ナタリー PowerPush - アルファ&スチャダラパー
まだ見ぬ韓国のファンに、この曲を捧ぐ
俺はもう飽きたな
──曲は皆さんで作ったんですか?
DJ SUZUKI 最初に自分がメロディを書いて、英語のそれっぽい歌詞をつけて、その歌詞をラッパーの人たちが書き換えるという手順で作りました。トラックや音色は、聴いてて普通に「いい曲だなー」と思えるものにしようと意識して、アー写を見ながら作りました(笑)。
Bose リリックはみんなで集まって、韓国語の本を回し読みしながら書きました。
ANI 韓国語の辞書とか、旅行用韓国語ガイドとかね。
WADA たぶん韓国人には通じないです(笑)。
TSUBOI カタカナ表記を読んでそのまま歌ったんですけど、発音の正解がわからないんですよね。本によって「ポゴシボヨ」だったり「ポゴシッポヨ」だったり若干違うんで。
ANI だから逆に、あんまりうまくならないように気をつけた。母国語じゃないからこそのちょっと間違った言い回しとか、韓国の人が聴いたら「おかしなこと言ってるなぁ」と思うようにあえてしてます。
──「惚れたぜHarajuku」にはなかった、「君にポゴシッポヨ」ならではの難しかったところは何かありましたか?
DJ SUZUKI 一応、自分の中にあるコンセプトとしては「ライブのときに『惚れたぜHarajuku』を歌い終えてから披露するバラード」だったので、出来には満足してます。ただ、やっぱりアー写とかPVとかビジュアル込みじゃないと面白さが伝わらないかも、っていう不安はありましたね。街でこの曲が鳴ってて、どう思わせるかって。
SHINCO あと、「近くて遠い朝鮮半島の人たちにはどう響くんだろう」って気持ちは前回のとは確実に違うと思います。まだリアクションがないのでわかりませんけど、この感覚は前回にはなかったことです。
Bose そうだね。歌いながら、まだ見ぬ韓国のファンの子たちのことをイメージしてました(笑)。
──アルファ&スチャダラパーで第3弾コラボ曲を作るとしたら、次はどんな曲にしたいですか?
WADA 次はマレーシア語にチャレンジしたいです。タイ語でもいいけど。
DJ SUZUKI それで、すごい応援歌みたいな曲で。
Bose みんなで歌える「サライ」みたいなスケールが大きいやつとかね(笑)
SHINCO うーん、もう飽きたな。しばらくはギブ(笑)。
アルバムを通してライブのセットリストを表現
──今回はアルバム全体に一貫したコンセプトを感じました。
DJ SUZUKI 3rdまでは自己紹介のアルバムだったんですが、自分らも30代になったので、今回は「男と女」という永遠のテーマに挑戦してみようかと。
WADA 「男と女」とはいっても恋愛だけに限らず、いろんな意味での男女を表現しました。
DJ SUZUKI そうですね、この5年間オリジナルアルバムをリリースしてなかったので、とりあえずいろいろな側面は見せておきたいかなと思ってたので。ちょっとしたアップデート程度じゃなくて「あー、OS変わったなー」みたいな感じにしたかったんです。
──決まったコンセプトがあると曲順にも気を遣いそうですね。
TSUBOI いや、むしろ昔ほどは意識しませんでした。
DJ SUZUKI 良い意味で変なこだわりは捨てたんで、曲順はいつもと違って全然迷わなかったですね。
WADA アルバムを通してライブのセットリストみたいな感じにしたいねって言ってたんですよ。あと意識したのはゲストの配置のバランスくらいかな。
TSUBOI ゲストは多かったからね。もともと仲の良かったメンツだらけだったので、楽しくニヤニヤしながら良い刺激をもらいました。
DJ SUZUKI 皆さんを通じて「人間ってステキ!」って思いました。まさに「BOYS&GIRLS」でしたねー。ってオジサンばっかりですけど(笑)。
WADA 前からの友達ばかりなのですごくやりやすかったです。でも、基本的に僕らのレコーディングは横道にそれがちなので、知らずに迷惑かけてるんじゃないかな。
アルファ&スチャダラパー「君にポゴシッポヨ」ビデオクリップ
CD収録曲
- ボーイズ & ガールズ
- She Sea Girl / feat. lecca, SU
- Firehouse
- SEXY BOY / feat. Bubbles
- いい汗かきたくて -Let's do it-
- We are gonna go home (album ver)
- Sorry Baby
- Boy Meat Girl / feat. HALCALI, RYO (from ケツメイシ)
- ALIEN33
- 今夜もFlash Back
- 091M
- STEREO LOVE
- バスタイム
- 君にポゴシッポヨ / アルファ&スチャダラパー
- Boys & Girls & ....
アルファ
TSUBOI、WADA、DJ SUZUKIによる2MC+1DJスタイルのヒップホップユニット。1996年から都内のクラブで精力的にライブ活動を展開。テクノやパンクの要素を取り入れた独自のヒップホップナンバーで熱狂的な支持を獲得する。RIP SLYMEやKICK THE CAN CREWらとイベントで共演し、シーンの中核で抜群の存在感を確立。既存のヒップホップの概念を覆す、オルタナティブ感が評価される。2002年にDJ TASAKAとのコラボシングル「エクスタシー温泉」でメジャー進出し、コンスタントにリリースを重ねる。2009年にユニバーサルミュージックへ移籍。2011年4月に約4年ぶりのオリジナルアルバム「BOYS&GIRLS」を発表した。
スチャダラパー
1988年にBose、ANI、SHINCOの3人により結成されたヒップホップチーム。1990年にアルバム「スチャダラ大作戦」でメジャーデビューを果たし、1994年に発表した小沢健二とのコラボシングル「今夜はブギー・バック」は大ヒットを記録。2005年には電気グルーヴとともに「電気グルーヴ×スチャダラパー」としても活動し、シングルやアルバムをリリースしたほか夏フェスにも出演を果たした。デビュー20周年の2010年には初のオールタイムベストアルバム「THE BEST OF スチャダラパー 1990~2010」を発表し、さらに日比谷野外大音楽堂で豪華ゲストを迎えた20周年記念イベントを敢行した。