ナタリー PowerPush - GENERAL HEAD MOUNTAIN

喜怒哀楽を詰め込んだ“全裸のアルバム”堂々完成

花のことなんて考えたこともなかった

──個人的な感想としては、GENERAL HEAD MOUNTAINらしい尖った魅力だけじゃなく、喜怒哀楽で言ったら喜や楽みたいなところも表れてきたアルバムだと思いました。

「あったかいアルバムだなあ」って言われます。で、「ああ体温があるんだ。よかった」って思って。

──“あたたかさ”って今までのジェネラルからしたら、ちょっと意外な感想ですよね。

ツーンってしてましたからね(笑)。そういう部分もどっかしらに詰め込んではいたんですけど、刹那的な要素が強かったから、見えてなかったんだろうなって。だから今とバランスが逆だったんですよね。

──あの、さっき言ってた「自分の中に花が咲いた」って、どういう感覚でした?

んー、作りきったっていう、単純な感覚なんですけど。

──花って松尾さんにとってどんなものですか?

その瞬間のピーク、一番きれいな状態っていう。……(急に)あー、そうか。わかりました。次何作ろうかって。今、思いついたっすね(笑)。

──どんなイメージか教えてもらえますか?

いや、次のジャケでこの花が散ってたらヤバいなって。「何があったんだろう?」 って思うでしょ? その上で何を作り込むかっていう。それだな、よっしゃ!(笑)

──(笑)今まで、自分の中で花が咲いた感覚を感じたことってありましたか?

音楽をやってて今回が初めてです。花のことなんて考えたこともなかったです。曲中で女性を表現するときには花とか使ってましたけど、ただの野に咲く花みたいなのは初めてです。だから事件ですね。これで次のステップに行けるなって思ってます。足りないものに気付けたから。

──足りないものに目を向けたことは大きいですよね。その現実に蓋をするんじゃなく。

そうですね。だから今、知らないものにすごく興味があるんですよ。筒井さんにも「お前はカンボジアに行って、生きるとは何ぞやってことを見てこい」って言われてて。「ああ確かにな」って思うんですよね。単純に知らないことが多すぎるなって。だから次のアルバムまでに行きたいんですよね。

──そういうことを考えたことも、今までは……。

なかったです。不自由してないし、生きていく上で。

──じゃあ知らないことが多すぎると気付いた今は焦ってるんじゃないですか?

ちょっと焦ってます。今までは頭の中だけで成立してたからわからなかったんですけど、一回視野を広げたら気になるものがいっぱいあった。「なんだよ、やらなきゃよかった」くらいに(苦笑)。でも「見なきゃ」って思ってます。何もできないんですけどまずは知ることだなって。それには今が一番いいタイミングだったかもしれないです。メジャーに来たおかげで、作ってからすぐに世の中に出せるから。このアルバムもマスタリング終わったの11月だし。インディーズは曲作ってからレコーディングまで長かったりしたけど、これは全部今年作った曲だから。

──じゃあそれだけ今の生々しい気持ちが詰まってると。

そうです。

ライブでは曲が暴れ出すんじゃないですかね

──このジャケットの絵も、マスタリングを終えてから音を送って描いてもらったんですか?

マスタリング直前にどういうジャケにしようか話してて。で、マスタリングが終わったらすぐに筒井さんに音を送って。青い花ってのもいいんですよね。筒井さんが最近「俺は白を探しに行くよ」って北極に行ってて。北極は太陽が高く昇らないから、白がなくてずっと青なんですって。そこで地球のてっぺんには青があるのかって思ったんですよね。写真見せてもらったら、すごくきれいで。最初アルバムには深緑色のイメージがあったんですけど、そのときに「青がいい」と思って。これは筒井さんが北極から帰ってきてすぐに描いた絵だから、北極の、地球の一番上の青が詰まってると思います。世界で一番きれいな青で描いてくれてるんじゃないですかね。また、この白いところもいいんですよね。何かを思い出させるような。多分これ、花を何回も上から描いたんでしょうね。で、最後に白を塗ったんですよ。だから後ろに花が隠れてるんですよね。

──これだけ美しい絵を描いてくれたということは、このアルバムが美しい世界観を持っていることを汲み取ってくれたんでしょうね。

多分、思ってくれたんですかね。

──ご自身でも、このアルバムで美しい世界観が描けたと思います?

思います。なんか……あったかいものが作れたのが一番良かったなって。

──で、さっきも仰ってましたけど、2010年はライブもいっぱいやっていくと。

そうですね。ひさしぶりに長いツアーに出ます。今年はツアー出ても10本とかしかライブをやらなかったんで、ひさしぶりに何10本ってやります。

──初日とラストで楽曲の表情が変化しそうな気もしますね。

いやあ、これは変わるでしょう! どの曲が一番変わるかなあ……。「深まる日々に、微笑みを。」は変わるでしょうね。あとはちょいちょい暴れ出すんじゃないですかね(笑)。

GENERAL HEAD MOUNTAIN ライブ写真

ニューアルバム『深まる日々に、微笑みを。』 / 2010年1月20日発売 / 2625円(税込) / コロムビアミュージックエンターテインメント / COCP-36009

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CD収録曲
  1. 花にカルテット
  2. 眩暈
  3. 感染
  4. 合鍵
  5. 感情線
  6. 逆鱗
  7. 深まる日々に、微笑みを。
GENERAL HEAD MOUNTAIN
(じぇねらるへっどまうんてん)

2000年1月、松尾昭彦(Vo,B)を中心に宮崎で結成。2003年5月に現メンバーであるオカダコウキ(G)、海太(Dr)が加入する。2005年にインディーズレーベルより初音源「追憶の唄々」をリリース。その後もリリースを重ね、2008年に1stフルアルバム「月かなしブルー」を発表。椎名林檎「罪と罰」カバーの収録や、マンガ家の魚喃キリコがジャケットを手がけたことなどで話題を集める。その後、コロムビアミュージックエンタテインメントと契約し、2009年11月シングル「羽」でメジャーデビュー。