ベルハーが売れても悔しくない

──初期メンバーが一気に2人もいなくなると、今のベルハーとはだいぶかわりそうですよね。

美月　新しいベルハーが始まるなら、それはそれでいいかなって思います。

──今までの形をあまり意識する必要もないと？

美月　うん。新しくどんどん進化していくのがいいかなって。

──「ベルハーとはこうあるべき」みたいなものもない？

美月　全然ないですね。「自分が辞めてからベルハーが売れたら悔しくない？」とか言われたりしますけど、それもあんまり思わなくて。売れたら売れたでそのときのメンバーががんばったから売れたわけで。

──自分たちとしてはほかにやりたいことを見つけてそっちでがんばっていくと？

美月　私はもともとミュージカルをやりたくて。だから大学に受かってからはそっち系を本格的に勉強していきたいと思ってます。

仲野　「セーラームーン」のミュージカルだっけ？

美月　そうそう。それを観て芸能界に入ったんです。なので私の原点としてはアイドルではなくてミュージカルなんですよ。だからなんでアイドル始めたのかわかんない（笑）。疑問に思いながらもここまで来てしまいました。

──長かったですね（笑）。

美月　なぜか辞めようと思うたびにお母さんに「ベルハー、いけるんじゃない？」って背中押され続けて（笑）。お母さんは私が小さい頃からずっと芸能活動を応援してくれていて、私以上にベルハーに対する思い入れもなぜか強くて（笑）。

──お母さんに対する思いみたいなものもあるとは思いますけど、残ったメンバーに対しては何かありますか？

仲野　うーん、わかんない。「がんばって」って感じかな。私もベルハーがこのあと売れても悔しいとかはないと思う。むしろ「私、ベルハーにいたんだぜ！」みたいな。私は私だし、みんなはみんなだから本当にどう思っていいのかわからなくて。

──売れて「ミュージックステーション」とかに出ちゃっても何も思わない？

仲野　「田中さんに裏でなんか言われてるんだろうな」って思うかも（笑）。そんな感じ。そういう目線でしか見れないと思う。

──朝倉さんに対して思うことってあります？

仲野　同じです。がんばってくださいってことだけ。

美月　うん。

私も辞めるって言えない空気になった

──メンバーに辞めるって言ったのはいつですか？

美月　12月6日のレッスンの日ですね。私が午前中のレッスンで最初に切り出して、そのときは1月に辞めますって言ったんです。みんな泣いてました。

仲野　そんな発表があるとは思わなかったから、私は超複雑だったんですよ。もう辞めるって決めてたし、ギリギリまで言わないつもりだったし。私の中ではもう辞める直前でブログで発表して終わるっていうストーリーができあがってたのに「このタイミングで？ え、私も辞めるって言えない空気じゃん。どうしよう」って思って田中さんに「なんで教えてくれなかったの！」って静かに詰め寄りました。

美月　そうだったんだ（笑）。

仲野　それで頭の中では超パニックになって。「そうか……辞めるんだ。しかも2人辞めるんだ」って思って悲しくなって。

──この時点で2人辞めることを知ってるのは田中さんと仲野さんだけで？

仲野　それがそのタイミングだとみずほにだけは言ってて。だからみずほが「2人辞める……」って言ってきたんです。それで私もどうしたらいいかわかんなくなっちゃて田中さんに「え、どうするんですか？ どうするんですか？」って小声で問い詰めて。だけど結局はゆうゆがせっかく言ってくれたんだから私も言わなくちゃってなって……。

──それで自分もその日に発表したと。

仲野　田中さんに「いつ言う？ いつ言う？」ってまた小声で問い詰めたら「じゃあ言うならレッスンのあと」みたいになって、その日のレッスンの終わりに私も結局言いました。

──え、同じ日に間を置いて2人とも言ったんですか？

美月　そうです。みんなが来てすぐと帰るタイミングに卒業発表して（笑）。

──それは2回爆弾落としたってことですよね？ なんで1発にまとめなかったんですか……。

美月　まあ、お互いが辞めることを知らなかったですからね。

仲野　でも私、みんながさらに落ちないようにめっちゃがんばって「実は私も辞めます！」ってけっこう明るく言ったんですよ？

背中を押して卒業させるとかいらない

──12月末から1月末まで、2人にとってはベルハーメンバーとして最後のツアーが始まります。どんなライブにしたいと思ってますか？

仲野　後悔しないライブにする。

──今までの活動の集大成というか、アイドルとして最後ってことですもんね。

仲野　そうですね。アイドルは……もうやらないと思います。

──それはもう心に決めている？

仲野　やんないって決めてるけど、まあ人生何があるかはわからないですからね。

──絶対とは言い切れないけど、アイドルとしてはもうやり切ったと。

仲野　もうこりごり。だけどやってたことは後悔してないです。

──美月さんはどうですか？

美月　みんなと地方に行くのもこれが最後かもしれないから1カ所ごとに違うライブにはしたいかな。それで来てくれた人によかったって思ってもらいたいです。

──今のところ2月中に卒業みたいな話になってますけど、具体的な日程はまだこれからですか？

美月　2月に3人も誕生日のメンバーがいるので、やっぱりそれを祝いたいなってことで2月までいることにしたんです。それに私が1月に辞めてしげ（仲野）が2月に辞めたら、その間は5人バージョンの振りとか歌を覚えなきゃいけなくて大変だと思うので。

──なるほど。そういうのもあって同じ時期に卒業ってことにしたんですか。もうあんまり時間はないですけど、辞めるまでの間にやりたいことは何かありますか？

美月　今言っていいのかわかんないですけど、しげとユニットって話が出てて。

仲野　おお、マジで？

美月　しげが辞めるって知らなかったから、その前に私から田中さんに提案してたんだけどね。で、田中さんが曲を作ってくれるみたい。自分としては歌って踊れるアイドルになりたかったけどベルハーって全然違うじゃないですか。

──じゃあ王道アイドル路線の楽曲をユニットで。

美月　それはもう絶対にしげとやりたかった。お母さんとずっと話してたんですよ。そういうの2人でやったらいいよって。

仲野　え、うれしい。

──仲野さん的にもやってみたい？

仲野　やりたいし、あと私も田中さんに最後だからってお願いしてることがあって。10日間ライブみたいなのをやってくれることになりそうです。「珠梨の激動」みたいなライブ。思い出の場所で10日間連続ライブやろうって。で、最後の10日目に辞める、みたいな。

──炎の十番勝負、的な。

仲野　私はその10日間で全部私メインの曲を作ってもらって歌いたいって言ったら、田中さんがいいよって言ってくれた。

──じゃあ2人としては辞めるけどそれまでの間に楽しみもできたってことですね。

仲野　うん。楽しみがあります。

──そう考えたら、やっぱりそんなに寂しさはない？

美月　うん。

仲野　ある。

美月　あ、あるんだ？

仲野　私はある。ヲタさんがすごい優しいから、ヲタさんと別れるのが寂しい。

──もうこれっきり会わない人もいるわけですもんね。

仲野　メンバーとかは会おうと思ったら会えるけど、ヲタさんは偶然道で会わない限りは会えないと思う。

美月　私は芸能活動を辞めるわけではないので。受験が終わってからまた次の事務所を探します。だから……また会う日まで、みたいな。

──最後にメンバーに向けてメッセージをお願いします。

仲野　私は私でがんばるので、みんなはみんなでがんばってくださいって感じです。背中を押して卒業させるとかはいらないです！ だって一生のお別れじゃないもん。

美月　私も「がんばってください」の一言ですね。

──2人が辞めた後には新メンバーが入ってくるみたいなんですけど、それについて何か思うところは？

美月　新メンバーが入って売れたとしても、うちらがいたからベルハーはここまできたんだし。それはそれって感じです。