ナタリー PowerPush - JELLYFiSH FLOWER'S

松尾昭彦×池田圭 初めての答え合わせ

JELLYFiSH FLOWER'Sが1stフルアルバム「ジェリーフィッシュフラワーズII」をリリースした。元GENERAL HEAD MOUNTAINの松尾昭彦(B, Vo)が、2013年に宮崎で新たに結成したJELLYFiSH FLOWER'S。バンド初のフルアルバムとなる今作には、弾き語りの「始まる、これから」から壮大なスケールを感じさせる「夢の跡」まで、さまざまな情景を切り取った色彩豊かな14曲が収められている。

今回ナタリーではJELLYFiSH FLOWER'Sの魅力を探るべく、バンドのこれまですべてのビデオクリップを手がけている映像作家・池田圭と松尾の対談を実施。じっくり話すのは初めてという2人に、互いの作品の魅力やクリエイターとしての共通点などを語ってもらった。

取材・文 / 小林千絵 撮影 / 半田安政(showcase)

 
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「どの監督だ! 監督を探せ!」

──お2人が出会ったきっかけってなんだったんですか?

松尾昭彦 僕がCOUNTRY YARDのPV(「Starry Night」DORAMA ver.)を観て「超ズルいな!」って思って、レーベルの人にあの監督でPV撮らせてくれって言ったのがきっかけですね。「どの監督だ! 監督を探せ!」って。

池田圭 あ、あれだったんですね。

松尾 そうです。最後に女の人が出てくるじゃないですか。あの人がかわいかったってのはあるんですけど(笑)、女の子が大人になったらあの女の人になって。「なんだ、映画じゃねえか! ちきしょー!」って。

池田 あれは自分でもよくできてるなと思って。すげーシンプルな話なんですけど、3分半くらいでよく描けたなっていう。

松尾 で、あの3人があのまんま大人になってロックしてるんですもんね。この作品で僕の監督への片思いが始まるわけです。

池田 実はジェリーフィッシュより前、松尾さんがソロで出したときにもPVの話をいただいていたんです。結局その話はなくなっちゃったんですけど、僕はそのとき曲を聴いてめっちゃ声いいなってずっと覚えてて。で、3カ月経ってジェリーフィッシュの話が来て「あれ、これってあの人だよね?」って思いました。それくらい印象的でしたね。

松尾 ありがとうございます。

池田 すごく“歌ってる”って感じがしました。

惚れ込んで頼んでるので、指示も修正もしない

──池田さんが初めてJELLYFiSH FLOWER'SのPVを手がけたのは、「ジェリーフィッシュ」「本当のこと」という2曲がつながったPV「ほんとうのこと」ですよね。この話が来たときはどうでした?

左から松尾昭彦、池田圭。

池田 楽曲がすごくよくてツボだったので、ラッキーって思いました。どんな映像を付けてもよいものになるっていうのは思いましたね。

──松尾さんは念願の池田監督によるPV「ほんとうのこと」が上がってきたときはどうでした?

松尾 「わ、2曲つながってる」って。

池田 あはは(笑)。

松尾 僕が頼むときって監督には何も提示しないんです。曲と歌詞だけ送って、そしたら監督から台本が返ってきて……完成みたいな。

池田 松尾さんだけですよ。普通は「こういう映像で」って指示がもちろんあるんですけど。松尾さんは修正もないんですよ、かつて一度も。

松尾 惚れ込んで頼んでるんで、直す必要ないです。もう僕が何か言ったところでよくならないって思ってるので。

池田 それってすごいですよね。僕はいつも提出するとき「これが一番いい」って思ってるんですよ。だから出したものをそのまま受け入れてくれるっていうのは非常にうれしいですよね。しかも当たり前ですけど、僕らって音楽を直さないじゃないですか。だから同等に扱ってくれた気がして。逆に出したあとに「直すとこないかな」って思って、自分でもう一回探しちゃうくらい。

松尾昭彦

松尾 監督の出してくる映像の攻め方が、本当にその通りなんですよね。「そうそう、その世界観!」みたいな。こういうPVをやりたかったんですよ。でもなかなかそういう人と出会えなくて。だから監督と出会って「やったぜ」って感じです。

池田 どんなに話し合っても受け入れられない、かみ合わない人っていますけど、逆にたいして話さなくてもなんとなくわかるっていう人もいますよね。松尾さんはそういう感じがします。

松尾 美しいと思ってるところが似てるんじゃないかな。表現の方法は違いますけど。

1行だけ本当のことを書く

──お2人には「ストーリーを紡いでいく」という共通点があるように思えます。

松尾 高田渡さんとかあのへんの何気ない毎日を淡々と歌うような昔のフォークソングを聴いてきていることも影響していると思うんですけど、目に浮かぶような歌が歌えたらいいなっていうのは日々思っていて。その中に1行だけ本当のこと、本当に言いたいことを書くようにしてるんです。

池田 作り方、似てるのかもしれないですね。僕もそうです。あんまり説教っぽくもなりたくないし、「俺ってこういうこと思ってるんだ」って言う男気もない。ただ何かを作る以上、絶対に何かが人に伝わるので、少しだけ本当のことを入れていくことにはしてます。ひっそりと伝えていくみたいな。そういうところ似てるんでしょうね。

松尾 そのぶん、シチュエーションの季節感や色なんかは上手に書かないと、とは思うんですけど。

ニューアルバム「ジェリーフィッシュフラワーズII」/ 2014年5月14日発売 / THE NINTH APOLLO / TNAD-0050
JELLYFiSH FLOWER'S「ジェリーフィッシュフラワーズII
[CD] 2400円 / TNAD-0050
収録曲
  1. 始まる、これから
  2. アネモネ
  3. 女優 A
  4. 飛べない二人
  5. キタノブルーへの冒涜
  6. インテリア
  7. 成れの果て
  8. 忘れ物とあの子
  9. トワイライト
  10. 世界の終わり方
  11. 真冬と七夕
  12. 夢の跡
JELLYFiSH FLOWER'S
(ジェリーフィッシュフラワーズ)
JELLYFiSH FLOWER'S

元GENERAL HEAD MOUNTAINの松尾昭彦(B, Vo)がナカハラコウタ(G / ex. HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、amimo(Dr)に声をかけ結成した3ピースバンド。2013年2月に枚数限定シングル「ライフイズビューティフル」を3000枚完売させ、同年6月に8曲入りミニアルバム「ジェリーフィッシュフラワーズ」、7月に松尾昭彦とJELLYFiSH FLOWER'SによるスプリットCD「1983」を立て続けに発表した。2014年5月には待望のフルアルバム「ジェリーフィッシュフラワーズII」をリリース。松尾が描く物語性のある歌詞と骨太なサウンドを武器に、宮崎を拠点に活動中。

池田圭(イケダケイ)

1979年生まれの映像作家・脚本家。19歳より独学で映像を学び始める。監督のほか、脚本も自身で務め「Tronto Japanese Film Festival」「山形国際映画祭」「広島映像展」など、国内外で数々のタイトルを受賞している。2013年に手がけたCOUNTRY YARD「Starry night」のPVが話題を集め、続編という形で映画「眩しくて見えなかったから長い瞬きを繰り返した」を制作。全国の映画館やライブハウスにて“ムービーツアー”を実施した。ストーリー性のあるノスタルジックな映像を特徴とし、SiMやMY FIRST STORY、SHANK、COUNTRY YARD、ircleなどさまざまなアーティストのPVを担当している。