ナタリー PowerPush - 松下唯

アニメオタク“ゆいみん”が明かす アニソン愛とカバーへのこだわり

松下唯が1stアルバム「スクールガール・アンセム~学園アニソン集」をリリースした。本作には今年5月に発売されたソロデビューシングル「Shooting Star」や新曲に加え、“学園モノ”をテーマにしたアニソンカバーを収録。アニメオタクを自認する松下自身がセレクトしたこだわりのアニソンカバーは、原曲のイメージを残しつつも新たな解釈が加えられており、アニメファンから原曲を知らない人までが楽しめる仕上がりだ。

今回のインタビューでは、松下にレコーディングの裏話やカバーする際のこだわり、そしてオリジナル曲の制作秘話などをたっぷり聞いた。さらに前回の特集(参照:松下唯「Shooting Star」インタビュー)に続いて、「アニメオタク・松下唯」のルーツについてもじっくり語ってもらった。

取材・文 / 西廣智一 撮影 / 佐藤類

ルーツは「わんわん」「さくら」「最遊記」

──子供の頃、印象に残っているアニメは何かありますか?

松下唯

幼稚園の頃、ディズニー映画の「わんわん物語」が好きで、起きたらずっと「『わんわん』観る!」って連呼してたみたいです(笑)。物心ついてからハマったのは、「カードキャプターさくら」と「ふしぎ遊戯」かな。

──じゃあそのへんの作品が、ある意味アニメファンになる上での原点なんでしょうか。

そうですね。あとは「ドラゴンボール」もよく観ていて、家ではテーブルとテレビの狭い間を側転しながら「私は悟空になるんだ!」って言ってたらしいんですよ(笑)。そこから「西遊記」つながりで峰倉かずやさんの「最遊記」シリーズにハマって。それが中学生くらいだと思うんですけど、今度は「悟空と結婚する!」って言い出して(笑)。悟空違いなんですけど、まあその頃から2次元の男性キャラクターに恋するようになったんです。

──それ以前は、どちらかというとかわいいキャラクターが好きだった?

はい。魔法少女や怪盗少女になりたくて(笑)、「カードキャプターさくら」とか「怪盗セイント・テール」とかに出てくる女の子のキャラクターに憧れてました。

──なるほど。では高校に上がってからはどうでしたか?

たぶんアニメを含め、いろんなものに強い影響を受けた時期が高校生の頃で、コスプレをがっつりするようになったのも高校から。「アニメイト」に通うようになったのも高校1年生のときですね。その頃から一気に加速していきました。

メイド喫茶は「私の中では大きな原点」

──確か高校生の頃からメイド喫茶でアルバイトを始めたんですよね?

松下唯

はい。友達から「唯にぴったりなバイトがあるよ!」と勧められて面接を受けたんですけど、その面接も特殊なもので、普通のバイトの面接じゃ聞かれないような質問ばかりなんです。店長さんから「アニメは何が好きですか?」「どの作品だったら詳しい?」「コスプレは好き?」とかそういう質問ばかり投げかけられて。それで合格して、17歳の頃からメイドのバイトを始めたんですけど、制服はすごくかわいいし、先輩方もご主人様(客)もアニメに詳しい人ばかりで、そういった環境にすごく感化されちゃったんです。母親にも「天職じゃないの?」って言われたくらいで、芸能界に入るまでの3年間はずっと楽しく給仕をしてました。もしあのとき、アイドルグループのオーディションに合格してなかったら、私は今もメイドをして、相変わらずアニメについてご主人様とお話してたんじゃないかなと思います。そういう意味でもメイド喫茶って、私の中では大きな原点で、メイド喫茶時代から引き継いでいるものも多いので。それこそ前のグループで「うさぎの国から」って言ってましたけど、それはメイド時代に「うさぴょん星から来ました」っていうキャラクターをすでに確立していたから。ニックネームの“ゆいみん”も、メイド時代に“あいみん”と名乗ってたから、そのまま引き継いでここまで来ちゃったんです(笑)。

──じゃあ松下さんにとって歌うことやコスプレ、アニメの話といったすべてが集約されているのが、メイド喫茶なんですね。

ですね。そういえば、ライブとか撮影とかもメイド喫茶で初めて経験したんですよ。

──バンドマンにとって音楽活動の原点がライブハウスなのと同じように、松下さんにとってはメイド喫茶が原点だと。

その通りです!(笑)

誰かに憧れるより、早く芸能界に入りたかった

──メイド喫茶で歌ってた曲はアニソンが多かった?

そうですね。「冒険でしょでしょ?」とか歌ってました。あとはアイドルの曲とかも歌ったりもしてましたし。

──当時歌ってた曲で印象に残っているものって何かありますか?

松下唯

実はアニソンではないんですけど……私が通っていた高校は芸能にすごく力を入れてる学校で、高校1年のときに同級生の西田奈津美ちゃん(現在タレントとして活動中)と「gokko」というユニットを組んでたんです。2人の雰囲気が似てるってよく言われたから、ザ・ピーナッツさんやW(ダブルユー)さん、Winkさんのカバーをよくやったんですけど、一番印象に残ってるのは「恋のバカンス」。曲はザ・ピーナッツさんバージョン、振り付けはWさんのほうで、よくお祭りとか学園祭で一緒に歌いました。今でも奈津美とカラオケに行くと、「恋のバカンス」は絶対歌いますね。

──なるほど。ではその頃、目標にしていたアーティストはいましたか?

当時の目標というか憧れは、メイド喫茶「@ほぉ~むカフェ」のひとみん(hitomi)さんかな。でもアーティストさんに憧れるということはなくて、子供の頃からいろんなオーディションを受けてきたからとにかく早く芸能界に入りたいっていう気持ちのほうが強かったんです。

ニューアルバム「スクールガール・アンセム~学園アニソン集」 / 2013年10月9日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
初回限定盤A [CD+DVD] / 3500円 / TKCA-73997
初回限定盤B [CD+DVD] / 3500円 / TKCA-73998
通常盤 [CD] / 3000円 / TKCA-73999
CD収録曲
  1. SCHOOL WARS
  2. JOINT(「灼眼のシャナII」前期エンディングテーマ)
  3. ハッピー☆マテリアル(「魔法先生ネギま!」オープニングテーマ)
  4. Baby Sweet Berry Love(「変態王子と笑わない猫。」エンディングテーマ)
  5. プラチナ(「カードキャプターさくら」オープニングテーマ)
  6. ときめきの導火線(「ふしぎ遊戯」エンディングテーマ)
  7. ピアニィ・ピンク(「CLAMP学園探偵団」オープニングテーマ)
  8. 太陽曰く燃えよカオス(「這いよれ! ニャル子さん」オープニングテーマ)
  9. オレンジ(「とらドラ!」エンディングテーマ)
  10. 夢のマニュアル(「家庭教師ヒットマンREBORN!」エンディングテーマ)
  11. Shooting Star
<初回限定盤A>
  1. zero
<初回限定盤B>
  1. dear
<通常盤>
  1. とぅるまは
初回限定盤A DVD収録内容
  1. SCHOOL WARS(MUSIC VIDEO)
  2. MUSIC VIDEO撮影オフショットムービー
初回限定盤B DVD収録内容
  1. Shooting Star(MUSIC VIDEO)
  2. 「スクールガール・アンセム~学園アニソン集」ジャケット撮影オフショットムービー
松下唯(まつしたゆい)

松下唯

1988年7月25日生まれ、福岡県出身の女性シンガー。2008年7月に名古屋のアイドルグループのオーディションに合格し、芸能活動を開始する。順調に活動を続けていたが、2010年2月に両足首の病気である「離脱性骨軟骨炎(距骨)」により、手術やリハビリの ために1年近い活動休止期間に突入した。2011年1月からは徐々に活動を再開させるも、同年9月末をもってグループを卒業。その後東京や名古屋を拠点に、ライブ活動やFMラジオでのパーソナリティ担当など地道な活動を続けていく。そして2013年5月、徳間ジャパンコミュニケーションズからシングル「Shooting Star」でソロデビュー。同年10月にはアニソンカバーを中心とした1stアルバム「スクールガール・アンセム~学園アニソン集」をリリースした。