音楽ナタリー Power Push - THE BAWDIES×長岡亮介(ペトロールズ)

引き算の美学を追求した「SUNSHINE」

THE BAWDIESが1年4カ月ぶりとなるニューシングル「SUNSHINE」をリリースした。表題曲のプロデュースを務めたのは、ペトロールズの長岡亮介。抑制の効いたバンドアンサンブルの中でバイオリンやスティールギターが華を添える、牧歌的かつポップな楽曲に仕上がっている。

THE BAWDIESのバンドサウンドに新たな息吹をもたらすこの曲の完成を記念して、音楽ナタリーではメンバーと長岡の対談を実施。「SUNSHINE」が完成するまでの流れを詳細に語ってもらった。

取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 西槇太一

揺るぎなく鋭いセンスを持ってる人と一緒にやりたい

──THE BAWDIESと長岡さんは、もちろんお互いの存在は知っていたと思うんですけど、面識を持ったのはいつ頃なんですか?

左からTHE BAWDIES、長岡亮介(ペトロールズ)。

長岡亮介 JIMだけ会ったことがあって。数年前に楽器屋でね。

JIM(G) そう。そこは僕が高校生の頃から通ってる楽器屋なんですけど、ギターを物色しに行ったら長岡さんもいらして。

長岡 僕はギターの改造をしに(笑)。

JIM それからフェスで一緒になったときに長岡さんが僕らの楽屋に来てくださったりして。そこでメンバー全員と会ったんです。

──今回、THE BAWDIESが長岡さんにプロデュースを依頼した経緯を教えてください。

ROY(Vo, B) THE BAWDIESとして、新しいところを示したいなと思って。前にLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさんにプロデュースしていただいたことがあるんですけど、プロデューサーに入ってもらうと自分たちでは開けきれてなかった引き出しや能力を解放してもらえる感覚があって。NAOKIさんからも「いろんな人と一緒にやるとそれだけ発見があるから、どんどんやったほうがいい」って言ってもらったんです。じゃあ今回のタイミングでどなたにプロデュースをお願いするかを考えたときに、THE BAWDIESって特殊なバンドなので、いわゆる“ザ・プロデューサー”みたいな人とやるのは違うなって思ったんですよね。「揺るぎなく鋭いセンスを持ってる人と一緒にやりたい」って生意気なことを僕がずっと言っていたんですけど、そこでメンバーやスタッフと話しているときに長岡さんの名前が挙がって。長岡さんに引き受けていただけるなら、ぜひという話になりまして。

長岡亮介は変わった人なんだけど、親しみやすい

──THE BAWDIESはソングライターでありギタリストでもある長岡さんにどんな印象を持ってましたか?

ROY この前、初めて生でペトロールズのライブを拝見したんですね。僕らも長岡さんもR&Bやソウルミュージックが好きなんですけど、時代感も含めて好きなニュアンスがドンピシャに合ってるかと言えばそうではないと思うんです。僕らは1960年代から70年代までにいかないくらいのソウルが好きなんですけど、ペトロールズはすごく現代的なソウルミュージックを鳴らしているなと。しかもスリーピースのバンドであそこまでのグルーヴが出せるバンドはなかなかいないと思います。率直に言ってすごかった。

長岡 いやいや、ありがとうございます。

ROY(Vo, B)

ROY これは、長岡さんに直接メールしたときにも書いたんですけど、僕はメイヤー・ホーソーンのライブを生で観たときも同じような感動と衝撃を覚えたんですね。

長岡 もったいないお言葉です。

ROY いや、ホントに。しかも長岡さんはNAOKIさんともつながっていて、僕らの兄貴的なNAOKIさんが「日本で一番リスペクトしているギタリストなんだ」と言っていて。そういう縁があったのもうれしかったですね。

TAXMAN(G) あと、周りでもペトロールズが好きな人が多いんですよ。その中には普段あまり日本のバンドを聴かない人も多かったりして。そういう人たちに「長岡さんにプロデュースしてもらうことになった」って言うとかなり食い付いてきて(笑)。そういうこともうれしかったですね。僕はギタリストなので、個人的には今回ギタリストの方にプロデュースしてもらいたかったんです。長岡さんは僕にはない引き出しを持っている方なので、そういう意味でもよかったなって。

JIM 僕が長岡さんに持っているイメージはストイックで野性味のある感じ。でも、飄々とプレイできるギタリストでもあって。

長岡 なんか恥ずかしいな(笑)。この流れ、やめません?

一同 (笑)。

──もうちょっと我慢してください。

長岡 はい(笑)。

MARCY(Dr) 僕はペトロールズではないところで弾いてる長岡さんしか知らなかったんですよ。

──ほかのアーティストのサポートをしている?

MARCY そう。あとは同級生にペトロールズのファンの子がいて。その子もギタリストで、長岡さんのことをずっと言っていて、どういう人なんだろうって気になってました。で、お会いしたらこういう人だったので。

長岡 変な人ね(笑)。

MARCY 変わった人なんだけど、親しみやすい(笑)。僕はドラマーですけど、自分の世界観を話したらすぐに理解してくれるんですよね。

JIM 僕、ペトロールズがテレビ東京系「しまじろうのわお!」に提供した「はのうた」が超好きで。あの曲を聴いたときにビックリして。あんなにカッコいい曲を、子供番組で流れる曲として作ってしまうバランス感覚とセンスはすごいなって。かわいいのにエグい曲だから(笑)。

──曲調こそ違いますけど、歌としての親しみやすさがありながら、一筋縄ではいかないサウンドになっているという意味では今回の「SUNSHINE」と「はのうた」は通じる部分もあると思います。

JIM うん、確かにそうですね。

ニューシングル「SUNSHINE」2015年10月28日発売 / Getting Better
「SUNSHINE」
初回限定盤[CD+DVD]1944円 / VIZL-896
通常盤[CD] 1296円 / VICL-37118
アナログ盤 1296円 / SEEZ RECORDS. / SEZ-3038
CD収録曲
  1. SUNSHINE
  2. THE FIGHTER
  3. THEY CALL IT WHISKEY BLUES
初回限定盤DVD収録内容

DVD"European Tour 2015" Documentary Movie

アナログ盤収録曲
  • SUNSHINE
  • THE FIGHTER
THE BAWDIES(ボウディーズ)
THE BAWDIES

ROY(Vo, B)、TAXMAN(G, Vo)、JIM(G)、MARCY(Dr)によって2004年1月1日に結成。リズム&ブルースやロックンロールをルーツにした楽曲や熱いライブパフォーマンスが各地で噂を呼ぶ。2009年4月に発表したメジャー1stアルバム「THIS IS MY STORY」は「第2回CDショップ大賞」を受賞。2011年11月には初の日本武道館公演を成功に収めた。2013年1月に4thアルバム「1-2-3」をリリースし、同年2月より横浜アリーナ、大阪城ホール公演を含む59公演の全都道府県ツアーを開催。2014年1月に結成10周年を迎え、同年3月にカバーアルバム「GOING BACK HOME」を発表した。12月にはニューアルバム「Boys!」を発表し、2015年3月には2度目の日本武道館公演を成功に収めた。10月にペトロールズの長岡亮介をプロデューサーに迎えたニューシングル「SUNSHINE」を発表。2016年1月には「BRINGING IN THE ROCK & ROLL NEW YEAR」と題したツアーを東名阪で開催する。

ペトロールズ
ペトロールズ

長岡亮介(Vo, G)、三浦淳悟(B)、河村俊秀(Dr)によるスリーピースバンド。2005年に結成され、下北沢のライブハウスを中心に活動を開始する。ライブ会場限定で数々の作品をリリースしていたが、2012年11月に初の全国流通アルバム「Problems」を発売。2015年9月に結成10年目にして初のフルアルバム「Renaissance」をリリースした。