音楽ナタリー Power Push - HER NAME IN BLOOD × NOCTURNAL BLOODLUST

ラウドシーンの変遷たどる盟友対談

11月にスタートしたHER NAME IN BLOODの全国ツアーのファイナルシリーズ「HER NAME IN BLOOD "BEAST MODE TOUR 2015 FINAL Series"」が1月に開催される。このファイナルシリーズで彼らは大阪公演にTHE冠、愛知公演にNAMBA69、東京公演にNOCTURNAL BLOODLUSTを迎えてツーマンライブを展開する。

音楽ナタリーでは、ツアーのファイナルシリーズを盛り上げるべく、HNIBのIkepy(Vo)、Makoto(B)と、NOCTURNAL BLOODLUSTの尋(Vo)、Masa(B)の対談を実施。約6年前に出会い、互いに刺激を与え合う2組が、現在の音楽シーンにおける自身の立ち位置や今後の展望を語ってくれた。

取材・文 / 荒金良介 撮影 / 西槇太一

異色メンツと迎えるファイナルシリーズ

──HER NAME IN BLOODは「BEAST MODE TOUR 2015」のファイナルシリーズにあたる東名阪公演でTHE冠、NAMBA69、NOCTURNAL BLOODLUSTを迎えてツーマンライブを行います。まずこの3バンドを招いた理由から聞かせてください。

Ikepy(Vo / HER NAME IN BLOOD)

Ikepy(Vo / HER NAME IN BLOOD) 自分たちにしかできない対バンの組み合わせにしたくて、この3バンドに決めました。大阪公演に冠さんを呼んだのは、今年、冠さんのツアーや「大冠祭」(THE冠の主催ライブイベント)に出演させてもらって、すごく刺激を受けたことがきっかけです。

Makoto(B / HER NAME IN BLOOD) 今年は「大冠祭」を経て、冠さんとの距離感がぐっと近くなったよね。大阪には冠さんのファンが特に多くいるので、改めて冠さんファンの方々に僕らのライブを観てもらいたいなと思って声を掛けました。

──THE冠から受けた刺激というのは?

Ikepy ライブのエンタテインメント性です。

Makoto 僕は冠さんのプロフェッショナルなところですね、真剣に面白いことをやりつつ、締めるところは締めるという。リハを観てる時点からその姿勢に惹かれました。

──では名古屋公演のNAMBA69は?

Makoto 俺が単純にハイスタっ子だからっていうのが一番大きいです。何度かフェスでNAMBA69と一緒にやったことがあって、向こうから「いつかハコでやりたいね」と言ってもらえたので、今回ぜひ出てもらいたいなと。OKをいただけたときはバンドをやり続けてきて本当によかったなと思いました。

──Makotoさんの念願が叶ったと?

Makoto そうですね。やっぱり僕にとってのカリスマなので「呼んでいいものだろうか」って悩んだんですけど、メンバーが背中を押してくれました。

Ikepy うん、絶対に面白い組み合わせだって思いましたからね。

──そして東京公演はノクブラです。

Ikepy ファイナルの東京公演のゲストを誰にしようって話し合ったとき、すぐにノクブラの名前が挙がりました。

──それはなぜですか?

Makoto 今年2月にノクブラのイベントに呼んでもらって、ひさびさに対バンしたらものすごく面白かったんですよ。誘われてから今のノクブラにはどんなファンが多いのかなってライブ映像をチェックしたら「おお、けっこう暴れてるじゃないか!」って。

──しっかりリサーチしたんですね。

Makoto はい(笑)。その結果、自分たちのパフォーマンスはノクブラのファンに受け入れてもらえるんじゃないかと思って。フタを開けてみたら案の定ものすごく盛り上がったので、ツーマンでやったらさらに面白くなるだろうなと思って今回声を掛けました。

ひさびさの競演で感じたこと

──今年2月の競演はひさびさの対バンだったとのことですが、何年ぶりくらい?

Masa(B / NOCTURNAL BLOODLUST) 4年ぶりですかね。

──ノクブラはなぜ2月のライブにHNIBを招いたんですか?

Masa ウチは音楽性としてはHNIBと近いものがあるけど、活動のフィールドが違うので、ファン層がうまく噛み合うか不安だったんです。実は競演できる機会を温めていたんですけど、最近は僕らのライブでモッシュするファンも増えてきたし、やるなら今だろうと思って誘いました。そしたら両方のファンに喜んでもらえたし……最初からブチ上がってましたね。

Makoto 正直ビックリしたよね? 素直に盛り上がってくれて、うれしかった。

Masa 俺らもビックリした。

Ikepy 温めていたとはいえ、もう少しお客さんがポカンとすると思ったんですけどね。「ノクブラとウチでファン層違うんじゃないの?」ってやっぱり思っていたから。

(Vo / NOCTURNAL BLOODLUST) ウチらは準備ができた今、ひさびさにHNIBとやったら、どうなるのかなってワクワクしてました。

──準備というのは?

 自分たちはファンの数をもっと増やしてからHNIBと競演しようと思って活動してたんです。HNIBとウチらの両方のファンがライブを盛り上げてくれたらいいなと思って。

Masa 今のシーンでやるようになってからのウチのお客さんって、まだモッシュピットに慣れてない人が多かったんです。だからほかのジャンルとぶつけても問題なく暴れられるように毎回ライブで煽って、振り付けを一緒にするだけでなく、モッシュも楽しめるようにしていったんですよ。

──それで競演できるタイミングをうかがっていたんですね。

Masa ちょくちょくマコっちゃん(Makoto)には「そろそろ一緒にイベントやらない?」なんてメールで相談してたんですよ。

Makoto そうそう。いろいろやり取りをして、今年やっと対バンが実現できるところまで来たという。

出会って6年、それぞれが歩んできた道

──この2バンドが古くからつながっていたことは、世間的にあまり知られてないと思うのですが、実際の付き合いはいつ頃から?

Masa 出会いは6年前ぐらいですね。新宿にあるANTIKNOCKでライブをやっていた頃です。当時HNIBには僕らのイベントに出てもらってました。

尋(Vo / NOCTURNAL BLOODLUST)

 Ikepyってまだこんなガタイじゃなかったよね?

Makoto もうちょっとみんなさわやかだったかもね(笑)。

Ikepy 当時俺はパーマをかけてちょっとチャラい感じだったし(笑)。

全員 ははははは(笑)。

Makoto お互いに編成も変わったよね?

 そうだね。ずっとHNIBの動向はチェックしてたんですよ。「えっ、メジャー行くの? まじかよ、すげえな」とかって。

Makoto 俺らもノクブラの情報はチェックしてたから知らないところで実はリサーチし合ってたんだね(笑)。「ノクブラ、ワンマンやりまくってるじゃん!」とか。

──直接的な競演はなくても、互いに気になる存在だったと。

Makoto そうですね。ノクブラは単純に楽曲の作りがうまいんですよ。洋楽も好きで聴いてると思うけど、その要素をうまく楽曲に取り入れて、どんどん曲調をハードにして、ファンに免疫を付けさせる。免疫っていうのはモッシュ、サークルピットとかのライブハウスでの楽しみ方ってことね。

Masa そういう準備が整ったのが、今年の初めだった。

HER NAME IN BLOOD "BEAST MODE TOUR 2015 FINAL Series"
2016年1月16日(土)大阪府 心斎橋CLUB DROP
<出演者> HER NAME IN BLOOD / THE冠
2016年1月17日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
<出演者> HER NAME IN BLOOD / NAMBA69
2016年1月23日(土)東京都 LIQUIDROOM
<出演者> HER NAME IN BLOOD / NOCTURNAL BLOODLUST
HER NAME IN BLOOD(ハーネイムインブラッド)
HER NAME IN BLOOD

Ikepy(Vo)、Daiki(G)、TJ(G)、Makoto(B)、Umebo(Dr)からなるメタルコア / ラウドロックバンド。2008年から活動を開始し、BEFORE MY LIFE FAILSとスプリットCDをリリース。同年開催された「Taste Of Chaos 2008 in Japan」への出演を経て、全国各地でライブ活動を展開していく。2010年に1stフルアルバム「DECADENCE」を発表。以降、数多くの海外アーティストの来日公演でサポートを務めるほか、「SCREAM OUT FEST」など大型イベントにも出演した。2013年末から2014年初頭にかけては、中国でのフェス出演を含むアジアツアーを実施。2014年4月にフルアルバムとしては約4年ぶりとなる「HER NAME IN BLOOD」をリリースし、同年5~9月に全国ツアー「RETURN OF THE BEAST TOUR 2014」を行った。2015年6月にWarner Music Japanよりメジャーデビューすることを発表し、9月にミニアルバム「BEAST MODE」をリリースした。10月にはデビュー作のレコ発ツアーをスタートさせたほか、アメリカで行われたSlipknot主催のライブイベント「KNOTFEST 2015」に出演し、Judas Priest、Korn、Mastodonらと競演。11月にはオジー・オズボーン主催によるライブイベント「Ozzfest Japan 2015」に参加した。2016年1月にレコ発ツアーのファイナルシリーズとしてTHE冠、NAMBA69、NOCTURNAL BLOODLUSTをゲストに迎えた東名阪公演を行う。

NOCTURNAL BLOODLUST
(ノクターナルブラッドラスト)
NOCTURNAL BLOODLUST

尋(Vo)、Daichi(G)、Cazqui(G)、Masa(B)、Natsu(Dr)からなる5人組バンド。2009年9月に結成し、メタルコア、ラウドロックなどをベースにさまざまな音楽的要素を織り交ぜた“エクストリーム”と称したジャンルを提唱して活動中。2013年からヴィジュアル系へとフィールドを広げ、同年5月に1stフルアルバム「GRIMOIRE」を発表した。その後もリリースを重ねつつ、全国各地で精力的なライブ活動を行っている。2014年3~5月にシングル3作品を連続リリースし、それぞれがオリコンの週間インディーズチャートでトップ10内にランクインするという結果を残した。12月には2ndアルバム「THE OMNIGOD」を発表した。そして2015年2月にギルガメッシュ、BULL ZEICHEN 88、HER NAME IN BLOODをゲストに迎えた自主企画「TERRANIGMA」を開催して盛況を収めた。6月には6thシングル「PROVIDENCE」を発売し、東京・赤坂BLITZにてワンマンライブ「銃創」を行った。2016年5月22日には東京・EX THEATER ROPPONGIにて東名阪ワンマンツアー「VANADIS」 のツアーファイナルを開催する。