ナタリー PowerPush - 倉橋ヨエコ

"歌手廃業ライブ"が2年を経てDVD化 ファン待望の映像集の全貌を紐解く

シンガーソングライター、倉橋ヨエコ。2008年に突然の"廃業宣言"をし、ラストライブを行ってファンの前から忽然と姿を消してから、早くも2年以上の月日が過ぎ去った。

このラストライブの映像化を望むファンの声は、引退直後から現在まで止まないまま。そんな伝説の一夜がついにDVD化され「解体ヨエコショー」としてリリースされた。引退から2年を経ても人々の心を強く惹きつける倉橋ヨエコの魅力と、待望のDVDの全貌に迫る。

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倉橋ヨエコと「解体ヨエコショー」とは

倉橋ヨエコ

倉橋ヨエコは1976年9月20日生まれ、愛知県出身の女性シンガーソングライター。武蔵野音楽大学在学中より音楽活動を始め、2000年に1stミニアルバム「礼」をリリース。さまざまな角度の妄想や心の弱さを前面に押し出した赤裸々な歌詞、昭和歌謡やジャズの香りを漂わせるピアノを中心に据えたサウンドで、コアな音楽ファンを中心に徐々に注目を集めていく。2002年には1stフルアルバム「婦人用」をリリース。2005年にはBabeStarレーベルよりシングル「楯」を発表し、メジャーデビューを果たした。

それからわずか3年後、2008年6月のニューアルバム「解体ピアノ」リリースを前に、彼女はこのアルバムが「訴えたいこと全てを言い尽くした最高傑作」であると考え、突然“歌手廃業宣言”を発表。ファンからは驚きと悲しみの声が殺到する。そして同年7月、ラストツアーとなる「感謝的 解体ヨエコツアー」を開催。ツアーファイナルは7月19日・20日に東京キネマ倶楽部で行われ、超満員のファンが彼女との別れを惜しんだ。

“廃業”後の2008年9月には新曲を含むベストアルバム「終楽章 コンプリートベスト2000~2008」がリリース。その頃からレーベルにはキネマ倶楽部で行われたラストライブのDVD化を望む声がファンから寄せられていたが、DVD化に値するクオリティの映像が残っていないことなどから、一時は見送られる。しかしその後もファンからの要望は続き、署名は約1000通、デジタル署名は約600通に到達。また、2010年が倉橋ヨエコのデビュー10周年にあたることから、ついにDVD化の計画が動き出す。レーベルに残っていた記録用映像などが再編集され、2枚組のDVD「解体ヨエコショー」が完成。倉橋ヨエコ最後の夜を捉えた記録が世に放たれる──。

「解体ヨエコショー」収録内容

ライブDVD「解体ヨエコショー」

「解体ヨエコショー」は2008年7月20日に行われた倉橋ヨエコのラストライブ「感謝的 解体ヨエコツアー」東京キネマ倶楽部公演の模様を収録したDVD。DISC 1には2008年にスペースシャワーTVで放送された特別番組を再編集したラストライブのハイライト映像、そしてラストライブ時のリハーサル映像や「鳴らないピアノ」のビデオクリップを収録している。またDISC 2には7月20日のライブの模様を、本編からアンコールに至る楽曲、さらにMCまで完全収録。当初商品化の予定はなかったため、映像のクオリティやアングル、音声には若干の難点もあるが、彼女の最後のステージのすべてを臨場感たっぷりに味わえる作品となっている。ブックレットには倉橋ヨエコの半生を追ったテキストを掲載。また、ベストアルバムリリース時に彼女がファンに宛てて書いた「最後の手紙」も封入されている。

ライブ写真ライブ写真ライブ写真ライブ写真

ライブDVD「解体ヨエコショー」 / 2010年9月20日発売 / 8000円(税込) / BabeStar Label / VIBB-11~12

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Disc 1
  1. Special edit
  2. ボーナス【倉(蔵)出し映像、「鳴らないピアノ」music video】
Disc 2
  1. 白い旗
  2. 鳴らないピアノ
  3. 感謝的生活
  4. 卵とじ
  5. あいあい
  6. 盗られ系
  7. 過保護
  8. 白の世界
  9. マネキン人間
  10. 友達のうた
  11. 損と嘘
  12. 夜な夜な夜な
  13. 春の歌
  14. 人間辞めても
  15. 恋の大捜査
  16. はないちもんめ
  17. 輪舞曲
  18. メドレー(自転車/ラジオ/レモンケーキ/ラブレター/森へいく/梅雨色小唄)
  19. 沈める街
  20. ジュエリー
  21. 依存症~レッツゴー!ハイヒール~
  22. 東京
倉橋ヨエコ(くらはしよえこ)

1976年愛知県出身。武蔵野音楽大学在学中からオリジナル曲を書き始め、2000年に初の手作りCD「お帰りなさい」を発表。2002年3月には初のフルアルバム「婦人用」をリリースし、独特の味を持つ「ジャズ歌謡」サウンドで世間の注目を集め始める。その後、ピアノを前面に打ち出した「東京ピアノ」、多彩なゲストとのコラボに挑戦した「御中元」などのアルバムをリリース。最近ではテレビCM「マスカラ命の女ですぅ~♪」の声の出演でも話題となる。2007年2月には5thアルバム「色々」を発表し、他の追随を許さない独自路線のサウンドを追求。しかし、2008年に突如ミュージシャン廃業を宣言。同7月のライブツアーを最後に、音楽活動を終了させた。