最初は心実ちゃんの曲ではなかった

──CDの2曲目に収録されている「Believe Myself」は、佐藤さんが演じる椎名心実が歌うキャラソンです。作詞を利根川さん、作曲・アレンジを北川さんが手がけていますが、これはどのように制作されたのでしょう？

利根川　これ、ぶっちゃけると最初は心実ちゃんの曲ではなかったんですよ。でも北川くんが作ってくれた曲があまりにもよかったから、メインキャラクターである心実ちゃんに歌ってもらおうっていうことになって。

佐藤　えー、そうなんですか！ うれしい！ ありがとうございます！

北川　僕としては作品の世界観を聞いたうえで、ハッピーで楽しく、かわいいイメージで書いたんですよ。それで「あとはお願いします！」みたいな感じでお渡しして。それがね、メインキャラクターに歌ってもらえることになるとは（笑）。

利根川　そこはもう曲のパワーだよね。北川くんのデモから、より心実ちゃんのキャラクターに寄せていくためにいろいろブラッシュアップしつつ、僕は歌詞を書いていった感じですね。

佐藤　デモをいただいた段階からすごくいい曲だなって思っていたし、なんて心実ちゃんにピッタリな曲なんだろうって感動していたんで、そんな裏話があったとはビックリです（笑）。この曲はキャラクターソングとして気持ちよく歌えました。歌っていると心実ちゃんの顔や聖櫻学園（「ガールフレンド（仮）」の舞台となる学校）の風景が浮かんでくる感じで。

利根川　あ、そう言ってもらえるとうれしいですね。歌詞はもうリサーチにリサーチを重ねて書きましたから。心実ちゃんについていろいろ検索、検索って（笑）。

北川　歌詞に「メロンパン」って出てくるんですけど、これは現場で考えたところなんだよね。

利根川　そうそう。「誘惑のメロンパン」のところは最初、「タルト」だったんですよ。でも、もっとキャラクターに寄せたフレーズにしようっていうことになり、僕としては果物にしようかなって思ったりしていたんだけど、北川くんのひと言でメロンパンになったっていう。

北川　うん。「心実ちゃんは何が好きなの？ メロンパン？ じゃそれでいいじゃん」みたいな（笑）。

佐藤　すごい！ そうだったんですか！

利根川　結果的に譜割りがちょっと面白い感じにはなったんだけど、そこが逆にいいフックになったんですよね。そういう意味では、ラストの「でしょうか？」っていう歌詞も同じように変わったところで。最初は「○○かしら」みたいな感じだったんだけど、心実ちゃんは両親にも敬語をつかうような真面目な子なので丁寧語がいいですねっていうことになり。そこでも北川くんがアイデアをくれて。

北川　曲の中でいろいろ決意とか前向きなことを歌ってるんだけど、最後に「でしょうか？」って言うのがいいんじゃないかなって提案したんです。

──あははは（笑）。最後に疑問で終わるっていう。

利根川　そうそう。ズコッ！みたいな感じはあるけど（笑）、それが心実ちゃんっぽいし、いいんじゃないかなって。

佐藤　あそこはレコーディングでも何度も録りましたよね。けっこう溜めてから言うので、タイミングがなかなか難しくて。でも、すごくいいポイントになってると思います。「メロンパン」も含めて（笑）。

キャラクターのことをじっくり考えながら

──関係者が一丸となって心実ちゃんのキャラクターを楽曲で表現し尽くそうとしているのが素敵ですよね。

佐藤　本当にそうですよね。歌に関してもキャラクターを大事にディレクションしていただけたので、歌っていてすごく楽しかったです。この曲は自分でもたまに聴いたりするんですけど、聴き手としてキャラクターのことを想像する余白をいい意味で残してくれているのがすごく心地いいんですよ。「体育館」っていう歌詞が出てくると、「あ、新体操の練習に行くのかな」とか想像できるし。私はキャラクターのことをじっくり考えながら聴けるキャラソンが大好きなので、本当に素晴らしい曲をいただけたなって思ってます。

──レコーディングも和やかに楽しく行われたようですね。

佐藤　はい。現場にはお二人にも来ていただいて楽しい空気の中で変に緊張することもなく。でも詰めるところはしっかり詰めてレコーディングすることができました。スムーズでしたよね？

北川　うん。わりと早く終わったんで、そのあとにけっこう雑談をしました。「へえ楽器をやってるんだ」とか、いろいろ話しましたね。レコーディングより雑談のほうが長かったくらいで。

利根川　そのときが初めましてだったからね、うちのスタジオにあるソファにどっぷり座っていただいて若干質問攻めみたいな感じでしたけど（笑）。

佐藤　あははは（笑）。お菓子とか食べながら。

利根川　歌のディレクションに関しても、佐藤さん自身が和やかな心実ちゃんそのまんまだったから、声を聞いた瞬間に「ありがとうございます！」みたいな感じだったし（笑）。

北川　相談しながらではあったけど、歌ってくれたものに対して「あ、いいねいいね！」みたいな、ほぼそんな感じでしたね。