ナタリー PowerPush - ゲスの極み乙女。 / indigo la End

川谷絵音、その人物像と2バンドについて

片や高い演奏技術と際立ったキャラクターを持ち“ヒップホップ・プログレバンド”と称されるゲスの極み乙女。、片や圧倒的に心に響くメロディを洗練されたギターロックに昇華しているindigo la End。一見両極端な2バンドのボーカル&ギターとして作詞作曲を手がけるのが川谷絵音(かわたにえのん)だ。このたび「みんなノーマル」(ゲスの極み乙女。)、「あの街レコード」(indigo la End)の同時リリースでメジャーシーンに打って出る彼ら。その中心にいる川谷絵音とはどんな人物なのか? じっくり話を聞いてみた。

取材・文 / 石角友香

 
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きっかけはゆらゆら帝国とRadiohead

──川谷絵音という人がどんなバックボーンを持っているのかお聞きしたいんですが、大学生の頃、お笑い芸人になりたかったというのはホントなんですか?

川谷絵音

音楽よりお笑いが好きだったんです。もともと笑い飯が好きで、いろんなバラエティ番組を夜中の3時までずっと観て、で、寝て起きたら昼の3時って生活を繰り返してて。僕、大学が理系で、特に大学4年で研究室に通い始めると、生活を自分で決められたんですよね。

──研究室に通う生活ってどんな感じなんですか?

大変ですよ。論文書かないといけないし、研究成果もそれなりに出さないといけないんで。それでバンドと両立できないから途中で辞めたんですけど。そもそも大学院のあの環境にずっと居続けることができる人って、どっか神経がおかしいというか、教授になるような人は頭のネジが2、3個外れてる感じじゃないかなと。

──お笑いをやりたいっていうモチベーションはどこから?

テレビ観てて「こうなりたい」みたいなのがあったんで。音楽は聴くのは好きだったんですけど、自分がこうなりたいっていう気持ちはお笑いよりは強くなかったです。大学で軽音部に入ってコピーバンドを始めたんですけど、結局、コピーでしかなかったんで、それ以上でもそれ以下でもなくて。オリジナルを作り始めるまでは、音楽は絶対的な“聴くもの”でしかなかったですね。

──自分で曲を作る動機になった音楽ってなんですか?

そうですね……。ずっとJ-POPを聴いてて、オリコンの1位から10位まで聴くような感じで。で、軽音部に入ってからバンドものを聴くようになって、ゆらゆら帝国をすごい好きになって、それが自分のバンドをやろうっていう意味で最初の音楽体験になりましたね。

──ゆらゆら帝国の何にピンと来たんですか?

最初、「タコ物語」って曲を聴いたんですけど、ホントに気持ち悪くて、歌詞も全然意味わかんなかったんですけど、だんだんそれにハマっていったというか。何考えてるのかわかんない歌詞、歌詞の置き方とか、最初は歌詞が好きになって。それから解散までそんなに時間がなかったんですけど、7回ぐらいライブを観て、坂本慎太郎という人間に興味を引かれて、どっぷりハマっていったんですね。

──坂本さんは、色気があるけど感情が入ってないような声ですよね。

ホントそうですね。それがいいんですよね。

──ほかにも聴く側からやる側に意識が向いた音楽というと?

いろいろありすぎるんですけど、Radioheadとかもやるきっかけになったバンドではありますね。最初に「Paranoid Android」って曲を聴いて、それも気持ち悪くて意味わかんなかったんですけど、それはゆらゆら帝国のときもおんなじだったんです。初めはちょっと意味わかんないぐらいのほうがよくて、そういうのは最初のバンドの曲にも現れてる。ゲス(の極み乙女。)なんかは特にその影響が図らずもあるなと思うし。その2組はデカいですね。

バンドを辞めることもできたけど続けた自分がいた

──最初に作詞作曲したときはどんな状況だったんですか?

さかのぼると、高校のとき、鼻歌で作ってたらまるでEXILEみたいな……全部EXILEの曲にあるようなメロディになったんです。

──え? なんでですか?

僕、最初に買ったCDがEXILEの「EXILE ENTERTAINMENT」で、その中の曲ばっか聴いてたせいか、それと同じメロディしか作れなかったんで、作るのやめました。

──それで「もっと違うタイプの曲を作ってみよう」とはならなかった?

なんないですね。鼻歌をただICレコーダーに録ってただけで、音楽をやってる感覚もなかったので、とりあえずそれからICレコーダーにあんまり歌を入れなくなっただけで、音楽は普通に聴いていたというか。

──それ以降、曲を作るようになったのは大学でバンドを始めてからですか?

indigo la End

そうですね。先輩にバンドに誘われる前に大学の軽音部にいて、軽音部以外でやるのを外バンって言うんですけど、その外バンで1曲だけ作ったのが、初めてバンドで作った曲で。時系列的にはそんなに前じゃないんで、わりとそれはindigoに直結してるというか。むしろ曲作ってたから先輩に誘われたのかな。

──そこで、お笑いより音楽をやろうと思えたわけですか。

お笑いより音楽ってなっていったわけじゃなくて、ただ僕はバンドに無理やり誘われて、そこから音楽をやるようになって。自分ができることが音楽だったんで、もう、やるしかないし。

──当時は受け身だったんですね。

最初は完全に受け身でしたね、先輩にやらされてたんで。でも、僕以外の曲作れる人が辞めちゃって、結局僕がやらないといけなくなって。そこで辞めることもできたんですけど、わざわざそこで続けた自分がいたんで、やっぱ音楽やりたかったんだろうなって思います。

──ちなみに、自分の音楽のオリジナリティについてはどう思いますか?

バンドを始めた頃は特になかったと思うんで、おのずと付いていったんだと思います。というか、オリジナリティって言葉もそんなにピンと来ないんですよね。僕がやってるものだから僕の音楽だし、そこに「オリジナリティがありますね」って言われても「よくわかんないな」と思いますね。

ゲスの極み乙女。メジャーデビューミニアルバム「みんなノーマル」/ 2014年4月2日発売 / unBORDE / WPCL-11747
[CD] 1620円 / WPCL-11747
収録曲
  1. パラレルスペック
  2. サカナの心
  3. 市民野郎
  4. ノーマルアタマ
  5. song3
  6. ユレルカレル
indigo la Endメジャーデビューミニアルバム「あの街レコード」/ 2014年4月2日発売 / unBORDE / WPCL-11748
[CD] 1620円 / WPCL-11748
収録曲
  1. 夜明けの街でサヨナラを
  2. 名もなきハッピーエンド
  3. billion billion
  4. あの街の帰り道
  5. 染まるまで
  6. ダビングシーン
  7. mudai
  8. アリスは突然に
ゲスの極み乙女。(げすのきわみおとめ)
ゲスの極み乙女。

川谷絵音(Vo, G, Syn)、休日課長(B)、ちゃんMARI(Key) / ほな・いこか(Dr)による4人組ヒップホッププログレバンド。2012年5月に川谷を中心に結成。2013年3月に1stミニアルバム「ドレスの脱ぎ方」、同年12月にリリースした2ndミニアルバム「踊れないなら、ゲスになってしまえよ」を発表し、プログレ、ヒップホップを基調とした独自のポップなメロディが高い評価を得る。2014年4月、unBORDEよりメジャーデビューミニアルバム「みんなノーマル」をリリースし、6月から7月にかけてワンマンツアー「ゲスにノーマル」を開催する。

indigo la End(いんでぃごらえんど)
indigo la End

川谷絵音(Vo, G)、長田カーティス(G)、オオタユウスケ(Dr)からなるロックバンド。2010年2月より活動を開始。2012年4月に、スペースシャワーミュージックが設立した新レーベル・eninalの第1弾アーティストとして1stミニアルバム「さようなら、素晴らしい世界」でデビュー。2013年5月には初のワンマンツアーを東名阪で開催する。2014年4月、約1年2カ月ぶりの新作「あの街レコード」でunBORDEよりメジャーデビュー。川谷の歌を中心に広々としたサウンドをポップに奏でている。

※アーティスト写真右端はサポートメンバーの後鳥亮介(B)。