国や台湾でライブを行うなど数々の伝説を残す。2004年10月にシングル「ロックの逆襲/21世紀型行進曲」でメジャーシーンに進出。以降「ネオヴィジュアリズム」をコンセプトに掲げ、従来のヴィジュアル系の概念を覆す斬新なスタイルが大きな注目を集めている。2007年に発表した3rdアルバム「【雅-みやびうた-歌】~独奏~」に伴うライブでは、タップダンサー、和太鼓、ヒューマンビートボクサーなどさまざまなサウンドを取り入れた独創的なステージを披露し話題を呼ぶ。和の要素をふんだんに取り入れたスタイルは海外でも高く評価され、アジア、欧州、アメリカなど世界各地でライブを開催。2009年4月、それまで所属していたPS COMPANYを離れ、自主レーベルJ-glamを立ち上げた。2010年1月にはレコード会社をユニバーサルJからEMI MUSIC JAPANに移籍。