ナタリー PowerPush - absorb

テーマはずばり“学生生活” ミニアルバム「学園」リリース

ずっと温めていた曲を満を持して音源化

──また、「クスリ」という曲では、いじめというシリアスなテーマも扱っています。

笹原 どこまで忠実に書くか、どこまでボヤかすか、そのフォーカス具合がすごく難しかったですね。結果としては、いじめの現場を見ている第三者がいじめられている人に対して救いの手を差し伸べる勇気を持つことで、いじめられている人の世界は変わるんだよっていうことをメッセージにした感じですね。

──学校って閉鎖された空間だから、その勇気を出すことはたやすいことではないですもんね。

笹原 実際、僕も小学校や中学校時代にかばってあげることができなかったことが心残りになってたりするんですよ。で、勇気を出せば相手を救えるっていうことを学生時代に知っておけば、きっと社会に出てからの人とのかかわり方やコミュニケーションの仕方も絶対変わってくると思うんです。なので、現役の学生さんも、すでに学校から卒業された方も、この曲からそういうことを感じてほしいなって思います。

──そして、「桜ノ雨」へのアンサーソングとも言える「Bless you」という曲もあります。これは、先生から生徒への別れの言葉という聴き方もできますよね。

笹原 これは、ライブではもう6年ぐらいずっと歌ってきた曲なんですよ。CDにせず、温め続けてきた曲で。

中村 自分たちの中で、この曲に一番ふさわしいアレンジがずっと見あたらなかったっていうのもあったんです。適当なアレンジで世に出すくらいだったら、ライブで歌い続けることで結論を出そうぜみたいな感覚だったんですよね。で、その結論が今回、出たというか。

 だから、歌詞も2番以降は全部書き直しました。もともと別れの曲ではあったんですけど、去年、いろんな学校でこの曲を歌う機会があった中で、生徒さんが泣いてるところを見て、これは先生と生徒の視点でも成立するんじゃないかなって思ったんです。なので、書き直そうかなと。

──absorbにとっての大切な曲が、最高の形で音源化されたわけですね。ファンもきっとうれしいでしょうね。

 そうですね。今回のアルバムが“学園”っていうテーマじゃなかったら、また音源化しそびれてたかもしれないんで、すごく良かったと思います。

アルバム収録曲を学園祭でコピーしてくれたらうれしい

──そして最後は「桜ノ雨」の合唱バージョンで、absorbが描き出した学園生活は感動的に幕を閉じます。

笹原 今回の作品は、現役の学生さんはもちろんですけど、もうすでに学校を卒業してしまった方にもたくさん聴いてほしいなって思うんです。学校が大切な場所だったんだなって思うことって、卒業してからのほうが多かったりしますよね。僕ら自身、きっと学生の頃にはこういう曲たちは書けなかったと思うし。なので、ちょっと懐かしむ気持ちで聴いてもらえたらなと。

──学園生活にはまだまだいろんな出来事があるから、他の曲もいろいろ聴きたいと思いました。例えば「学園」の第2弾とかもできそうですよね?

 そうですね。ほんとはここに入れていない、違うテーマの曲もいろいろあったんですよ。その中から選びぬいた7曲なんで。

笹原 文化祭とかね。そういう行事はいろいろあったよね。マラソン大会とか。

 同じ別れでも引っ越し、転校とかね。いやぁ、いい曲だったんですけどねぇ(笑)。

笹原 いい曲とか自分で言っちゃって申し訳ないんですけど(笑)。でも、そういう曲たちもまたタイミングがあれば、ライブでやったりCDに入れたりしたいよねっていう話もしてます。

──おぉ、楽しみ。じゃ、とりあえずはこの7曲を満喫しながら待ってます。

笹原 ですね。今回の曲たちはコードもそんなに難しいのを使ってないので、それこそ学園祭とかでコピーしてくれたらうれしいですね。あとはもちろん、僕らを呼んでもらっても全然OKです。学生のみんなと交流する時間をどんどん増やしたいんで。

──これを読んでる学園祭実行委員はぜひ!

中村 呼ばれればどこまでも。

笹原 まぁ限度はありますけど(笑)、気持ちとしてはどこまでも行きます!

アーティスト写真

ミニアルバム「学園」 / 2010年4月21日発売 / 2000円(税込) / 日本クラウン / CRCP-40270

  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. wanna be friend
  2. ablaze days
  3. よーいドン!
  4. 恋に落ちたら
  5. クスリ
  6. Bless you
  7. 桜ノ雨 - 祝奏歌 -
absorb(あぶそーぶ)

森晴義(Vo, Key)、笹原翔太(Vo, G)、中村博(G)からなるツインボーカルユニット。2005年8月に結成し、東京を中心にライブを展開。MySpaceなどのWEBサービスを積極的に活用し、リアルとバーチャルを横断したオリジナリティあふれる活動を展開している。2008年にはボーカロイド・初音ミクをフィーチャーしたオリジナル曲「桜の雨」をニコニコ動画上で発表。2008年秋にメジャーデビューを果たし、「桜の雨」は2009年春に全国119校の卒業式で合唱曲として歌われた。続く2ndシングル「愛ノ詩」は長門裕之・南田洋子夫妻のジャケット写真とともに話題に。2009年5月に1stアルバム「we walk abreast」をリリースした。