ナタリー PowerPush - 近藤夏子
関西ガールポップの台風の目が赤裸々ラブソングでメジャーデビュー
とにかく人が大好きなんです
──そういったインディーズでの音楽活動を経て、メジャーデビューの切符をつかんだきっかけはなんだったんですか?
最初はストリートライブをやってた頃に現在の事務所に声をかけていただいて、ライブ会場限定のCDとか出しながらインディーズ活動を続けていたんです。そしたら、今の所属レコード会社のスタッフさんが、私の出ていた大阪の音楽番組をたまたま観てくださったみたいで。うれしかったですね。
──近藤さんの中にも、早くメジャーでやりたいっていう気持ちはあったんですか?
うーん、ざっくりとはあったと思いますけど、メジャーデビューが夢かと言われたらそうではなくて。でも、活動を続ける中で事務所の方も背中を押してくれたし、よりたくさんの人に聴いてもらいたいっていう気持ちはありました。
──でも、当時は心斎橋CLUB QUATTROでワンマンライブをやるなど、すでにかなりの人気があって。そのまま地元密着のインディーズ活動を選ぶのも、選択肢の1つだったとは思うんですけど。
そうですね。でも私自身、とにかく人が好きなので。より多くの人に音楽を届けたいのはもちろん、たくさんの人と仕事がしたいっていう気持ちもあったんです。今この場所だけのものじゃなくて、それをもっと広げていきたいと思ったんですよね。
デビュー曲は「あいつ、どんだけ空回ってんねん!」な私(笑)
──デビューシングル「『リアルでゴメン…』」は、いつごろ制作した曲なんですか?
去年の11月くらいです。当時は週5曲とか楽曲を作ってたんですが、これができた瞬間“めっちゃ好きや”って思って。もちろん自分の曲は全部好きですけど、これだけはなんでもないときも口ずさんでたりして。iPodに入れてずっと聴いてたし、客観的に聴いてもサウンドとして好きだったんですよね。
──でも歌詞は、ちょっと切なくてつらい気持ちを歌った内容ですよね。それを何度も聴きたくなるというのは……。
あはは、そうですよね(笑)。でもこれ、自分のことをそのまま書いてるだけなんで。包み隠さずそのまんまです。
──好きな男の子の前なのに、どうしても期待に応えて三枚目キャラになってしまうという。
周りから見たら「あいつ、どんだけ空回ってんねん!」みたいな(笑)。私自身も男友達を好きになっちゃうことが多くて、それで苦しい恋愛をした経験もあるし。ちょっと黙ってるだけで、「あれ、お腹空いてんの? おにぎり食べる?」とか言われたり(笑)。
──でもそういうノリって、やっぱり関西人ならではですよね(笑)。
変なサービス精神っていうか「振られたら乗って笑かさな!」って思っちゃうんですよ(笑)。
──そのへんの葛藤って、歌詞にすることでスッキリしたりするんですか?
ありますね。あと、恋愛中って人に喋りたくなりません? めっちゃ切ないけど、人に言ったらちょっとラクになるというか。歌詞にするのは多分そういう感覚なんですよね。
──でもこの主人公は、最後まで自分の気持ちを曲げないですよね。「好きになってゴメン」って何度も謝るんだけど、最後は「リアルな自分でゴメン」って。
そうなんです。相手のことは好きなんだけど、私らしさも変えたくないっていう。
──ああ、わかります! 変えてまで好きになっちゃ、自分じゃないですもんね。
そうそう。でも、変えてまで好きになっちゃう子が周りには結構多くて(笑)。だから、そういう子には「あ、そうか!」って思ってもらえたらうれしいし、昔こんな経験をした人には思い出して懐かしんでほしいなって。この曲を聴いて前に進めたとか、元気をもらったっていう反響があったら一番うれしいですね。
──それにしても本当に赤裸々。「ここまでさらけ出すの!?」っていうくらいです(笑)。
ですよねー。でも普段の生活で女友達と喋るときとか、自分がぶっちゃけると相手もぶっちゃけてくれるんですよ。そしたらまた深い仲になれたり、お互い頑張れたりして。だからぶっちゃけることには全く抵抗がないし、ぶっちゃけトークは全然ウェルカムなんです!
残念ながら、別れた彼は戻ってきませんでした
──カップリング曲「ありがとごめんネ」も含め、今回は謝りソングが2曲入ってるっていうのが面白かったです。
あはは(笑)。なんだか謝りアーティストみたいになってますよね。
──でも、内容はまったく別物の「ごめん」ですよね。
そうなんです。「ありがとごめんネ」のほうは、付き合い始めて優しくされると適当になってしまい、あとで大切さに気付いてめっちゃ焦るっていう歌。普通に歌詞だけ読むと、ただのワガママな女子なんですけど(笑)。
──サビの「アリガトゴメンネダイスキダカラモドッテキテマジデ」っていうフレーズには、ものすごい勢いを感じました。
そうなんです! ここは勢いを感じてほしいから全部カタカナにして。そこがちゃんと伝わってよかった!
──なんだか呪文のようにガーッと叫んでる感じが浮かびますよね。
そうそう! 文字っていうよりマークになってしまってる感じを出したくて。はあ、なんか伝わってめっちゃうれしいですー。
──(笑)ちなみに、この曲の後日談はあるんですか?
私の場合は、残念ながら戻ってこなかったですね。でも、だからこそ思いがあふれ出たし、この曲が書けたということで。結果、良かったということです(笑)。
いつまでも、コンマニには「相変わらずやなあ」って言ってほしい
──今後もどんな曲が飛び出すのか楽しみですが、楽曲のストックは現在どのくらいあるんですか?
6~700曲はありますね。多いのは、恋愛の歌と友達の歌。めっちゃヘンなのもあって、ファミレスでメニューを迷ってるだけの曲もありますよ(笑)。歌詞は日常生活から生まれることがほとんど。聴いてくれる人にも、そういう身近なところで共感してもらえたらうれしいです。
──聞くところによると、近藤さんのファンを“コンドウマニア”、略して“コンマニ”と呼ぶそうですね。
そうなんです。これはファン発信で命名されたもので、みんなライブとかのパワーがハンパないんですよ。めっちゃオシャレして来てくれたりするし、大阪の子なんて「なっちゃん見て! このワンピめっちゃかわいないですか?」とか言ってくるんで(笑)。友達感覚で仲良くしてくれる子が多いです。
──アーティストとファンではなく、友達感覚?
そうですね、むしろ私が仲良くしてもらってる感じ(笑)。でも、そういう関係性はすごく楽しいし、絶対に壊したくないって思ってて。いつまでも「相変わらずやなあ」って言ってほしいし、そうあり続けることが私の目標ですね。
初回限定盤 CD収録曲
- 『リアルでゴメン…』
- ありがとごめんネ
- ヒーロー
初回限定盤 DVD収録内容
- ライブ映像2曲
- オフショット & ドキュメンタリー映像
通常盤 CD収録曲
- 『リアルでゴメン…』
- ありがとごめんネ
- で、神様
- ヒーロー
近藤夏子(こんどうなつこ)
大阪在住のシンガーソングライター。中2の頃からピアノ弾き語りを始め、高校在学中よりライブ活動を開始。大阪府内でのストリートライブが話題を集め、インディーズで4枚のCDをリリース。2010年2月には心斎橋CLUB QUATTROでのワンマンライブを成功させる。2010年4月にワーナーミュージック・ジャパンからシングル「『リアルでゴメン…』」でメジャーデビュー。共感を呼ぶ詞世界とキャッチーなメロディ、エネルギッシュなライブパフォーマンスが、同世代の女子を中心に大きな支持を集めている。