ナタリー PowerPush - AZUMA HITOMI

PART1:本人単独インタビュー PART2:西島大介「ハリネズミ」対談

【PART2 AZUMA HITOMI×西島大介対談】

最初はあえて会わないほうがいいと思っていた(西島)

──お2人が会うのは、これで何回目ですか?

西島 4回目かな?

AZUMA そうですね。一度私のライブに来ていただいて、その後galaxxxyで打ち合わせをして、次にPVを見せていただいたときにもお会いして。そして今日です。だから、4回目ですね。でも、まだ深い話はしてないですよね?

西島 彼女のディレクターさんから、「会いますか?」と言われていたんですけど、僕はあえて会わないほうがいいかな?って思っていたんですよ。あまり彼女についてのイメージを持ち過ぎないほうが、このプロジェクトの場合はいいのかな?って思っていて。だから会って話すつもりはなかったんだけど、ライブを観に行ったら、受付のところで会ってしまって(笑)。

AZUMA あははは(笑)。だって西島さんが来てくださっているのに、みすみす逃すわけがないじゃないですか。

──西島さんの第一印象はいかがでしたか?

AZUMA 「うわー! マンガ家の人だー!」って。「あの絵を描いている方なんだー!」みたいな、そんな印象がありました。西島さんのあのかわいいイラストが浮かんでくるような方だなって、私は思いましたけど。

西島 初対面のときはまだ、この仕事を引き受けるかどうか、悩んでいたんです。というのもすでに初音ミクのようなバーチャルアイドル的な存在もいるし、顔をメディアに出さない相対性理論のようなやり方もあるし……そういうやり方を後追いして全体的に失敗してしまうのが一番良くないと思ったから。彼女の音源はすごく良いんだけど、それだけで請けていい仕事ではないなって。だからライブもこっそり観て、音から出てくるイメージだけでAZUMAさんをビジュアル化することが大事だと思ってたんですよ。でも、本人に会ってしまったから出鼻くじかれちゃって(笑)。

西島大介によるラフスケッチ。西島大介によるラフスケッチ。西島大介によるラフスケッチ。

このネズミが私なんです(AZUMA)

──そんな西島さんが今回の仕事を引き受けようと思った理由は?

西島 「フラクタル」の原案の東浩紀さんとは昔から一緒に仕事をしている仲間なので、これも運命かな?と思って(笑)。東さんにもAZUMAさんにも恥ずかしいことはできないぞっていう“ダブルアズマ”のプレッシャーはありましたけど。で、いろいろと考えているうちに、僕はリスナーと同じ視点でAZUMAさんを捉えて、ビジュアルなどをプロデュースしていかなくちゃいけないなって考えるようになって。このイラストは何度かの段階を経て今の形になっているんですけど、最初はもっとAZUMAさんに近いイラストだったんですよ。

AZUMA 確かに、小さな女子風な感じでしたね。

西島 今のキャラクターよりもずっと小さい女の子っぽい感じだったんです。AZUMAさんのライブが、シーケンサーとPCとバスドラのキックを使った独特なものだったから、小さい女の子の周りに楽器が点在しているような、そういうイラストから始まったんです。ベッドルームミュージックをそのままステージに持ち込んだみたいな感じの。でもそれだとほかにも類似したイメージがありそうだなと思ってしまって。そこから段々と固有のイメージや情報を削ぎ落としていった感じですね。説明過多になるのが嫌で「いろいろと盛り込むのはもうやめましょう」と。わけのわからないものがポーンと飛んでいるほうが面白いだろうと。イラストからは音楽ジャンルもわからないようにして、音楽っぽさとか服のつなぎ目とかすら排除しちゃいました。そもそもアーティスト写真とは?ってことまで考えたりして。

──キャラクターの横にいるネズミ、これが……?

AZUMA 私なんです(笑)。

西島 もうケータイストラップのような存在にまでAZUMAさんのイメージを抽象化してみたんです。「まさかこの物体がこの音楽を作っているわけがない」と思わせるくらいに。「ハリネズミ」はアニメの主題歌だけど、アニメを意識して萌えキャラっぽく媚びる必要はないと思ったんですよね。彼女の作る音楽はすごいものだし、彼女自身すごい音楽家だと僕は思っているので。

西島大介によるラフスケッチ。西島大介によるラフスケッチ。西島大介によるラフスケッチ。西島大介によるラフスケッチ。

メジャーデビューシングル「ハリネズミ」 / 2011年3月9日発売 / 1223円(税込) / EPICレコードジャパン / TKCA-73558

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CD収録曲
  1. ハリネズミ
  2. おなじゆめ
  3. Down By The Salley Gardens
AZUMA HITOMI LIVE “じっけんしつ vol.0” 開催決定!

日時:2011年4月4日(月)
OPEN 19:00 / START 19:30
場所:東京都 SHIBUYA BOXX
GUEST DJ : tomad(Maltine Records)

<ライブ参加方法>
下記対象店舗にて3月9日発売のAZUMA HITOMI「ハリネズミ」を購入した方に先着でライブ入場券が配布されます。

HMV 12店舗
HMVイオン浦和美園、イオン与野、ラゾーナ川崎、ららぽーと横浜、ルミネ池袋、立川、アトレ目黒、ららぽーと豊洲、ルミネエスト新宿、イオンモール武蔵村山ミュー、横浜ワールドポーターズ、モザイクモール港北

TOWER RECORDS 6店舗
タワーレコード新宿店、秋葉原店、渋谷店、横浜モアーズ店、吉祥寺店、池袋店

AZUMA HITOMI(あづまひとみ)

1988年東京生まれのシンガーソングライター/サウンドクリエイター。小学校高学年より曲作りを始め、中学生でデスクトップミュージック制作を開始。大学進学後にライブを中心とした本格的な音楽活動をスタートさせる。2010年には都市型フェス「KAIKOO POPWAVE FESTIVAL'10」に出演。同年12月にネットレーベル「マルチネ・レコード」より配信音源をリリース。2011年3月、アニメ「フラクタル」のオープニングテーマ「ハリネズミ」でメジャーデビューを果たした。