音楽ナタリー Power Push - 田中和将(GRAPEVINE)×斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)

先輩後輩トークで浮かび上がる意外な共通項

GRAPEVINEがニューアルバム「BABEL,BABEL」をリリースした。

音楽ナタリーでは、バンドのフロントマンである田中和将(Vo, G)と、GRAPEVINE好きを公言していて3月には田中とのツーマンライブを行う斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN / Vo, G)との対談を企画。世代を越えて親交を深めている2人は、アルバム「BABEL,BABEL」の聴きどころやツーマンライブの構想を存分に語ってくれた。またライブ前に行っている慣習、バンドを続ける秘訣など、多岐にわたる内容のトークが繰り広げられた。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 入江達也

意識しすぎて、逆に近づけなかった

──今回はGRAPEVINEのアルバム「BABEL,BABEL」の発売を記念した特集ですが、対談相手として3月に東京・日本橋三井ホールで実施されるライブイベントで田中さんと共演する斎藤さんにお越しいただきました(参照:ユニゾン斎藤宏介&バイン田中和将、三井ホールでツーマン)。このライブは斎藤さんが声をかけて実現したものなんですよね?

左から田中和将、斎藤宏介。

斎藤宏介 はい。僕がずっと前から「GRAPEVINEが好きだ」って公言してきたこともあって。恐れ多くも声をかけさせていただきました。

田中和将 こちらこそ、恐縮でございます。

──斎藤さんがGRAPEVINEを知ったのはいつ頃ですか?

斎藤 ずっと前からバンドの存在は知っていたんですけど、本当に好きになったのは大学生の頃ですね。大学で軽音サークルに入ってバンドを組んでから、自分が演奏をする側に立っていろんな音楽を聴くようになったんです。そのときCDショップで「BREAKTHROUGH」(2004年3月発売のシングル曲)が流れてるのを聴いて、「めっちゃカッコいい」と思って。そこからハマっていきました。

──お2人は今回が初対面ではないと聞いてますが、最初に会ったのは何がきっかけで?

田中 確か片平実が主催するイベント(2009年2月開催の「Getting Better~13th Anniversary Party~”festival”」)ですね。UNISON SQUARE GARDENとTHE BAWDIESがいて、僕がソロで出るっていうイベントだったんですけど、僕はそのときすごい酔っぱらってて、あんまり覚えてないんです(笑)。

斎藤 僕は意識しすぎてしまって、逆に田中さんに近づけなかったのを覚えています。憧れの人に近づけないっていう気持ちがあって。

田中 それ、すごくわかる。似たような経験をしたことがあるから。

斎藤 田中さんもそうなんですね。なんだか自分から「好きだ」ってアピールするのが苦手なんですよ。僕は憧れの人に「かわいがられたい」と思うようなタイプでもないですから。

田中 ふふふ(笑)。

演奏と歌詞の結び付きが強い

──酔っていたとはいえ、ユニゾンのステージを観て田中さんはどういう感想を持ちましたか?

田中 三者三様、みんな演奏がすごい上手だなと思いました。

斎藤 恐縮です。ありがとうございます。

田中和将

田中 ドラムもベースもすごいんですけど、斎藤くんは歌いながらよくあんなフレーズが弾けるなって思ってる。毎日練習してるの? クラシックの人みたいに1日6時間とか。

斎藤 練習熱心な方々に比べたら、そんなに練習しているほうではないと思います。それに僕はもともとボーカル志望だったこともあって、ギターの演奏はけっこう必死なんです。バンドを結成したときにギタリストを入れたかったけど、いい人がいなくて……。

田中 いつの間にか3ピースで成立してしまったと。なるほどね。

斎藤 仕方ないから弾く、というところからスタートしてますから。曲を作っているときにいいギターフレーズが思い浮かんでしまって、「どうしよう、これをなんとか歌いながら弾かなきゃ」みたいな(笑)。

──もともとギタリスト志望だった田中さんとは逆ですよね。

田中 そうですね。僕はもともとギタリストで、あとから歌うようになりましたから。スタート地点は真逆だったわけですね。

──学生時代にGRAPEVINEの音楽にハマって、斎藤さんはどういう影響を受けたと自覚していますか?

斎藤 田中さんの歌って、歌い方と歌詞の結び付きが強いというか。それでいてバンドの演奏と一体になっているんですよね。言葉の選び方だったり、歌い方1つひとつに意図があって、演奏まで含めてストーリーとして1つの曲になっている。そういう面でかなり影響を受けてきてるんじゃないかな、と自分では思ってます。

ユニゾン好きに田中さんを観てほしい

──今作「BABEL,BABEL」のラストナンバー「TOKAKU」の歌詞には「若者はわからん」とありますが、若い世代のバンドとの共演や交流は、田中さんにとってどういうものですか?

田中 そういえばそんなことを歌詞にしてましたね(笑)。単純に世代的な違いがあるからだと思うんですけど、我々にないものを皆さん持ってらっしゃるので、いい刺激になりますね。皆さんそれぞれ経験も違いますし、同じものを聴いていても注目するところが違ったりして、「ああ、そういうふうに聴いてるんだな」と思うこともよくあります。

斎藤 感性の違いみたいなものを感じられてしまうことが、僕は少し悔しいんです。3月に開催する田中さんと2人のライブは、自分が田中さんと何か一緒にやりたいという思いと、UNISON SQUARE GARDENのことが好きな人に田中さんのライブを観てほしいっていう思いがあって。僕らのファンが田中さんの歌を聴いたときにどう思うのか、それを知りたい気持ちもあるんですよね。

田中 みんないろいろ聴けばいいのに、いろいろ知ればいいのに、と思うことはしばしばありますからね。3月のライブのような機会を持たせていただくことは僕からしてもありがたいです。

GRAPEVINE ニューアルバム「BABEL,BABEL」2016年2月3日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] 4320円 / VIZL-925
通常盤 [CD] 3240円 / VICL-64502
CD収録曲
  1. EAST OF THE SUN
  2. Golden Dawn
  3. SPF
  4. Heavenly
  5. BABEL
  6. EVIL EYE
  7. Faithful
  8. Scarlet A
  9. HESO
  10. UNOMI
  11. TOKAKU
初回限定盤DVD収録内容
  • EAST OF THE SUN music video
  • EVIL EYE music video
  • VIDEOVINE vol.4 ~BEERVINE SPECIAL~
ライブ情報
SK's Session

2016年3月18日(金)東京都 日本橋三井ホール
OPEN 18:30 / START 19:00
<出演者>
斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)/ 田中和将(GRAPEVINE)
チケット:指定席 3900円(ドリンク代別途要)
※後方立見席 3600円(ドリンク代別途要)の追加発売も決定!

チケット一般発売日:2016年2月20日(土)
チケットぴあ [Pコード:286-492] / ローソン [Lコード:70701] / イープラス

GRAPEVINE(グレイプバイン)
GRAPEVINE

田中和将(Vo, G)、西川弘剛(G)、亀井亨(Dr)の3人からなるロックバンド。1993年に元メンバーの西原誠(B)を含めた4人で結成。1997年にミニアルバム「覚醒」でデビューし、1999年リリースの3rdシングル「スロウ」が大ヒットを記録する。2002年に西原がジストニアのため脱退して以降は、高野勲(Key, G)、金戸覚(B)をサポートメンバーに加えた5人編成で活動を続けている。2010年にはギタリスト / プロデューサーの長田進と「長田進 with GRAPEVINE」名義でアルバム「MALPASO」を制作。2012年にメジャーデビュー15周年を迎え、9月に初のベストアルバム「Best of GRAPEVINE 1997-2012」を発表した。2014年11月にビクターエンタテインメント内のSPEEDSTAR RECORDSへ移籍し、2015年1月に移籍第1弾シングル「Empty song」収録曲を含むアルバム「Burning tree」をリリース。また2016年2月には高野寛をプロデューサーに迎えて制作されたシングル曲「EAST OF THE SUN」「UNOMI」などを含むニューアルバム「BABEL,BABEL」を発表した。

UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)
UNISON SQUARE GARDEN

斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)からなる3ピースロックバンド。2004年7月に結成され、都内を中心に活動を開始する。2006年8月に1stミニアルバム「新世界ノート」をリリースし、ライブハウスおよび下北沢ハイラインレコーズのみの販売で1000枚を完売。2007年にはメンバー主催のイベントをスタートさせ、同年12月には初の単独ライブを成功させる。2008年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。アニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマとして制作した2011年5月リリースのシングル「オリオンをなぞる」で広く注目を集める。さらに2012年9月には映画「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」の主題歌「リニアブルーを聴きながら」を手がけ、続く2014年にも「劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-」に主題歌「harmonized finale」を書き下ろした。2015年5月にアニメ「血界戦線」のエンディングテーマ「シュガーソングとビターステップ」をシングルリリース。同年7月にはバンド結成10周年を記念したアルバム「DUGOUT ACCIDENT」を発表した。2016年1月、バンド史上初の東京・日本武道館でのワンマンライブの模様を収めたライブDVD「UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL "fun time 724" at Nippon Budokan 2015.7.24」をリリースした。