「そんなん気にしてられんっ！」（震え声で）

──ツーピースバンドになってから、音楽に向かう最大のモチベーションはなんだったと思いますか？

福岡　それは時間が経って変わっていったかな。最初のほうは葛藤もありました。反対されて悔しい思いもしたし。

──反対って？

福岡　私がドラムを叩くことやツーピースになること自体に反対した人もいたし。近いスタッフは理解があったから最初から応援してくれていましたけど、ちょっと離れた場所にいる人からはそういうことを言われたりもしましたね。それもバンドのことを心配してくれてのことだし、今は感謝もしているんですけど。最初はやっぱりそういう言葉に惑わされる部分もあったし、単純に悔しかった。でも、だんだんネガティブな感情は沈下していって。それよりも反対した人たちにも曲を聴いてもらって「良かったね」って言われたいと思いました。

──ポジティブなマインドに寄せていけたのも2人の強さだと思う。

福岡　最初は絵莉子にめっちゃ相談しましたけどね。私が「こんなこと言われた」って言ったら、（橋本の震えた声色をマネしながら）「そんなん気にしてられんっ！」って（笑）。

一同　（笑）。

──声、震えてるじゃんっていう（笑）。

福岡　そう。絵莉子も動揺してるやんって（笑）。

橋本　してない、してない！（笑） ホンマにいけると思ってましたよ！ リーダーとしてしっかりせなあかんと思ってましたから！

あっこちゃんは妊婦やと思ってるから

──橋本さんのモチベーションはなんでしたか？

橋本　やっぱり私はあっこちゃんがドラムをやるって言ってくれたときのワクワク感かなあ。その後いろいろあったけど、「だって、めっちゃワクワクしたもん！」っていう理由で全てを乗り越えられた気がします。

──震えながらも。

橋本　震えてはいません！（笑） 堂々としてました！

福岡　クミコン（高橋久美子）が脱退するってなったときは、一瞬本気でバイトを探してましたけど。「コンビニしかやったことないんだけど！」って（笑）。でも、ツーピースでいくって決まってからは、ホントに堂々としてたよね。

橋本　うん！

──頼もしかった？

福岡　「私は、あっこちゃんは妊婦やと思ってるから！ 私はお父さんになる！」って言ってましたね。

──それはどういう意味ですか？

福岡　妊婦は子供を産むことだけに集中すればよくて、周りにどんなことを言われてもストレスに感じたらいけないと。

──おおっ。いい言葉ですね。

橋本　いいこと言ってるでしょ？

──ここでドヤ顔！（笑）

橋本　ドヤ！（笑） あっこちゃんが誰よりもデリケートな存在だと思ったから。ドラムを練習するのも、レコーディングやライブで叩くのもあっこちゃんだから。私が支えなきゃって。絶対いけると思ったし。

──このアルバムが完成するまでに、改めてお互いの存在を深く理解したと思うんですけど、どうですか？

福岡　この人と一緒にいると、いつもビックリするんですよね。こう見えてすごく考えてる人ですから。私が何かに対して「これってこうじゃない？」って言ったら、「うん、ずっと前からそう思ってたよ」って言われることが結構あるんですよ。その度に「前からそんなこと考えてたんだ！」って思うんです。私が考えるようなことは、絵莉子は既に通ってるみたいな。自分のことはよくわかってない人なんですけど、音楽のことだったり、周りの人のことはよく見ているんですよね。私はそんな絵莉子の書く歌に付いていってるだけですから。常にその歌をどうにかしたいと思うし。それはずっと変わらないですね。

──橋本さんはどうですか？

橋本　あっこちゃんはホンマに行動力がすごいんです。私の倍はいろんなことを感じたり、動いたり、見ているような気がしますね。あと、今回の制作を通して、改めてホンマに音楽が好きな人なんやって思いましたね。