ナタリー PowerPush - 住所不定無職

ロックンロールの魔法がここに! 超絶ポップな初期衝動「JAKAJAAAAAN!!!!!」

ロックンロールはステージで嘘をついてもいいんです

──住所不定無職のライブを観ていると、とにかく音を鳴らす楽しさが伝わってきて、その反面いわゆるアーティスト的な自意識っていうのは薄いように感じるんですけど。そのあたりいかがですか?

ザ・ゾンビーズ子 あー、確かにあんまりアーティストっていう感じじゃないかな。芸術家ってことですよね? だったらそういうのじゃなくて、ただロックンロールに憧れてやってるだけ。

──ユリナさんは?

ユリナ えー、よくわかんないです。ロックンロールなんかどうでもいいんです。うちホントにでかい音でジャカジャーンってやりたくて、それ以外なんもないから。もうそれだけ。THE ROLLING STONESもTHE WHOもそんないいと思ったことないし。世の中のロックンロールって言われてるものにピンと来たことがないから。

──でもユリナさんがステージで「ロックンロール!」って叫ぶとものすごい説得力がありますよ。

ユリナ うん、そこは大事ですよね。ロックンロールはステージで嘘をついてもいいんです。ステージ降りたらしょうもない最悪な奴でも、ステージで嘘ついてカッコよければそれで成立する。だから嘘つきまくってやろうと思ってます!

──じゃあステージ上のユリナさんは、素のユリナさんとは違う?

ユリナ 全然違います!

インタビュー風景

ザ・ゾンビーズ子 うん、私たちみんなそうです。だからほめられてもあんま自分がほめられてる気がしない。

ユリナ こういうインタビューとかで「住所不定無職いいですね」って言われても「ああ、いいですよね、私もそう思います」っていう感じなんですよね。

──ヨーコさんも同じ思いですか?

ヨーコ うん……?

ユリナ そこまで考えてなかったでしょ?(笑)

ヨーコ はははは、そう、今はこの部屋あったかいなって思ってた(笑)。

──あはは(笑)。

ヨーコ あんまりそういうこと考えないんです。でもみんなで一緒になんかやるのは好きだから。

──じゃあステージで素の自分を表現したいという欲求はない?

ヨーコ 全然ないです、そんなの。

ザ・ゾンビーズ子 素の自分に魅力なんか何もないし、だから別のところで勝負するしかないって思ってます。

ユリナ でも、ロックンロールってそれで大丈夫なんでしょ?

ザ・ゾンビーズ子 うん、それで大丈夫。

ユリナ どうやらそうらしいんで、これでいいかなって。

このバンドでやるからいい感じになってる

──バンドを始めて、最初に手応えを感じた瞬間ってあります?

ザ・ゾンビーズ子 そうですね。最初の頃はワーッて鳴らすだけだったんですけど、たぶん最初に書いたいい曲が「I wanna be your BEATLES」で、そのときに自分はこういう曲が作れるんだと思って。

──自分の才能に目覚めた?

ザ・ゾンビーズ子 うん、最近はそれ感じますね(笑)。

ユリナ 最近はすごいよね。

ザ・ゾンビーズ子 ずっとそう思ってたけど言わなかっただけだから(笑)。でもどうなんでしょうね、別にたいしたことない曲とかもいっぱいありますけどね。このバンドでやるからいい感じになってるっていうのは大きいと思います。

──例えば?

ザ・ゾンビーズ子 えーと、「1.2.3!」は間違いなくいい曲ですけど「マジカルナイトロックンロールショー」なんて別に、曲自体は誰でも作れるような曲だと思います。でも住所でやるといい感じになる。

インタビュー風景

──それってバンドマジックみたいなものですか?

ユリナ バンドマジック? なんですかそれ?

ザ・ゾンビーズ子 ほら、「あの娘のaiko」はユリナ1人で作ったじゃない? それをバンドで合わせたときに「わあ、良くなった」って思ったりした?

ユリナ いや、別に……。曲ができたときに「むっちゃいい曲できたー!」とは思ったけど。

──「あの娘のaiko」はヨーコさんがリードボーカルを担当してますけど、これは最初からヨーコさんが歌う前提で作ったんですか?

ユリナ いや全然! いい曲だし、私が作った曲なんだから自分で歌って人気者になりたいですよ! でも歌ってみたらゾンちゃんに「ちょっとトゥーマッチだね。うますぎるね」とか言われて。なんか抑揚とかつけすぎて、絢香みたいになってきちゃって。

──ユリナさん、実は歌うまい説がありますもんね。

ユリナ そうなんです。出ちゃうんですよ、やっぱり(笑)。じゃあヨーコちゃんにやらせてみようかって、どうせヘタくそだから良くねーだろ思って、歌わせたら……良かったんです!(笑)

ヨーコ ラッキー!

ユリナ だからいまだにちょっと悔しいんです。

──そもそもどの曲を誰が歌うとか、この曲は誰がドラムを叩くとか、そういうパート分けはどうやって決めてるんですか?

ユリナ できるかできないかです。「こんなギター弾けない!」とかあるし、消去法です。

──いろんな意味で特殊なバンドですよね。

ユリナ 全部狙ってないんだけどなー。

──やりたいことしかやってないですもんね。

ユリナ てか、やりたいこと全部やったらこうなっちゃったっていう(笑)。みんなでギター弾きまくって、ジャカジャーンって鳴らしまくってるだけなんです。

住所不定無職 / JAKAJAAAAAN!!!!! 予告編

7SONGS DISC & DVD「JAKAJAAAAAN!!!!!」 / 2011年1月26日発売 / 2310円(税込) / DECKREC/UK PROJECT / DCRC-0069

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CD収録曲
  1. マジカルナイトロックンロールショー
  2. 1.2.3!
  3. あの娘のaiko
  4. 狂言メッセージ
  5. メガネスターの悲劇
  6. 渚のセプテンバー・ラブ
  7. 死語カード
住所不定無職(じゅうしょふていむしょく)

ユリナ(ギターとか)、ヨーコ(ギターとか)、ザ・ゾンビーズ子(ギターとか)からなる3ピースロックバンド。2007年の結成後、都内ライブハウスを中心に活動し、2010年3月に1stアルバム「ベイビー!キミのビートルズはボク!!!」を発表。さまざまなサウンドを独自の解釈で混ぜ合わせ、キャッチーなメロディとオリジナリティあふれる歌詞で表現するそのスタイルが多くのロックファンの支持を集める。2011年1月には名門ロックレーベルDECKRECから7曲入り“フルヴォリューム・シングル”「JAKAJAAAAAN!!!!!」をリリース。