ナタリー PowerPush - hideトリビュート特集

東海林のり子×木村世治対談

hideのトリビュートアルバム「hide TRIBUTE VI -Female SPIRITS-」「hide TRIBUTE VII -Rock SPIRITS-」(hideソロ活動20周年を記念したトリビュートシリーズ“SPIRITS”の完結編)が12月18日にリリースされることを記念して、東海林のり子、木村世治(ZEPPET STORE)の対談が実現した。テレビレポーターとしてhideと出会い、取材を通して親交を深めた東海林、そして、hideが自主レーベル「LEMONed」を設立するきっかけとなったZEPPET STOREのボーカリスト・木村。生前のhideと深い交流を持っていた2人の会話からは、今も輝き続ける彼の“スピリッツ”をたっぷりと感じてもらえるはずだ。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 小坂茂雄

きっとhideちゃんも喜んで聴いてるんじゃないかな

──hideさんと交流の深かったお2人に、いろいろと語っていただけたらと思います。

左から木村世治、東海林のり子。

東海林のり子 よろしくお願いします。対談するときに「世ちゃん」じゃマズいわよね。やっぱり「木村さん」って呼んだほうがいいかしら。

木村世治 いえいえ、いつも通りでいいですよ。

東海林 じゃあ「世ちゃん」で(笑)。まず、今回のトリビュートの話をしたほうがいいですよね?

──ぜひお願いします! hideさんのトリビュートシリーズ、どうでした?

東海林 聴かせてもらいましたけど、すごく面白かった。(参加アーティストは)トータルで62組なんですよね? おもちゃ箱みたいにいろいろな曲が入っていて、楽しいの。これね、まとめて聴いたほうがいいと思う。「Female SPIRITS」もよかったな。女の人が歌うことで、こんなにニュアンスが変わるんだなって。

木村 そうですよね。

東海林 「Rock SPIRITS」もよかった。どのバンドも自分たちが持っている個性を(hideの楽曲に)ちゃんとハメ込もうとしていて、そこが面白いなって。CUTTくんの「POSE」もすごく熱いモノを感じたし。

木村 CUTTは筋金入りのファンですからね。

東海林のり子

東海林 「Visual SPIRITS」(若手ヴィジュアル系バンドによるトリビュート盤)も面白かったな。どのバンドだったかな、「え、歌謡曲?」っていう感じになってて……。

──ヴィジュアル系バンドのダウトがカバーした「DOUBT」ですね。

東海林 そうそう。あとね、BORN(「ever free」をカバー)が曲の中で「お客さん」って呼びかけてたのよ。hideちゃんもライブで「お客さん、よく来たね」って言ってたじゃない?

木村 ええ。

東海林 それぞれのバンドに「ほかとは違うことをやってやろう」という熱意があるのよね。バンドによって受け止め方が違うし、きっとhideちゃんも喜んで聴いてるんじゃないかな。

木村 作り手はそのためにやってるようなところもありますからね。いかにhideさんを喜ばせるかっていう。

あの千葉マリンスタジアムが、hideちゃんのやりたいことだったと思う

──ZEPPET STOREは「GOOD BYE」をカバーしてますね。

木村 一番ZEPPETらしさが出やすいかなと思って。ほかの人はあまり手を付けない曲だろうなと思ったし、僕はソロでもカバーさせてもらってたんですよ。あと「GOOD BYE」の原曲でYANA(ZEPPET STORE / Dr)がドラムを叩いてるというのもあって、この流れを大事にしたいなと。

東海林 世ちゃん、以前からトリビュートなさってますもんね。

木村世治

木村 そうですね。一番初めは、hideさんが亡くなって1年後くらいに出たアルバム(布袋寅泰、清春、Corneliusなどが参加した「hide TRIBUTE SPIRITS」/ 1999年)で「FLAME」をカバーさせてもらって。あの曲はhideさんが「ZEPPET STOREに影響されて作った」って公言してくれていたので、すごくやりやすかったんですよね。「FLAME」の原曲もYANAがドラムを叩いてるし。

東海林 ちゃんと意味があるのよね。

──東海林さんと木村さんが出会ったのは、いつ頃なんですか?

木村 ZEPPET STOREのデビューが1996年だから、1996年にはお会いしてると思います。千葉マリンスタジアムにも来ていただいてますよね? ついこの前まで、映画館でやっていたライブなんですけど……。

──ライブドキュメンタリー(「hide ALIVE THE MOVIE -hide Indian Summer Special Limited Edition-」 / 1996年9月、千葉マリンスタジアムで開催されたhideプロデュースによる野外ライブ「LEMONed presents hide Indian Summer Special」の映像を中心にした、ソロ活動の軌跡をたどるドキュメント映画)ですよね。

木村 そうです。メジャーデビューしてから初めて出演するイベントだったんですよ。hideさんと共演するのもあのときが初めてだったし。

東海林 あのライブの形が、hideちゃんのやりたいことだったと思うんですよね。いろんなバンドが出てきたり、ファッションショーがあったり、最後はドッカンドッカン花火が上がって。「こういうスタイルでhideちゃんはやっていくんだな」という第1弾だったんじゃないかな。

V.A「hide TRIBUTE VII -Rock SPIRITS-」/ 2013年12月18日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ / TKCA-74018
V.A「hide TRIBUTE VII -Rock SPIRITS-」ジャケット
収録曲()内はカバーしたアーティスト
  1. ROCKET DIVE(氣志團)
  2. 限界破裂(D'ERLANGER)
  3. FLAME(J)
  4. DICE(筋肉少女帯)
  5. MISERY Remixed by INA(GLAY)
  6. POSE(CUTT)
  7. D.O.D.[DRINK OR DIE](THE CHERRY COKE$)
  8. DOUBT(THE NOVEMBERS)
  9. GOOD BYE(ZEPPET STORE)
  10. EYES LOVE YOU~Ver.2013(森雪之丞 with 今井寿(BUCK-TICK))
  11. ピンク スパイダー(THE PINK SPIDERS [Shame, PATA, CHIROLYN, JOE, INA])
V.A「hide TRIBUTE VI -Female SPIRITS-」/ 2013年12月18日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ / TKCA-74017
V.A「hide TRIBUTE VI -Female SPIRITS-」ジャケット
収録曲()内はカバーしたアーティスト
  1. ROCKET DIVE(AMIAYA)
  2. In Motion(mini)
  3. FLAME(chay)
  4. Beauty & Stupid(分島花音)
  5. HURRY GO ROUND(詩音)
  6. TELL ME(青山テルマ)
  7. MISERY(MAY'S)
  8. GOOD BYE(JAMOSA)
  9. ever free(小柳ゆき)
  10. ピンク スパイダー(倖田來未)
東海林のり子(しょうじのりこ)

大学卒業後の1957年にニッポン放送に入社し、1971年に退社。その後はフリーの芸能レポーターとしてテレビのワイドショーなどを中心に活躍し、レギュラー出演したフジテレビ系「3時のあなた」での「現場の東海林です」という決まり文句で一躍有名になる。その後X JAPANを知ったことをきっかけに、60歳近い年齢にしてヴィジュアル系を中心としたロックバンドの熱烈なファンに。「ヴィジュアルロックの母」の異名を持ち、ロックシーンと深く交流を持つようになる。

ZEPPET STORE(ぜぺっとすとあ)

1989年、木村世治(Vo, G)、五味誠(G)、YANA(Dr)の3人が中心となって結成したロックバンド。1994年に1stアルバム「Swing, Slide, Sandpit」をリリース。このアルバムがhide(X JAPAN)の目に留まり、彼の設立したレーベルLEMONedから1996年に2ndアルバム「716」をリリースした。同時期に中村雄一(B)が加入し、1996年にアルバム「CUE」でメジャーデビュー。1997年には五味が脱退し、翌年春に赤羽根謙二(G)が加入する。その後もライブやリリースなどの活動を精力的に展開するが、2005年に解散。6年後の2011年、東日本大震災を受けて楽曲配信でのチャリティを目的に再結成を果たす。再結成時より初代ギタリストの五味も加わり、5人編成で活動を行う。8月には新曲「SMILE」を配信およびライブ会場限定CDでリリース。2012年5月、hideのメモリアルイベント「hide FILM ALIVE!! ~hide Memorial Day 2012~」にて再結成後初のライブを開催。同年12月に約8年ぶりのオリジナルフルアルバム「SHAPE 5」を発表した。2014年1月には10thアルバムであり、5人編成での2ndアルバムともなる「SPICE」をリリース。3月にはトリプルギター5人編成でのライブツアー「Tour 2014 “GREAT DELIGHT”」の開催が決定している。