ナタリー PowerPush - AMWE

2010年代をリードする大型新人 2ndアルバム「GIRLS」リリース

2009年に彗星のごとくシーンに登場し、フランスの最重要レーベル&ファッションブランドのKITSUNÉが大プッシュするなど、その個性と音楽性が世界規模で注目されてきたAMWE(アムウィ)。今や女性エレクトロポップアーティストの日本代表的な座を獲得したと言っても過言ではない彼女が、最新2ndアルバム「GIRLS」を発表した。

今作ではBLUR、Deee-Lite、MY BLOODY VALENTINEの秀逸なカバーに加え、オリジナル楽曲で“女性の弱さや強さ”を等身大の言葉で表現。同時代に生きる“GIRLS”たちはダンスしながら共感できること間違いなしだ。

音楽からファッションまで、2010年代のポップカルチャー全般をリードする若きポップアイコンの全貌に迫ってみた。

取材・文/小暮秀夫

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「モアポップ! モアキャッチー!」なアルバムを

──1stアルバム「I AM AMWE」は、AMWEさんにとって自己紹介的な意味を持つ作品だったと思います。そうした作品を経て2ndアルバム「GIRLS」では自分のどういう面を見せていこうと考えたのでしょうか?

そうですね、前作はそのタイトルからもわかってもらえるように、AMWEとはどういうアーティストなのかという自己紹介的な作品でしたし、ほとんど自分のために作ったような自己完結作品だったんです。それから1年、海外でのライブなどさまざまな経験を積ませてもらっていく中で、伝えることの大切さというのを実感するようになりました。その結果がこの新作だと言えると思います。リスナーに伝えること、つまりみんなに共感してもらったり、感動してもらえる、もっと開かれたアルバムにしたかったんです。具体的には「モアポップ! モアキャッチー!」というのを念頭に置いて制作しました。

──「GIRLS NIGHT OUT」や「MOONLIGHT」では等身大の“GIRL”の心情が日本語で歌われています。そういうガーリーな部分を表現していこうというのも今作でやりたかったことの1つなのでしょうか?

私は自分自身のことを、いわゆる典型的な女子代表ではないと捉えていますが、でも私も女の子の1人。聴いてくれる人たちに伝わるように日本語で歌おうと考えたときに、まず女の子として共有できる感情やできごとについて考えました。私が経験して感じてきたことを、不安や喜びも含めて多くの“GIRLS”に共感してもらえたらうれしいです。女の子って、か弱い部分もあるけれど、実はとてもしなやかで強い部分も持ち合わせているわけで。これは“BOYS”に対するメッセージでもありますね。ちなみに今回「MOONLIGHT」のリミックスは動画サイトで支持されているTreowくん(ELECTROCUTICA)が手掛けているのですが、この新しいコラボレーションを実現できたこともうれしいできごとの1つです。

カバーした曲はAMWEのDNAに染み付いている

──アルバムではBLURの「GIRLS AND BOYS」やDeee-Liteの「GROOVE IS IN THE HEART」がカバーされていますね。誰のアイデアでこれらの曲をカバーすることにしたのですか?

なんとなく私やスタッフの中から自然に出てきたアイデアでした。こういった90年代のヒット曲ってメロディが立っているところが素晴らしいと思うんです。エレクトロでアップデートしたらどうかな? っていう曲が他にもまだまだいっぱいあって、選曲にはかなり苦労しました(笑)。

──どちらもダンスクラシックとして有名な曲ですよね。カバーしてみてどうでしたか?

AMWE

BLURの「GIRLS AND BOYS」は今でもクラブでよくかかるし、フロアも盛り上がる名曲ですよね。90'sのキラキラ感に“テン年代”ならではのエレクトロサウンドを注入して、フロア向けにうまくアップデートできたと思います。もう1曲のDeee-Liteの名曲「GROOVE IS IN THE HEART」に関しては、ちょっと捻りを加えたカバーになったと思います。テイ・トウワさんにはご自身のイベント「MOTIVATION」に呼んでいただいたり、私のパーティに出演していただいたり、とてもよくしていただいているのですが、今年はDeee-Liteのアメリカデビュー20周年だと聞いて、愛とリスペクトを込めてカバーさせていただきました! オリジナルが強力な曲だけに、私なりの解釈を施そうとスタジオでずいぶん苦労したのも事実ですけどね(笑)。

──カバーといえば、ライブで定番曲となっている「ONLY SHALLOW」はMY BLOODY VALENTINEのカバーですね。シューゲイザーバンドも好きで聴いてきたのでしょうか?

マイブラは私が10代の頃に偏愛したバンドなんですよ。特にこの「ONLY SHALLOW」は、初めて聴いたときに心をわしづかみにされて、しばらく何も手に付かなかったほどインパクトを受けた曲でした。シューゲイザー系ばかり聴いていたわけじゃないんですけどね。ほかにもいろいろ好きなバンドは多いんですが、特に90年代のUKロックからの影響は大きいです。UKならではのなんとも言えないメロディックサウンドは、AMWEのDNAにも染み付いていると思います。

ニューアルバム「GIRLS」 / 2010年9月29日発売 / 2500円(税込) / SYNCA MUSIC PROJECT / XECJ-1010

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CD収録曲
  1. GIRLS AND BOYS
  2. GROOVE IS IN THE HEART
  3. I SAW AN ANGEL
  4. BE STUPID
  5. GIRLS NIGHT OUT
  6. ROCKSTAR
  7. CUT, COPY AND PASTE
  8. MOONLIGHT
  9. STUPID GIRLS, STUPID BOYS
  10. GIRLS AND BOYS (CUBISMO GRAFICO DIZZINESS MIX) -ENCORE-
  11. MOONLIGHT (ELECTROCUTICA REMIX) -ENCORE-
  12. ONLY SHALLOW (LEE JAY POW REMIX) -ENCORE-
DVD収録内容
  1. BANGIN' THE DRUM [MUSIC VIDEO]
  2. GIRLS AND BOYS [MUSIC VIDEO]
  3. MOONLIGHT (ELECTROCUTICA REMIX) [MUSIC VIDEO]
  4. I AM AMWE [TRAILER TYPE1]
  5. I AM AMWE [TRAILER TYPE2]
  6. I AM AMWE [TRAILER TYPE3]
  7. GIRLS [TRAILER TYPE1]
  8. GIRLS [TRAILER TYPE2]
AMWE(あむうぃ)

アーティスト写真

エレクトロシーンを主軸にワールドワイドな活動を行う女性アーティスト。2008年よりライブ活動を始め、ファッションブランドDIESELが主催する音楽コンテスト「DIESEL:U:MUSIC 2009」のJAPAN WINNERに選出。同年にパリとロンドンで行われた「D:U:M 2009 WORLD TOUR」にも参加し、海外メディアから大きな注目を浴びる。帰国後は国内でも「SUMMER SONIC」や「WIRE」といった大型フェスに出演。フランスの著名プロデューサーチーム・KITSUNÉが手掛ける「Kitsuné Maison」や、「House★Disney -Electro Parade-」といったコンピレーションアルバムへの参加を通して、その認知を確かなものとする。2010年9月に2ndアルバム「GIRLS」をリリース。