悲劇なら悲劇に酔えばいいじゃん

──自分たちでバンドをやろうと思ったのは、今の世の中にある音楽では救われなかったからなんでしょうか？

Hama　うん。それはそうですね。

Yamazaki　クラシックを使った音楽をやっているのも、自分がドラマの主人公として壮大な人生を送っている気分になれるようにっていうのが大きいんですよ。そういう気分で毎日を過ごすことで、他人のことが怖くならないように。まず自分たちがそうなれるようにっていう感じですね。

──その延長線として、同じ境遇にいるリスナーを救いたいという気持ちも強いですか？

Yamazaki　けっこう自己中心的なバンドなんで（笑）、自分が救われたらっていうのがデカイんですけど、聴いた人も共感してくれたらいいなというのは思います。

Hama　ただ、一般的なアーティストってリスナーとの距離が遠いなと感じることがあるけど、自分たちの場合は本当につい最近まで社会の底辺みたいなところを生きていた人間たちなんで、同じ境遇にいる人とすごく近いんじゃないかなって感じますけどね。

──なるほど。だからこそAL familiaの楽曲には説得力もあるし、リアルなんだと思います。そういうスタンスはこれからも変えていきたくない部分？

Hama　変えようがないもんね、ずっとそうだったから。今は音楽をやろうと思えたことで、悶々としてたものから解放されて開き直れたところはあるけど。

Yamazaki　ふっ切れたっていうのはあるよね。

Hama　で、そうやってふっ切れたらこっちのもんだと思うんですよ。世界は自分たち中心に回るようになるっていうか。

Yamazaki　俺らのビデオクリップには「絶望を楽しめ」という言葉が出てくるんだけど、そういうことだと思うんですよ。悲劇なら悲劇に酔えばいいじゃんって。そうすれば死ぬ必要もないし、犯罪者になる必要もない。まずそこを楽しんでから考えようぜって。

居場所のない人間が集まるようなところにしたい

──AL familiaが提示するそういう考えは、たくさんの人たちの指針にもなり得ますよね。

Yamazaki　そうかもしれないですね。あとは単純に、俺らが味わったような境遇にいる奴らを踏みにじりたくないって思うんですよ。地位や名誉だけじゃ測れない人間の魅力があるっていうのは、俺ら自身すげぇわかってるから。だから、そういう奴らとはつながっていきたいっていう気持ちはありますね。ちなみに、今回俺らのCDをオフィシャルサイト上から買うと、飲み会特典っていうのが付いてくるんですよ。

──AL familiaのメンバーと一緒の飲み会に参加できるそうですね。

Yamazaki　そう。とりあえず飲もうと（笑）。そういう中でいろいろな人と出会って、コミュニケーションを取っていく中でまた新しいことが生まれるかもしれないしね。

──そういうスタンスはAL familiaというバンド名が見事に言い表してるような気がしますよね。メンバー同士だけじゃなく、リスナーともファミリーのような絆でつながっているというか。

Hama　AL familiaって「私たちの家族」という意味らしいんですよ。

Yamazaki　俺ら的には語呂がよくて付けただけなんですけど（笑）。でも、こじつけかもしれないけど、居場所のない人間が集まるようなところにはしたいと思うんです。ちょっと活字になるとイヤらしいかもしれないけど、そういう奴らのことを俺らは絶対に裏切らないし、踏みにじらないから。自分らも居場所が欲しかったからね。飲み会にしてもライブにしても、友達なんかいない奴でも俺らはあたたかく迎えるからさっていう。そこは他のバンドとは違うところかなって思います。