ナタリー PowerPush - mishmash*

コンテンポラリーダンス×音楽 魅惑のコラボレーション

Corneliusのサウンドプログラマー美島豊明、プロデューサーのマスヤマコムによる音楽ユニットmishmash*。ジャンルを問わず、クリエイティブなパートナーをプロジェクト毎に変えるのがこのユニットのスタイルなのだが、今回はコンテンポラリーダンスの世界で30年以上にわたって活躍を続ける折原美樹をフィーチャーし、“mishmash*Miki Orihara”名義で新作を作り上げた。

リリースされるのは「Ding Dawn / ディン・ドーン」「Reach Out until you can feel me. Hold tight. / 手を伸ばして、私にふれるまで、ぎゅっと。」の2曲。楽曲はiTunes Store、Amazon.co.jp、OTOTOYなどでダウンロード販売され、「デラックスなライナーノーツというイメージ」(マスヤマ談)というブックレットも販売される。そしてこのプロジェクトの最大のコンテンツは、コンテンポラリーダンスを全面に取り入れたミュージックビデオ。折原はプロデューサーとして気鋭のダンサーであるアダム・バラック、チェルシー・ボノスキーを起用。撮影は日本の風景をスタイリッシュな映像で提示した作品で知られるaugment5が担当し、極めて質の高いダンスミュージックビデオを完成させた。

今回ナタリーでは、マスヤマ、美島、折原にインタビュー(※折原はニューヨーク在住のためSkypeで参加)。今回のプロジェクトについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 インタビュー撮影 / 上山陽介

 
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「ディン・ドーン」(日本語)
「手を伸ばして、私にふれるまで、ぎゅっと。」(日本語)

mishmash*×コンテンポラリーダンスの可能性

マスヤマコム 折原さん、聞こえますか?

折原美樹 はい、聞こえます。

マスヤマ 本題の前に、折原さんがどういう人、どういうダンサーなのかを知っていただくために、できれば最初にYouTubeで「About Miki Orihara」という紹介映像を見てもらえると、この後の話もわかりやすいと思います。

──さて今日はよろしくお願いします。「Ding Dawn / ディン・ドーン」「Reach Out until you can feel me. Hold tight. / 手を伸ばして、私にふれるまで、ぎゅっと。」のミュージックビデオを拝見しました。コンテンポラリーダンスと先鋭的なポップミュージックが共存する、世界的に見ても非常に価値のある作品だと思いますが、まず今回のプロジェクトに折原さんが参加することになった経緯を教えてもらえますか?

マスヤマ 折原さんと30数年前、ニューヨークで知り合ったんです。彼女は19歳くらい、僕は22歳くらいだったのかな? 僕は学生でパンクバンドをやってたんだけど(笑)、その頃から折原さんはダンスを本格的にやっていて。当時はただの知り合いだったんですが、僕がここ2、3年でビジネスでニューヨークに行くようになって、たまたま再会したんですよ。

折原 そうですね。

左からマスヤマコム、美島豊明。

マスヤマ 2012年の5月、大江千里さんのコンサートがマンハッタンにあるZinc Barであったんですね。大江さんはジャズピアニストに転向されてるんですが、彼のマネージャーが僕と折原さんの共通の知り合いで。そこでばったり会って「30年ぶりだね!」って話して(笑)。

──そこから今回のプロジェクトにつながった、と。

マスヤマ ええ。もともとmishmash*はコラボレーションの相手を変えるプロジェクトで、「*(アスタリスク)」のあとはシンガーじゃなくてもいいんですよ。デザイナーでも大工さんでもいいし、いろんな可能性があると思っていて。その中で「コンテンポラリーダンスを映像に活かせないか」いうアイデアもあったんです。Ovalの「Ah!」という曲のミュージックビデオがまさにコンテンポラリーダンスを取り入れた作品で、それがずっと頭の片隅にあったのも、今回のプロジェクトを始めた理由の1つですね。で、折原さんと「何か一緒にできないか」と話していく中で、ミュージックビデオを作ろうということになりまして。折原さんはプロデューサーとして参加して、まずアダム・バラックを紹介してもらったんですね。先日のニューヨークでの折原さん初ソロ公演でも、アダムが一部振り付けを担当してたんですよね?

折原美樹

折原 そうですね。私は長く踊りの世界にいて、いろいろな振付師、ダンサーを知っているので、この曲に合った人を選ぶのはそんなに難しいことではありませんでした。私の夫はジュリアード音楽院を経てハートフォード大学ダンス課のディレクターをしてるんですが、アダムはもともと彼の生徒だったんです。卒業後もいろいろなところで踊っているのを知っていたし、若い頃よりも自分の踊りが形になってきたという印象があったんですね。一方、ミュージックビデオで実際に踊っているチェルシーはアダムのアシスタントでもあり、いつも彼の振り付けで踊っているので、このプロジェクトにも合うだろうと。今回の2曲には、もうちょっと若いダンスの“風”があったほうがいいなという考えもあったし。

マスヤマ もちろん折原さんも自分で振り付けをするんだけど、「この曲には合わない」と思ったみたいなんですよね。折原さんの振り付けはもっと動きが少ないんですよ。日本的なミニマリズムというか。この曲にはもう少しダイナミックに動くダンサーのほうがいいんじゃないかっていう……。私自身、“ダンスと音楽”ということには以前から興味があったんですけど、EDMみたいな曲でリズミカルに踊るのではなくて、違うアプローチをやってみたかったんです。ただコンテンポラリーダンスはシロウトが練習して急にやれるものではないですからね。

──コンテンポラリーダンスの世界で長年活躍している折原さんが参加したからこそ、実現したプロジェクトだったと。「Ding Dawn / ディン・ドーン」と「Reach Out until you can feel me. Hold tight. / 手を伸ばして、私にふれるまで、ぎゅっと。」を作ったのはいつ頃なんですか?

マスヤマ 2年くらい前ですよね?

美島豊明

美島豊明 そうですね。Julieちゃん(mishmash*の過去作品に参加した女性シンガーJulie Watai)とのプロジェクトがひと段落した後くらいかな。

マスヤマ そのときは“リズミカルではないもの”を意識して作ってたんですよね。Julieちゃんのときはビートがしっかりある曲が多かったから、それとは違うものを作ろうっていう。だから「ダンスのビデオを作る」という話になったときは「ビートがないのに、どうするんだろう?」と思ってたところもあったんですよ。でも、コンテンポラリーダンスのトップの人が参加してくれて、すごい映像ができあがって。紆余曲折あったけど、終わってみるとこれはこれでよかったよね。単なる音楽のプロモーションビデオでもなく、ダンスに音楽を付けたわけでもなく、それぞれの要素が拮抗してる動画になったんじゃないかな。

配信シングル「Reach Out until you can feel me. Hold tight. / 手を伸ばして、私にふれるまで、ぎゅっと。」/ 2014年6月11日発売 / mishmash*
日本語ver.
Amazon MP3 / 100円
Amazon MP3 / 100円
iTunes Store / 150円
OTOTOY(楽曲+2ch版映像) / 432円
OTOTOY(楽曲+5.1ch版映像) / 432円
英語ver.
Amazon MP3 / 100円
Amazon MP3 / 100円
iTunes Store / 150円
OTOTOY(楽曲+2ch版映像) / 432円
OTOTOY(楽曲+5.1ch版映像) / 432円
mishmash*(ミシュマシュ)
mishmash*

Corneliusのサウンドプログラマーを務める美島豊明と、ゲームや出版、映像などさまざまなカルチャーコンテンツを手がけてきたマスヤマコムによる音楽ユニット。作品ごとに異なるクリエイターをフィーチャーすることをコンセプトに掲げている。2012年12月リリースの1stアルバム「mishmash*Julie Watai」および2013年12月リリースの2ndアルバム「セカンド・アルバム / The Second Album」では、写真家として活躍する元アイドル / モデルのJulie Wataiをフィーチャーした。2014年6月にはダンサーの折原美樹をフィーチャーしたmishmash*Miki Oriharaを始動。