ナタリー PowerPush - a-nation

2012年夏「a-nation」革新!

その全貌紹介&インタビュー

a-nationコンテンツプロデューサー林寿朗氏インタビュー

スタートから11年目を迎えるエイベックス主催の音楽フェス「a-nation」が、今年の夏、大幅なリニューアルを行い、さらなるスケールアップを遂げて開催されることになった。これまでの10年間で培ってきたフェスとしての揺るぎなきスタイルをぶち壊してまで新たなチャレンジに踏み切った理由とは一体なんだったのか? a-nationの育ての親とも言えるエイベックス・ライヴ・クリエイティヴの林寿朗代表取締役副社長に話を訊いた。

取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 福岡諒祠

音楽のテーマパーク・a-nationの始まり

──昨年で丸10年を迎えたa-nation。まずはその歴史を振り返っていただけますか?

インタビュー写真

10年前の2002年に初めてa-natonをやることになったときには、いわゆる事務所主導で、そこのアーティストがいっぺんに集まるという内容のフェスは世の中になかったんです。

──当初のa-nationはアクシヴ(※エイベックスの芸能プロダクション。現エイベックス・マネジメント)のアーティストが出演するフェスでしたよね。

はい。同じ事務所のアーティストが一堂に会することは、理論的には簡単なんです。ただ、現実にはフェス自体の規模が大きいということもあって、結構大変なことでした。最初は「これって本当にできるのかよ」っていうところからのスタートだったんです。

──開催の目的はなんだったのでしょう?

元々の構想はうちの千葉(龍平)CSO(※最高戦略責任者)がファウンダーとして企画したもので、「音楽のテーマパークを作りたい」というコンセプトでした。単なるフェスではなく、音楽を中心としながらいろんなエンタテインメントの楽しみ方を提案していこうというもので。

──巨大なフェスを地方まで巡回するサーキットスタイルで展開したのが、a-nationの新しいところでしたね。

それは本当に新しいスタイルだったと思います。さらに、歴史のあるフェスがたくさんある中で、a-nationはフェスの初心者でも楽しめる都市型のフェスを目指していたんですよ。言ってしまえば、ハイヒールでも気軽に来ることができて、ポピュラーなアーティストが出演する、ものすごくわかりやすい形で展開してきたんです。そういう差別化によって、フェスというマーケットを広げる役割を担ってこられた気はしています。

「つまらない」からの見直し

──回数を重ねるごとに、参加アーティストも多彩になり、フェス自体の規模も拡大していきましたよね。

5年ぐらい続けた段階でほかの事務所のアーティストさんが参加してくれるようにもなり、全体で25万~27万人を動員、チケットは完売し、いろんな意味でのスポンサードも受けられるようになっていきました。そこでフェスのスタイルとしての完成型が見えてきたんです。ただ、完成型が見えてきたということは、逆に言うとあとはピークアウトを迎えるしかないので、制作者として楽しめなくなっていた自分もどこかにはいて。そんなときにファウンダーの千葉からも、こう言われるんですよ。「つまらない」って(笑)。

──厳しいですね(笑)。

自分としても頭のどこかにあった思いだったけど、そうやってはっきりと言われるとやはりショックというか。お客さんはみんな楽しんでくれていたし、事業としての収益もちゃんと出していましたからね。

──そこでフェスとしての大幅なリニューアルを考えるようになったわけですか。

インタビュー写真

そうですね。「つまらない」と言われる原因を考えたときに、やっぱりもうテーマパークじゃなくなってきたのかもなって思ったんです。回を重ねていく中で内容も固定化してきましたし、それによって当然フェスとして定着はしてきているんだけど、一方ではヘッドライナーによってファンが変わってしまう、いわゆる人気アーティストの積み上げ型のフェスになってしまっている。それではほかのフェスとの差別化もできなくなっているんじゃないかと。そこで改めて「イベントそのものをテーマパークとして楽しめるものにしよう」と思ったんです。

──大きな決断ですね。

まず制作者サイドが楽しめなかったら、お客さんは絶対に楽しんではくれないですからね。大きく変えなければいけなかったんです。で、本当は昨年の10年目に大々的に内容を変える予定だったのですが、震災が起きてしまったこともあり、時期を1年ずらすことにしました。結果的に、2年間じっくりと地道に企画を練ることができたんです。

「a-nation Charge Go! ウイダーinゼリー musicweek & stadium fes.」

musicweek

渋谷を舞台に10日間にわたって繰り広げられるタウンフェス「musicweek」
日程
2012年8月3日(金)~12日(日)
会場
東京都 国立代々木競技場第一体育館・SHIBUYA-AX・渋谷WWW・渋谷公会堂

stadium fes.

東京と大阪の2大スタジアムにビッグアーティスト集結「stadium fes.」
日程
2012年8月18日(土)・19日(日)
会場
大阪府 長居陸上競技場(長居スタジアム)
日程
2012年8月25日(土)・26日(日)
会場
東京都 味の素スタジアム

2012年7月31日更新